【第27回】夏涼しく冬暖かい 節電・省エネ建物設計で環境を守る (株)桑本総合設計 代表取締役 浦川 英敏氏(鳥取)

浦川社長

(株)桑本総合設計 代表取締役 浦川 英敏氏(鳥取)

社屋

 (株)桑本総合設計(浦川英敏社長、鳥取同友会会員)は、 鳥取県米子市に1978年に現桑本会長が創業した、建築設計・工事監理、省エネコンサルティングの会社です。
2011年5月に現在の浦川氏へバトンタッチされました。会長の息子さんは省エネ・環境事業部担当取締役常務として、一緒に設計士として従事しています。

 国道431号線沿いに建つ社屋は、自然エネルギー対策と、建物の節電・省エネ・環境対策が施され、他と大きく異なり、とても目立つ外見ですぐわかります。自然エネルギー対策として、ソーラー発電設備(パネル汚れ防止光触媒加工)と風力発電設備、建物節電・省エネ・環境対策として、熱い熱・寒い熱を入れない屋根(熱交換塗装の金属屋根)や熱交換塗料を塗った外壁と、砂ゴケ壁面緑化による外壁工事済みだからです。

 2階設計室の天井も1階駐車場の天井にも省エネヒートシールドが貼ってあり、屋根と1階からの熱気・寒気をいれず、暖かい・涼しい内部熱を逃さないように施行されています。また、省エネ対応の空調設備やLED照明を使用するなど、建物全体が節電・省エネのモデル建築物となっています。

 設計事務所だからこそできるコストダウンプランで、食品や電子部品等製造工場、大型店舗を省エネ建物としながらローコストを実現し、北海道から九州まで、全国各地でローコスト建物の新築・改修の設計を行っています。

他社との差別化

商材

 きっかけは、1997年の「京都議定書」。他社との差別化を検討していた現会長が、今後は「省エネが必要」と考え、現在の省エネ設計を始めました。業界に先駆けて確立した省エネ設計は、一般的に用いられる断熱材で対応できない放射熱に効果がある素材を使用し、熱を外から入れない、中の熱を逃さない、まるで魔法瓶のような建物を設計することで、夏は10~15度涼しく、冬は5~10度暖かい建物となり、光熱費(エネルギー)を削減できます。県外で施行された例を挙げると、建物内の温度を下げるための、空調設備の工事費が約8,000万円掛かるところを、省エネ設計により約3,500万円で押さえ、しかも、空調設備強化をした場合に増加が見込まれていた光熱費も節約することができました。また、改修後電気代が5割以上も削減した施工事例もあります。

 しかし、省エネ設計が開発当初から順調に施工されたわけではありませんでした。その理由は、地方の中小企業のため、情報発信が不十分で、認知度が低かったからです。

 そのため、「環境○○展」と名の付いた展示会に訪れたり、年間14件以上も展示会に出展したり、PRのためのカラー写真付きの資料などを「経営革新」の補助金で作成したりと、努力を続けた結果、これまでに全国で700件近くの省エネ改修を手がけるなど、新築を含めた実績は年60~70のペースで、年々受注を伸ばし、他社との差別化に成功しました。

施工は地元の5社と連携し、地域貢献

 現在は、地元の5社との協力体制で、全国どこでも、省エネの工法を施工されています。
新築の場合は、元受を現地業者がされ、省エネ工事を鳥取からの協力業者が出向き担当します。改修の場合は、鳥取からの協力業者のみで施工することもあります。地元鳥取企業への、地域貢献を考えているのです。

 また、社屋がある国道431号線は「けやき通り」とよばれ街路樹がすべて「けやきの木」です。秋には紅葉でとてもきれいなのですが、紅葉の時期が終われば、大量の枯葉で、いっぱいになります。社員が年中を通して清掃活動を行っていて、地域からも評価され、社員も地域貢献をしている誇りを持っています。

今後の桑本総合設計

 「会長の『お客様のお金を預かり財産をつくる』をモットーに、『桑本総合設計に任せて良かった』と思っていただけるように、一つひとつの仕事を大切にし、一度かかわらせていただいたお客様に、再度声をかけていただける仕事を心掛けています。また、社員一人ひとりがやりがいと誇りが持てる仕事づくりをしていきたいと考えています。節電・省エネとは、エネルギー負荷の少ない建物作りをすることと、太陽光発電などの自然エネルギーを利用すること。そんな仕事を設計士としてもっと広めて行くことでエネルギー使用量の削減に寄与し、環境を守りたい」と浦川氏は語ります。

会社概要

設 立:1978年
資本金:1,000万円
事業内容:建築設計・工事監理、省エネコンサルティング
従業員数:18名
所在地:鳥取県米子市皆生6丁目1番25号
TEL:0859-34-5811
URL:http://www.eco-kuwamoto.co.jp/