【第32回】濁水処理で沖縄の海とサンゴを守る (有)大宮工機 専務取締役 宮城 光秀氏(沖縄)


濁水をきれいにして環境保全

 

(有)大宮工機(宮城光秀専務取締役、沖縄同友会会員)は、濁水処理設備、発電機、溶接機、ポンプ、高圧洗浄機、ハウス、トイレ、倉庫、バックホー、電動工具、高所作業車などの建設機械のレンタル・販売・修理を行う会社です。特に、建設現場などから発生する濁水を処理する「濁水処理設備」が、他社にはない看板商品です。環境方針に「当社の経営理念および経営方針に基づき、持続可能な循環型社会の構築に貢献できる企業でありたいと願い、その実現のために努力します」を揚げ、環境負荷低減のための取り組みをしています。

 「環境経営」の取り組みとして、 濁水処理設備のレンタル事業と「エコアクション21」があります。

 沖縄では土地の乱開発が行われた結果、赤土が流出して海が汚れるなど、自然破壊が深刻な問題となりました。以前は、マンションやゴルフ場などの大規模な開発のために山を削り、掘り起こされた赤土がそのまま海へ流されていました。また、土地改良事業で整備された農地には、傾斜角度と排水溝がつけられるため、畑の表土、肥料、農薬等すべてが川へ流れ出し、赤土を被ったサンゴは窒息し、やがて死滅してしまいます。そのため、1995年10月には、沖縄県が「赤土等流出防止条例」を制定して、環境保全対策を強めてきました。

 (有)大宮工機の濁水処理設備は、建設工事現場などで発生する土砂混じりの「濁水」を処理し、きれいな状態にしてから海や川へ放流するための設備です。用途に合わせて3つの機種を用意しており、1時間あたりそれぞれ10、30、50立方メートルの処理能力があります。

 また、様々な水質の濁水を処理できるように、ペーハー処理装置なども用意しています。今後もさらに設備に改良を加え、それぞれの現場に合った処理方法を提案するなどして、濁水処理事業をより充実させていくと共に、環境保全事業の発展を図っていきます。

エコアクション21の取り組みと成果

 

また、(有)大宮工機は2007年11月にエコアクション21の認証・登録を受けました。全国では1993番目、沖縄県内では20番目の認証・登録でした。エコアクション21は認証・登録の後、2年に一度更新審査を受け、また、その間の年には中間審査を受けます。エコアクション21の取り組みで、下記の成果が生まれました。

1)社員の環境に対する意識が向上しました。冷房の設定温度は28度、ゴミをきちんと分別して、重さを計量してから出すなど、面倒くさくてもやるべきことはやる、やらなくてはならないという意識に変化しました。

2)電気・水道料金の削減に効果がありました。 また、建設機械を配送する車両の燃料費についても細かく分析し、燃料費削減にも成果がありました。

3)社内外で行なっている様々な事業活動を「見える化」することができました。今までは「節約しなさい」、「ムダを省きなさい」と言っても、一体どれだけ節約できたのかわからなかったのですが、エコアクション21に取り組んだことで、電気、化石燃料、紙資源、水資源、一般廃棄物、産業廃棄物などの量が、数字で具体的になりました。

4)エコアクション21に認証・登録することで自信につながりました。県内で20番目という、かなり早い段階で認証・登録できたことから、いろいろなことにチャレンジする意欲と自信がつき、沖縄県産業振興公社が提供している「IT活用経営戦略支援事業」に取り組むことにも繋がりました。

5)新たな事業領域である「環境経営」に挑戦する土台ができました。お客様に対して「当社の設備を使うと、環境に対する負荷をこれだけ減らすことができる」や、「これだけ燃費の節約になる」などの提案 で、他社との差別化を図ることができるようになりました。

 さらに、養殖サンゴの苗の移植放流活動を2009年から行っています。養殖サンゴの移植放流を行う「(有)海の種」さんの協力により、濁水処理設備を1台レンタルする毎に養殖サンゴの苗を1本移植放流し、設備を使用 して頂いたお客様に、移植したサンゴの写真を添えて「海からの感謝状」を届けています。2015年2月には、創立35周年を記念して35本の移植放流を行うなど、これまでに約300本の苗を移植放流しました。

 今後は、環境保全事業を一層充実させると共に、広報活動にも力を入れていきたいと考えています。

会社概要

設 立:1987年5月1日
資本金:1,500万円
従業員数:30名
事業内容:土木・建設機械のレンタル(濁水処理設備・その他)
所在地:沖縄県島尻郡南風原町字宮平631番地
TEL:098-889-6166
FAX:098- 888-3424
URLhttp://www.ohmiyakouki.com/