【第1回】積極的に参加して多くの学びを　（株）紀ノ國フーズ　代表取締役　林　定男氏（和歌山）

（株）紀ノ國フーズ　代表取締役　林　定男氏（和歌山）

　（株）紀ノ國フーズ（林定男社長、和歌山同友会会員）は、食を通じて関係するすべての人が幸せなれるようお客様に寄り添い、サポートをしている企業です。

企業の紹介・事業の特徴

　1992年に林商会として創業、1999年には（有）ハヤシフーズデザインとして会社設立し、2009年（株）紀ノ國フーズと組織変更しました。

　長年食品加工工場や飲食店などのサポートとして、食品衛生対策製品の販売や包装資材を中心に事業を展開してきましたが、ここ数年のＩＴの進化や交通網の発展により従来の既製品を仕入れて販売するというやり方だけでは厳しく、利益を生み出せる経営体質の強化という面もあり、価格決定権を持つメーカーになるべく2年前から甘酒（紀州あまざけ「初音」）の製造に着手しました。きっかけはもともと実家でお米を生産していたこと、そして自社事業のパッケージや販売チャネルが事業に生かせるとのではないかということ、そして地元の和歌山県岩出市で昔「どぶろく」（米からつくり「かす」を漉さないままの白く濁ったお酒）や甘酒が飲まれていた風習があり、それをなんとか復活させたいという思いでした。

　最近では、週末は甘酒の試飲販売と地元の観光ＰＲで全国の催事に出展していて「月曜日から金曜日はパッケージ屋、週末は甘酒屋の親父になっています」と笑顔で言います。

　同社の特徴としては、一番は地域密着。その日の注文は可能な限りその日のうちに。そして、地域に根を張って事業を行う以上、自社だけが儲かればよいのでなく、日々の営業活動や週末の催事などで得たさまざまな情報やノウハウを関係業者にも提供し、またそれに伴う提案を行い、一緒に発展していけるように心掛けています。

同友会で学んで実践してきたこと

　和歌山同友会には会社を起業して3年目の1995年に入会しました。きっかけは課長が当時の代表理事の会社に仕事で行っていた際に「社長に経営の勉強をしたらどうか？」と勧められたことでした。しかしその時は半分義理で入会したことや他の経営者団体でも活動していたため、同友会には課長に参加してもらい、自身はあまり参加しませんでした。そして初めて例会に参加した時、初体験のグループ討論で先輩経営者の人に「君は経営者として何も分かっていない」と大ダメだしを出されました。「経営者としてはまだまだ駆け出しのころで未熟でした。その時は耳の痛い言葉でしたが今となってはありがたいお言葉でした」と林氏は当時を振り返ります。

　そして2001年地元の岩出市を中心とする地域に紀北支部が立ち上がるということになりました。その当時、和歌山同友会は和歌山市を中心とする和歌山支部と田辺市を中心とする紀南支部しかありませんでしたが、地元に支部ができるのならば、とあらためて参加することとなりました。そこで初代支部長などその後の自身の経営者としての姿勢に大きな影響を持つ人々と出会います。そこからは積極的に会に参加。さまざまな役職を歴任すると同時に経営指針の成文化、社員研修や合同入社式への社員の参加など強い企業体質の構築に努めました。「同友会に積極的に参加することで、いろんな引き出しが増える、人と人とのネットワークが広がる、その人脈から経営についてヒントがもらえるなど、多くのメリットがあります」と林氏は言います。

和歌山同友会青年部会設立に寄与

　2010年当時和歌山同友会には関西2府4県で唯一、青年部という組織がありませんでした。世の中で事業承継をといわれる中、当時の事務局長より、「他府県の青年部がどのようなことをやっているかを見てきてほしい」と依頼があり、大阪同友会の青年部の例会に仲間数名と参加しました。そこでのすごい熱気や若手経営者の熱い思いを目の当たりにし、衝撃を受けました。そこで懇親会の時、一緒に行った仲間も同じように熱さを感じたのか、「和歌山でも青年部をつくります！」と宣言。「最初はエライことになったなと思いましたが、今の和歌山同友会の青年部の発展やこれからの時代を担う人の成長を思うとあの時決断していて本当によかった」としみじみと語ります。

中同協への期待－中同協設立50周年に向けたメッセージ

　設立50周年まことにおめでとうございます。中同協を通じて、和歌山だけでなく全国の経験豊富な先輩経営者や熱い思いを持った若手経営者の方々と出会えたことは私自身の財産だといえます。時代は刻一刻と変化していますし、地方は今まで以上に厳しくなっていくことが予想されます。しかしそんな中でも、地域は中小企業の成長なくして発展はありません。勝ち残るために中同協にはわれわれ経営者の半歩先を進んでいただいて、情報発信のリーダーとして役目を期待しています。