【第22回】経営者として実践し成長する (株)メディアスコープ 代表取締役社長 中尾 禎仁氏(島根)

中尾禎仁社長

(株)メディアスコープ 代表取締役社長 中尾 禎仁氏(島根)

社屋外観

 島根県松江市に本社を置く(株)メディアスコープ(中尾禎仁代表取締役社長、島根同友会会員)は、イベント企画・映像企画制作、セールスプロモーションの企画・運営を軸に事業を展開しています。

 「お客様の魅力を弾きだしその価値をさらに高めます」「時代と情報を見据えた自由で楽しい提案を実践します」「明るく元気にチャレンジし続け地域を元気にします」を経営理念とし、顧客、従業員、地域を考えた経営を行っています。

 同社の代表取締役を務める中尾禎仁氏は、約20年前から島根県中小企業家同友会の立ち上げメンバーとして同友会をリードしてきました。同友会入会時に所属していた会社から独立して立ち上げた会社と、現在代表取締役を務める(株)メディアスコープ、それぞれの会社で同友会の考えが生かされています。

同友会で学んだこと

 今から約20年前、中尾氏は当時所属していた会社で経営についての勉強と民間の交友関係をつくるために島根同友会に入会しました。島根同友会はまだ準備会からのスタートでした。
入会から数年後、会社から独立し、アメリカで開業。その後、その会社を譲り、自身は日本で個人事業主として再スタートしました。その時に受講した経営指針セミナーがその後の経営に非常に大きな影響を与えることになりました。

 中尾氏は、経営指針成文化セミナーで、同期受講者の方に「今の事業の経営指針をつくっているのか、アメリカの会社の経営指針をつくっているのかわからない」と言われ、ハッとしました。「当時の事業が、自分が食べていくために始めたこと、いつかアメリカの会社に戻ることも考えていることが、やはりきちんと『経営者』をしている人には見透かされるのだと痛感した。また『その事業を私的な理由で辞めるということは、今自分を信じて仕事を託してくれているお客様にあまりにも無責任』だということもその同期受講者から指摘された」と言います。

 その言葉から、経営者とは何を大切にすべきか、経営理念とは何かを考えさせられ、「自分がいなくなっても事業が続けられるような経営」を自身の経営姿勢として心に刻み、まずは次年度には法人化と社員の雇用することを決めました。この経営指針成文化セミナーでは、持続可能な経営や経営者のあり方について学び、自分の経営への思いと自らの経営スタイルを築き始めるきっかけとなりました。

次世代に残る企業・サービスを

入口にて

 個人事業主の時に受講した経営指針成文化セミナーで学んだことは、今の経営スタイルにも生かされています。2010年の夏、(株)メディアスコープの代表取締役に就任した中尾氏は、社員との関係性や、会社全体の方向性を考え、まず経営理念をつくりました。まだ当時は経営理念というより、経営姿勢のような抽象的なものでしたが、今では社員の意見も聞きつつ、改定をしています。

 そのかいもあってか、社員が主体的に必死に働いてくれたおかげで黒字経営ができているとのこと。しかし、「社員は非常にがんばって働いてくれているが、身を粉にして、社員総出で働いて、やっと黒字が出るような経営では続いていかない。次の世代への継承は今のうちから始めないと間に合わない。社員はがんばってくれるが仕事中心の社風となっている。今期は売上を問わず残業をゼロにして、自分の働き方や自分の人生のことを考える時間をつくってほしい」と中尾氏は言います。

 中尾氏はそんな思いを持って、2回目の経営指針成文化セミナーに参加しました。地域のため、利用してくれる顧客のためにも、持続可能な地域づくりに向けた事業を行うという経営方針で、いい会社をめざして学びと実践を貫いています。

同友会に期待すること

 「自分もまだまだだが、自分含め全会員が経営者として成長することを期待している」と中尾氏。経営指針を作るだけでなく実践する。例会に出席するだけでなく、いいところを抽出し、実践する。さらに、自社の経営だけでなく、自分自身「経営者として」さらに高いところをめざして成長する。そうする人が増えることで、お互いが刺激しあえる。お互いが切磋琢磨し成長する、そんな会が同友会であると中尾氏は語ります。

会社概要

設 立:2007年
資本金:5,150万円
事業内容:映像・企画制作、セールスプロモーションの企画運営、地域振興事業
従業員数:24名
所在地:島根県松江市北陵町51-3(本社)
URL:http://www.ms-ltd.co.jp/