【第29回】創業者との葛藤を乗り越え見えてきたわが社の未来図 大福コンサルタント(株) 代表取締役副社長 福田 真也氏(鹿児島)

福田真也社長

大福コンサルタント(株) 代表取締役副社長 福田 真也氏(鹿児島)

直面した現実

景観

 大福コンサルタント(株)(福田真也副社長、鹿児島同友会会員)は、道路、河川、橋、港湾、トンネルなどの生活になくてはならないさまざまな社会インフラにかかわる調査、計画、設計などの技術的サービスを提供しています。また数年前から石器・縄文時代の遺物発掘調査や世界文化遺産の調査を行う文化財調査の事業に取り組み、新規事業で立ち上げた空間情報ソリューション事業では、ドローンを活用した写真計測、3Dレーザースキャナーによる三次元計測・解析や赤外線カメラによる調査・診断などを行っています。

 福田氏は父親である創業者社長の次男として生まれ、大学卒業後に入社しました。入社後、社長のワンマン経営、社員間の主導権争いの現実を目の当たりにします。そんな中、当時の代表理事より鹿児島同友会への誘いを受け、入会しました。

同友会での学びを生かした共同求人活動

社屋

 「過去と他人は変えられない。未来と自分は変えられる」をモットーにしている福田氏。同友会で学ぶ中で、まず自分自身が変わることを決意し、同友会で学んだ三位一体の経営をどう実践していくかを考えました。取り組むべきことはこれからの世代を担う若い人の採用、そこで共同求人からはじめることにしました。

 採用に関しては、公共事業が削減され業績が落ち込み厳しい状況の時に新卒採用をできておらず、即戦力を求めて中途採用を行っていました。しかし定着率は悪く、組織年齢もいびつになっていました。そこで自ら採用活動にかかわり、福田氏より若い社員を増やし、これから一緒に頑張っていく仲間を増やそうと考え、会社として久しぶりに行った新卒採用は手探りでのスタートでした。積極的にいろいろと行動をしましたが、全く学生が会社に来てくれませんでした。自分自身ではよい会社と思っていても、それが伝わなければ学生は集まらないことを痛感します。現在も模索中と話す福田氏は、自社や業界の魅力をどう学生に伝えるか、自分自身が会社や社員に対する思いをしっかり語れるようにならなければならないことを学びました。

 学生が集まらない現状から、自分一人では到底取り組めない、もっと社員を巻き込む必要があると感じ、「自分たちの後輩となる新卒採用活動」ということで若手社員を巻き込み新卒採用を始めてみました。

 採用する学生が専門学科を卒業していなくても会社の仕事に共感し、やる気と熱意があれば入社してから基礎的なことを学べる体制を整えています。取り組みを行いながら実践してきたかいもあり、7年連続新卒採用の継続、延べ19名の新入社員が入社しました。若い社員が増え社内に活気がでてきて、古参社員も若い人を育てる意識が生まれていきました。また、採用だけでなく上司となる社員の「共育」も重要と考え、中堅・幹部社員を対象とした同友会が実施をしている共育塾に継続して参加し、経営者と社員が一緒になって、人間力を高める研修を受講しています。

地域になくてはならない存在のために

 父親である社長と福田氏の想いが共通しているところは「まわりの人をしあわせにする」です。これが大福コンサルタントの原点です。地域になくてはならない存在の使命を背負いながら、社員が明るい将来を描ける会社になり、その社員がまわりの人をしあわせにすることができるように今後も大福コンサルタントの取り組みは続きます。

社員さんの声

社員さん

氏名:今田 遼(入社3年目)
仕事の内容:農業に関する土木施設の測量・調査・設計

Q1.入社のきっかけは?
 大学時代に所属していた研究室の教授に就職先を相談したところ勧められました。また当時の研究内容と関連する分野に取り組んでいることを知り、興味を持ったため採用試験を受けました。

Q2.実際の社内の雰囲気はどうでしたか?
 部署内は笑顔も多く、明るく仕事をしている職場だと感じています。それぞれの専門部署がありますが、業務を通して他の部署ともかかわることが多いため、さまざまな社員と会話をするなどコミュニケーションを取ることが多いです。

Q3.仕事をする中でのやりがいを教えて下さい
 自分の考えや発想を設計に反映することができ、それが形になることです。自分が携わった公共施設の完成後は、利用者・地域住民から喜ばれる姿や感謝の言葉が私たちの仕事のやりがい、励みになると感じています。

会社概要

創 業:1973年
資本金:1,000万円
年 商:13億1,312万円
従業員数:社員92名、パート8名
事業内容:建設コンサルタント、測量、地質調査、補償コンサルタントなど
所在地:鹿児島県鹿児島市東郡元町17番15号
URL:https://www.daifuku-consultant.com/