シリーズインデックス:人が育つ中小輝業

【第36回】千成屋の付加価値は社員です (株)千成屋 代表取締役 矢内 久子氏(茨城)(2019.03.20)

矢内久子社長 (株)千成屋 代表取締役 矢内 久子氏(茨城)

社屋外観  茨城県ひたちなか市にある(株)千成屋(矢内久子社長、茨城同友会会員)は、祖母である先々代が1937年に呉服販売店として創業し、時代の波にもまれながらも成長し、発展してきました。

 矢内氏は高校を卒業後、地元の百貨店に就職。持ち前の発想力と行動力で頭角を現し、入社5年後には店長を任されるほどの存在となります。一方、実家においても家業の呉服店が忙しく、手伝ってほしいと言われ、(株)千成屋に就職することを決意しました。しかし、このころから時代の流れが変わり呉服の販売が低迷、家業の呉服店は廃業のピンチを迎えます。

 矢内氏にとって生まれ育った千成屋、祖母がつくった千成屋は絶対に潰したくないという一心でしたが、資金もない・人材もいない。そんな中取り扱いをしていなかった振袖に注目し、家族の猛反対を受けながらも振袖事業に特化した戦略経営に臨みました。

 事業の転換により、少しずつ経営状態は回復し、これまでの家族だけの経営から人を雇用することになりましたが、先代の社長は「社員はテコ」「うまく使え」「信用したらおしまいだ」といった考え方であったため、社員との間に大きなずれと対立があり、社内は混乱していました。

 このような状況を見てきた矢内氏は「働く環境がよくないと、会社のやりたい事も進まない。自分が社長になったら全てを変えたい」という思いに至ります。それを改善していくことが会社の発展につながると信じ、「経営者として任せてもらう時が来たら、現場に立つことを辞め、経営者として仕事に専念する」と決意しました。

社長として必要なこと

 矢内氏は同社で店長の経験を積み重ね、紆余曲折を経た上でいよいよ経営者としての道が開けます。しかし、いざ経営者となってみると理想の社長像に縛られ、「社長として何をなすべきか」まったく分からず、社内は一向にまとまりのない状態が続きました。

 そこで、「千成屋が一つになれるココロ(理念)を手に入れたい」「経営者になるための勉強をしたい」という一途な思いで茨城同友会に入会し、経営理念「すべての人の記念日を最高の一日に」を成文化しました。
 先代の時、社内は入社して1、2年で退社するという状態でしたが、矢内氏は本気で社員と向き合い、ぶつかり合い、話し合って共に成長していこうと決断します。

 同友会の例会やセミナー、全国行事などに社員と共に素直に学び、全国の先輩経営者のよいところを貪欲に真似するなど、経営者として、また幹部としてどうあるべきかを学び合いながら、町の着物屋から記念日に関する衣装・着物・撮影などを行うアニバーサリービジネスへと事業を転換、拡大していきました。

ビジョンを描き実践すること

作業の様子  アニバーサリービジネスを展開し、経営指針を実践していく中で会社のビジョンについて考えました。それは、会社の未来をつくる「事業ビジョン」と、それを実現する、また社員たちがこの会社で将来どういうポジションになれるかを明確にイメージできる「組織ビジョン」です。

 「事業ビジョン」では、経営理念に沿った行動であれば、社員の自由な発想を受け入れるようにしています。以前は社員に対する不信感が社員の定着を邪魔し、会社の成長を鈍らせていましたが、定例の面接や何気ない会話などコミュニケーションを取りながら社員の発想を尊重することでやる気と自主性が芽生え、事業の更なる発展に繋がるようになりました。

 「組織ビジョン」では、会社がめざしている将来像を公開・共有しています。会社の組織体制を明確に示すことで会社のめざしている方向性を具体的に理解してもらい、社員自身がなすべきことを考えスキルアップすることが会社の成長につながっています。

共にかかわり合い成長できる仕組み

 同友会を参考に社内にも委員会を立ち上げ、幹部会やリーダー会など関係性を保ったうえで役割に応じた活動を展開しています。また、社員教育においては、入社後2年目・3年目の社員が自身のスキルアップを兼ねて新入社員を教育し、フォローするなど共にかかわり合い成長できる仕組みを整備してきました。

 働く環境も見直し、年1回の有給休暇取得7日連休(バカンス休暇)やパートタイマーも有給休暇の取得実現を行っています。

 何よりも千成屋で働くことに「誇り」を持ってもらえるよう、地域のマラソン大会や児童養護施設の子どもたちに七五三などの記念日を感じてもらう活動など、同社でしかできないボランティア活動も行っています。

 矢内氏は、「千成屋が成長し、今まで以上に地域から必要とされ、頼りにされる会社になるように同友会活動を実直に、またスピード感を持って経営に取り入れ『人にやさしく、輝ける、人を生かす経営』を社員と共に実践していきます」と語ります。

社員さんの声

社員さん01 氏名:梅影 小織さん(入社5年目)

Q1.入社するきっかけは何でしたか?
 成人式の時、千成屋さんにお世話になり、もともと人とかかわることができる仕事がしたいと思っていた上に着物という普段触れることがない仕事に魅力を感じ、お世話になることを決めました。

Q2.仕事をする中で社内の雰囲気はどうですか?
 スタッフとも和気あいあいと話すことができています。女性が多い職場ですが、特に母の世代の方々には仕事をはじめ可愛がっていただいています。

社員さん02 氏名:宮崎 優希さん(入社6カ月)
Q1.入社するきっかけは何でしたか?
 前職とはまったく違う職業に就くことで「自分の殻を破りたい」という思いから知人の紹介もあり入社することを決めました。

Q2.めざす社員像について教えてください。
 今、自分にやれることを精いっぱいやること。お客様お一人おひとりと向き合い笑顔になってもらえるような接客を心がけています。将来的にはこの人がいれば安心と思われるようなオールマイティに仕事ができる存在感のある社員をめざしたいと思っています。

経営理念

すべての人の記念日を最高の一日に

会社概要

創 業:1937年
設 立:1961年
資本金:1,000万円
事業内容:アニバーサリービジネス(記念日に関する衣装・着物・撮影)
従業員数:24名
所在地:茨城県ひたちなか市馬渡3912-1
URL:http://sennariya.co.jp/

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