【第15回】自宅の庭で過ごす素晴らしさを広めたい　（株）アロウズガーデンデザイン　社長　村田　勇氏（長野）

（株）アロウズガーデンデザイン　社長　村田　勇氏（長野）

　（株）アロウズガーデンデザイン（村田勇社長・長野同友会会員）は、長野市で一般住宅・店舗のエクステリア・ガーデンの設計・施工を営んでいます。エクステリアとは、建物の外回りの設備（門、塀、垣根、物置、カーポートなど）、また植栽や庭石などまでを含めた言葉です。アロウズガーデンデザインでは、庭や植栽・照明を含めた外回りのトータルデザインをお客様の要望を取り入れながら、提案・施工しています。

自宅の庭で過ごす時間を豊かに

　村田氏は、国立長野高専環境都市工学科を卒業後、測量会社を経て、エクステリア専門会社で修行を積み、2013年34歳の時にアロウズガーデンデザインを独立開業しました。社名の「アロウズ」は、「All for owners（すべてはお客様のために）」の頭文字「All ow s」から名付けました。

　エクステリアの業界は比較的新しい業界でもあり、お客様への認識度もまだまだです。ハウスメーカーの下請けのエクステリアでは、お客様にデザインの選択肢が多くないことも実情としてあります。「エクステリア・ガーデンの認識度を高め、庭の可能性をもっと広めたい、既存の庭をさらに充実させ、自宅の庭で過ごす豊かな時間を創造していくことをお客様に提案していきたい」との思いから独立に至りました。村田氏は、将来のお客様の家族構成や変わるライフスタイルまで見越して設計し、完成後もメンテナンスを通じ、長いお付き合いをめざしています。特に植栽には、引き渡し時に完成しているものではなく、5年後、10年後にも心地よく過ごせるものを提案しています。村田氏のデザインは、全国規模での数々の賞を受賞していますが、デザインだけではなく、専門店ならではの視点からのお客様へのアドバイス・提案力を自社の強みにしています。

ぶれない軸・社会的責任を考える

　長野同友会は、開業後、間もなく、当時の支部長でもあった取引先の社長から紹介されました。「同友会で会う経営者の方々は、起業したての自分にも対等な関係で話をしてくれて、すぐに入会を決めました。横柄な人がいない、偉ぶる人がいない、すぐに商売に結びつけないなど、同友会の雰囲気、会員の皆さんの人間性に魅かれた」と村田氏は語ります。2015年には、支部幹事を引き受けました。その年に、「経営指針をつくる会」にも参加。村田氏いわく「幹事会などでのまわりの『経営指針つくらないでどうするの？つくらなきゃ始まらないよ』といった空気によって」、参加を決めました。

　それまでは、開業と日々の仕事に追われ、経営指針をきちんと成文化していませんでした。経営指針をつくる会の受講をきっかけに自社のあり方にみっちりと向き合い、現在の経営理念ができました。きちんと成文化した経営理念ができたことにより、お客様に対して、社員に対してもぶれない自社の軸ができた実感があります。また、時期を前後して、会社の法人化にも踏み切りました。それまでは、「個人事業主だから…」という気持ちもありましたが、社員や社会に対する責任を考えるようになり、法人化に至りました。現在では、実際の工事にかかわる施工班の職人さんとも定例の会議を持ち、自社の経営理念を伝え、お互いの立場を尊重して、質の高い施工作品作りをめざしています。

エクステリア・ガーデンの素晴らしさをさらに広めたい～ライバルは、余暇産業

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　現在のアロウズガーデンデザインは、社員3名と社長の4名体制ですが、将来的には新卒を採用し育てていきたい、との思いがあります。「高校生や高校の先生方にも、エクステリア・ガーデンの業界をアピールし、自社と業界に若い風を吹き込んでいきたい」と村田氏は言います。

　「駐車場に木が１本あるだけで風景が違う。風が吹けば木がそよいで動きが出る。その心地よさを知っていただきたい。庭は、手をかければかけるだけ素晴らしい空間が生み出せます。ガーデンルームの設置や照明の効果によって、旅行に行くのと変わらない満足度を得ることができます。うちの場合は、ライバルは他のエクステリア専門店ではなく、旅行や車などの余暇産業だと考えています。旅行にかけている分を自宅の庭に費やしてもらい、自宅の庭で過ごす素晴らしさを広めていきたい」と村田氏。

　独立から４年半。これからもますます広がる庭・ガーデンの可能性に挑戦し続けています。