シリーズインデックス:人が育つ中小輝業

【特別版】人間力〜教育する側の学びは多い〜 (株)コスモス 取締役 渡辺 年紹氏(福岡)(2019.05.22)

渡辺年紹取締役 (株)コスモス 取締役 渡辺 年紹氏(福岡)

スイッチが入る

 (株)コスモス(渡辺年紹取締役、福岡同友会会員)は、1979年、社長の小川正氏が前身である小川工務店を創業しました。1995年に住宅メーカーのユニバーサルホームに加盟し、福岡エリアのフランチャイズ店として事業展開しています。翌年に(株)コスモスに社名変更しました。お客様との信頼を構築して40年間赤字を出したことがありません。

 渡辺氏は1970年に福岡で生まれました。東京や福岡で機械などの営業を勤め、秀でた活躍が小川社長の目にとまり、口説かれること3年、1998年に同社に入社します。

 営業にはひとかどの自信があった渡辺氏でしたが、1年目はなかなか実績を上げることができませんでした。ある日社長に声をかけられました。「どうだ、もう辞めるか?」この言葉はショックでした。「社長、もう一年やらせてください。それでだめだったら自分から辞めます」と答えるのがやっとでした。

 渡辺氏は『本気』というのはこういうことなんだと思い知らされたと言います。まさに『スイッチ』が入った瞬間です。そこからは猛勉強を始めます。そして人一倍働いて実績を上げていきました。社内でナンバーワン営業マンになり、自社ブランドの立ち上げを任されるようになりました。現在ではお客さまの資金や住宅ローンの相談に乗るなどの仕事のかたわら、社員教育担当として5店舗を巡回する毎日です。後日談ではありますが、社長の一言は渡辺氏のタレント性を見抜いてのことだったようです。

女性営業が多い職場に

 大野城にある住宅展示場では、敷地内には31社のモデルルームがひしめいていました。

 その中で、ユニバーサルホームというブランド力もあるでしょうが、40年間赤字を出すことなく経営してきた秘訣について、渡辺氏は「『人』です」と即答します。

 現在スタッフは56名、その中で営業は男女半々です。「住宅メーカーでこれだけ女性営業が多いのは珍しいと思います」と渡辺氏は話します。

 もともと男性も採用してきたのですが、1軒1軒ドアコールしての訪問、アポが取れても夜9時からの商談など、昔ながらの営業スタイルでは多くの社員が辞めていきます。そこで、渡辺氏は残ってくれている女性陣が働きやすい、働きがいがある環境にするにはどうしたらいいか考えるようになりました。

人は変わる

 ある女性のパートさんに、社員にならないかと持ちかけました。営業ノウハウを伝授するとともに、周りのスタッフの支援体制を整えていきました。モデルハウスを持っているという強みを生かし、誠意をもって接客・営業していったところ実績が上がっていきました。当然給料も上がっていきましたが、彼女の心を最も動かしたのはお客様の喜ぶ姿を見たことだったのです。やりがいを見出したのでした。さらにスタッフのサポートにも感謝しています。
 「人は変わりますね」と渡辺氏は目を細めます。

教える側の方が、学びが多い

同社が手がけた例  渡辺氏は常々「損得だけで動くな」と言っています。個人の売上を最優先にすると、チームワークが崩れます。売上はチームで役割分担して達成するものとしています。助け合えば『感謝』が生まれ、それが信頼を構築していきます。

 うまくいかなかったとき、即ちお客様に伝えたいことがうまく伝わらなかったとき、なぜ伝わらなかったのか、その検証を欠かしません。

 新入社員教育は渡辺氏が自ら講師を務めていましたが、最近では入社3年から5年目の社員にプログラムから準備まですべて任せます。「いざ自分でやってみると、社員教育がいかに考え手間をかけ、愛情かけたものかがわかります。教えられる側より教える側の方が、学びが多いのです。感謝の気持ちが生まれるとともに、先輩社員としての自覚が芽生えます」。もともと優秀な営業マンであった渡辺氏は口を出したくなるところではありますが、社員の成長のためじっと我慢するのでした。

評価制度

 チームで目標に取り組むことを重視する渡辺氏は評価制度の基準を成果、能力、情意という観点から捉え、自己申告の後、直属の上司や渡辺さんがABCランクで評価してフィードバック面談をしています。

なぜいま働き方改革か

 渡辺氏は社内の働き方改革も推進しています。

 ペア営業を敷いて一軒のお客様の情報を共有し休みの取りやすい体制を取っているのもその一例です。「なぜ、働く時間を短縮するかというと、その時間を人間形成に役立ててもらいたいからです。社員のご両親の時代はモーレツに働いた世代でしょう。しかしリタイアすると何をしたらいいか分からず『もぬけの殻状態』になっていないでしょうか。社会や地域とのつながりを持ち、趣味・ボランティアなど自分生きがいを見出すためです」と言います。また時間内で成果を上げるには、常に考えて工夫しなければなりません。それも成長の一つとなります。

 「女性で定年を迎えた方もいます。一人は残っていただいて営業サポートしていただいています」。このように社内は明るい風土が育ってきました。

 同業他社の方が来て「お宅で働きたいんですが」というエピソードも明かしてくれました。

福岡同友会との関わり

 山川輝樹氏((株)ニシボ)の勧めで福岡同友会に入会しました。もともと経営理念は持っていましたが、改めて『あすなろ塾』に通い見直しを図りました。その後自社での経営方針発表会を開催しましたが、社内では一向に受け入れられませんでした。

 「そんな状況が2、3年続いたでしょか。清家政彦氏(セイワパーク(株))や新内一秋氏((株)筑紫工業)の会社を訪ね、経営指針発表会を見させてもらいました。社員さんたちがいきいきしているんですね」。その秘訣は社員とともに作成することに気づいた渡辺氏はさっそく社員を巻き込むことにしました。会社としての方針を示し、部門ごとに具体的な方針を作成してもらいました。やがて理念が浸透し始め、会社全体が同じ方向に向くようになっていきました。現在では会議や店舗巡回の時には持ち歩き、徹底を図ります。「同じことをかたくなに話し続ける…これが私の仕事だと肝に銘じています」。

新規事業

 2020年以降、住宅業界は厳しい環境が予想されます。

 渡辺氏は生き残り戦略のため新規事業を考えています。「地域の方にお世話になってここまで来たので恩返しすることが大切です」。経営理念である『社会貢献』をキーワードに障がい者向け賃貸住宅建築を始めました。土地・資金を提供してくれるオーナー様と運営会社をマッチングさせるビジネスモデルです。

 現在では、運営会社を(株)ゆり庵(平方立身氏・福岡同友会会員)にお願いし、障がい者グループホームが5月より建築開始、10月には運営が開始される事が決まっています。

社員さんと

必要とされる会社

 渡辺氏は自身が考える自立型企業について下記のように語ります。
「地域に根ざし、必要とされる会社、社会貢献できる会社でしょうか。住宅 業界は存続し続けることがお客様への最大責務です。大事なのは社員の人間力です。100年企業をめざし、社員が輝く会社にしていきたいと思います」。

経営指針

わが社はお客様の幸せ、社員の幸せを追求し、社会貢献できる会社づくりを目指します

会社概要

創 業:1979年
事業内容:一戸建を中心に新築およびリフォーム業務全般(ユニバーサルホーム)
従業員数:56名(うちパート・アルバイト50名)
所在地:福岡県大野城市南大利1-1-1 hit大野城住宅展示場内ユニバーサルホーム
TEL:092-589-8778
URL:http://www.universal-home.co.jp

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