【特別版】中小企業こそエネルギーシフトを担おう! (株)リバイブ 代表取締役会長 平沼 辰雄氏(中同協 地球環境委員長)

 

(株)リバイブ 代表取締役会長 平沼 辰雄氏(中同協 地球環境委員長)

中小企業家しんぶん2015年9月5日号(中同協第47回定時総会 第1分科会・特別報告要旨)より転載

エネルギーシフト学習に向けて

 

 今回エネルギーシフトを学習していくにあたり、エネルギーシフトの考え方を1枚の資料にまとめました。これを中心に各地で学習運動を進めていただきたいと思います。ここにはエネルギーシフトの2つの考え方と3本柱、5つの理由と5つの実践が明記されています(エネルギーシフトハンドブック参照:右)。

 まず、エネルギーシフトで大事なことは省エネです。エネルギーをできるだけ使わないようにしていくことが大事です。「こんなことまで」というぐらいの小さな省エネを積み重ねていくことが重要になってきます。また、大規模集中型ではなく小規模分散型のエネルギーを創っていくことが重要です。これが私たち地域の中小企業が担っていくべきところだと思います。

地域づくりと条例運動

 

 現在、中小企業振興基本条例制定運動を各地で進めていますが、全国にはエネルギー条例を実際に作っている地域もあります。11都道府県の自治体で制定されていますが、北海道では多くの市町村でエネルギー条例ができています。各地域でエネルギー条例を制定し、中小企業憲章の中にもエネルギーシフトに関しての考え方を入れていきたいと思います。条例で決まるということは、市長や担当者が変わっても続いていくということです。だからこそ、これを私たちが中小企業運動として取り組んでいく必要があります。

 また、各地域にあるエネルギーを探して、生かしていかなければいけません。地域特有のエネルギー資源を探すことも大事ですが、日本の地中温度が15度と一定であることを利用した地中熱エネルギーもあります。各地域で技術的な問題も含めていろいろな事業、視点で新しいエネルギーのあり方を考えてきてください。今までの生活の中でエネルギーの生産と消費を大量にしてきた私たちが考えを改めていくこともエネルギーシフトには必要となってきます。

電力の自由化と自治体主導のエネルギーシステム

 2016年4月から電力の自由化が行われますが、この市場は7・5兆円あると言われております。これを機にエネルギー効率が高く省エネにつながる製品が売れることが予想されます。政府も地域活性化の施策として、自治体主導の地域エネルギーシステムと民間の経営センス、ノウハウを生かしたサービスイノベーションの実現を認めています。私たちも自治体と手を組んで、どうやっていくのかを考えていく必要があります。

バイオマスエネルギーと日本の木材利用状況

 日本の木材自給率は近年高まってきていますが、バイオマス発電に利用するにはいろいろと制約があり、山の木をそのまま使用することはできません。全国でもバイオマス発電に利用している木質チップや建設物の解体材などの量が足りなくなってきており、一部では大型のバイオマス発電用の原料を輸入しています。

 自動車技術で有名なドイツですが、雇用の第1位は森林関連産業となっています。日本との違いは、林業に従事している人の数が多く、木材を供給できる量が圧倒的に違います。こういったことを地域ぐるみでどうやってやるかを考えていかないと、バイオマス発電はできません。本当のエネルギー社会とはエネルギーを自分たちで作って自分たちで使うことです。だからこそ中小企業が連帯して地域の資源を見て、どこまでやっていくかを考えるのが重要です。

再生可能エネルギーの活用

 ドイツのエネルギー政策では、2050年に80%の再生可能エネルギーで国内のエネルギーを担うという方針が出ています。日本でも各地でエネルギーシフトに取り組み、自前の再生可能エネルギーで地域自給率を高め、近場の地域との連携で融通し、国、電力会社のエネルギー政策と組み合わすことができれば、エネルギーシフトは可能になります。国が目標やビジョンに掲げなくても、私たちが地域のビジョンを作って中小企業家としてやっていけば可能になります。それがエネルギーシフトの運動です。

 私たちがやらなくて誰がやるのか? だからこそ1年間議論しながら勉強してみてください。

同友エコ

 現在同友エコは全国で102社が取り組んでいます。去年のCO2削減量は約1272トンです。4万4000社以上いる同友会会員全員が取り組めばすごいことになります。

 毎月のエネルギー使用量をチェックして、どれだけ削減するのかという目標や方針を持って取り組めば1~3割のエネルギーの削減ができます。また、省エネの取り組みも社員さんを巻き込み一緒にやることで、どんな波及効果が生まれるかを考えないといけません。社員さんが自主的に考え成長することはもちろんですが、同友会4万4000社の企業で働く社員さんが会社での取り組みをきっかけに家でも取り組んでいくと、そこには無限大の可能性があるはずです。

おひさま自然エネルギー(株)

 地域の自然エネルギーの創出ということでおひさま自然エネルギー(株)という会社をつくりました。この会社は市民ファンドで1億円のお金を集めて、愛知県豊明市の学校7校に太陽光発電を設置しました。同友会の仲間が中心となって集め、銀行からも3000万円ほど出資してもらっています。考え方は持続可能な社会の構築とグリーンエコノミーの可能性です。そこには市民の意思や志のあるお金で取り組む自然エネルギーの普及ということで市民と一緒にやっていくことを目指しています。

 例えば太陽光や水の流れなど地域の自然から作り出したエネルギーは、設備を設置した企業のものではなく、その地域に住む人たちの共有財産であるべきだと思います。われわれが地域分散型の小規模な発電施設をたくさんつくって、大規模な施設と同様の発電をできるように会員企業の屋根を借りたりしながら集めています。災害時にもそこから電気が引けるようにしています。それも地域とのつながりをつけるということです。

最後に

 どこでもどんなところでも地域のエネルギーはあります。それを探して使っていくことで地域づくり、仕事づくりにつなげていければということです。

 私たちもエネルギーシフトと同友エコをこの1年間運動として推進していきたいと思います。新しい社会づくりに私たち中小企業がやらないで誰がやるのか?という意気込みでやっていきたいと思います。

会社概要

創 業:1964年
資本金:1,200万円
年 商:15億円
従業員数:34名
事業内容:産業廃棄物の収集運搬・中間処理・環境共生機器販売に関わる事業活動
URL:http://www.revive.co.jp/