【第30回】ビジョンの明確化で広がる事業 (株)MATAHARI 代表取締役 中川 ひとみ氏(京都)

中川ひとみ社長

(株)MATAHARI 代表取締役 中川 ひとみ氏(京都)

 (株)MATAHARI(中川ひとみ社長、京都同友会会員)は、京都市左京区で花屋を経営しています。2001年に中川氏が創業、2014年に法人化し現在に至っています。店舗での販売はもちろんですが、ブライダルやイベントの装飾、レストランやバーへの定期的な活け込み、フラワーアレンジメント教室を開催するなど花を通じてさまざまな活動を行っています。扱っている商品、店舗の内装ともどこの国のデザインかわからない“MATAHARI色”にあふれています。

ビジョンを明確化

店舗外観

 大学卒業後海外でのバックパッカーをするための資金稼ぎとして花屋でアルバイトしたことがきっかけとなり、2001年に6坪の小さなスペースを借りて花屋を創業。中川氏の独自の感性を生かした花のアレンジが受け、2年ほどで売上が伸びてきました。2007年に店舗を構え、社員を採用、店の規模も大きくなりました。

 京都同友会へは2012年に入会し、その後経営指針成文化に取り組む「人を生かす経営」実践道場を2013年に修了しました。経営指針を成文化し取り組んでいく中で、自分が外国人として、女性として海外にいた経験から、学生、外国人、主婦、社員、男性、女性、分け隔てなく1人の人間として見る、個性を生かす事に力を入れたい、1人ではなく、社員をパートナーとし共に成長していかなければならないと気づきました。まず2014年に経営指針とビジョンを掲げて「株式会社MATAHARI」へと法人化しました。ちょうどそのころ、地元新聞の取材を受け「今後の目標は自社の建物を建て、1階は店舗、2階は研修教室、3階は託児所を設けること」と答えたところ、その記事を読んだ地元金融機関から物件と融資の紹介があり、トントン拍子で話が進み、2016年自社ビルを構えることになりました。「ビジョンを明確にすること、またそれを発信することがこんなに広がっていくということに驚いた」と中川氏は当時を振り返ります。

社員自らで立てた売上目標

 自社ビルを構えることと同時に、社員はもちろんパート、アルバイトとのコミュニケーションの場として月に1回「マタハリ・ベーシック」と名づけたミーティングを設けることにしました。経営理念に基づきテーマを決めて1人ずつ報告してもらい、それを共有することをしています。昨年2017年の母の日には、創業以来初めて売上目標を立て、達成したら全員で旅行に行こうと決めました。その結果過去最高の売上を記録。中川氏は「『○○をやりなさい』ではなく、自分たちの立場で何ができるかをそれぞれが考えられるようになったことがこの売上につながった」と笑顔で語りました。

マニュアルで働き方が変化

店舗内観

 現在は業務の仕組み作りに取り組んでいます。細かい業務を1つずつ棚卸しし、それぞれにマニュアルを作ってもらっています。ただのマニュアルではなく見たらだれでもできるように工夫され、日々更新されています。そのマニュアルのおかげで作業効率が上がり1人にかかる仕事量が減り、残業時間が減るなど目に見える効果となって現れています。

 それ以外にも、マニュアルの効果として、アルバイトに外国人を採用することができたり、地元の支援学校から実習を受け入れたりすることができるようになりました。さらには大学と連携して1カ月間におよぶプロジェクトインターンシップを行えるようになり、地元に密着した活動が広がっています。

今後の夢

 今後の夢は「花を贈る文化がない国へ花を贈る楽しみを広げていきたい」と語る中川氏。MATAHARIブランドの確立と、スタッフの個性を強みととして社員の働き方を両輪で取り組んでいきたいと、経営理念に掲げられた「幸せ、喜び、感動を連鎖」し、「循環」させる企業へとつきすすんでいます。

経営理念

私たちは、花と心でたくさんの人を笑顔にし、幸せ、喜び、感動を連鎖させ、それを循環させていきます。
私たちは共に学びあい、お互いに尊重しあうパートナーとして、共に成長していきます。

会社概要

設 立:2014年
資本金:300万円
事業内容:フラワーアレンジ販売、ウェディングフラワー、全国発送&配達、ディスプレイ装花
従業員数:11名(うちパート・アルバイト9名)
所在地:京都府京都市左京区北白川久保田町16-2
TEL:075-712-7622
URL:http://www.flower-matahari.com/