【第24回】経営姿勢を正し、あくなき挑戦企業へ 滋賀建機(株) 会長 蔭山 孝夫氏(滋賀)

蔭山孝夫会長

滋賀建機(株) 会長 蔭山 孝夫氏(滋賀)

本社

 滋賀建機(株)の創業は1971年4月に蔭山孝夫氏と明夫氏(現社長)の兄弟の二人三脚で建設機械の販売からスタートしました。

 創業当時は列島改造論による国土開発が進められており、滋賀県では琵琶湖総合開発計画が進み、公共工事が目白押しでした。時代の流れを予測し1989~98年までに県内9カ所に建設機械レンタルの営業拠点を展開。その間も積極的に異業種に挑戦し、1986年にはビジネスホテルを開業しました。しかしバブル崩壊後、好調な公共事業にも陰りが見え始め、しばらく建設関連は厳しい時代に入ります。

スキー場

 1997年、それをカバーする目的でアミューズメント施設やゴルフ練習場、環境事業として山岳トイレの設置やメンテナンス、琵琶湖のニゴロブナの養殖事業と滋賀の郷土料理、鮒寿しの生産などにも挑戦しましたが、どの事業も異業種でもあり、いずれも縮小、撤退し、「異業種分野への進出の難しさを知った」と蔭山氏は当時を振り返ります。

 現在では滋賀建機グループとして本体の滋賀建機建設機械のレンタルを中心に販売や修理、林業機械等も扱うようになり、本業を中心に幅広く展開しています。関連業種としてトラックなどの整備・車検を行う車両工場を新設、数年前から太陽光発電事業にも乗り出し、現在では6メガワットの発電施設を有します。関連会社としてエスケイビルドでは仮設ハウスやイベントレンタル事業、土木・基礎・湖上・浚渫工事などの扱う滋賀基礎工業、機械運送を行うエスケイ運輸なども設立。近年、M&Aでカーナビゲーションの販売会社、2013年には長野県の戸狩スキー場を支援しています。

 「49年間に異業種分野にも進出し、撤退することもありましたが、業界や地域のお客様の要望に全社を挙げて応えてきた結果ではないか」と蔭山氏は振り返ります。2021年には創業50年を迎え、6法人21部門の企業へと発展を続けてきました。

 これからも基本を忘れず何時も新進気鋭の企業として活躍していきたいと意気込みを語ります。

滋賀県中小企業家同友会の代表理事として、自らを律し、会社を変え、新たな可能性を広げたこの20年

 蔭山氏の同友会との出合いは、1996年の滋賀県経営研究集会へのゲスト参加でした。当時、バブル崩壊後、経済は混沌(こんとん)としており、特に建設業界は大不況に突入した時でした。わらをもつかむ思いで入会し、初めて参加して大きなショックを受けました。その真剣な学びや討論に感銘を受け、同時に役員研修会で故赤石義博氏(中同協会長、当時)から学び、その後『人間尊重の経営』『経営理念』『人間力経営』などの本を読みあさりました。1998年に経営指針成文化セミナーを受講。そしてたどりついたのは「労使見解(中小企業における労使関係の見解)」と同友会理念の実践をめざすことでした。

 「このころやっと経営者として目が覚めた」と蔭山氏。2001年から代表理事に就任し、代表としての責任の重さと同時に自社の更なる発展にチャレンジすることになりました。早速経営指針書の見直しと同時に企業経営に同友会理念の浸透などを試み、同友会の「社員共育」への参加、社内学習会の実施。後継者の同友会への入会など事業の拡大と社員の雇用に合わせて社内教育に取り組みました。

 「代表理事としての18年間は日本各地のへ報告者として赴き、そこでは自社の恥もさらけ出して全国の仲間から学ばせていただいた。北は北海道帯広、南は九州鹿児島まで。多くの同友会の仲間と知り合い、現在でも交流を続けています。同友会の要職をいただいたお蔭で自分自身も、周りも変わり、会社も変わった」と蔭山氏は振り返ります。

後継者の育成と地域に同友会を

レンタル機器

 2019年4月、18年にわたり務めた代表理事を退任し、2019年度より最高顧問として総務会や理事会、例会などに参加して「若い経営者とかかわり、経営や同友会の活動の支援をしていきたい」と語ります。会社では2006年に弟の明夫氏に代表を譲り、取締役会長に就きました。「この数年経営に直接携わる機会も少なくなりましたが、社内の教育係として同友会で学んだ事を、次代の経営者に後継しなければなりません」と蔭山氏。

 長年にわたる同友会での活動の結果、県内はもちろん、各地に多くの人脈や仲間ができたと振り返ります。そのため、経営以外の多くの時間は地域振興や経済団体など多くの社会活動へと活躍の場をひろげ、経営以外でも同友会を知らせようと活躍しています。

 同社は来年、創業50周年を迎えます。蔭山氏は「滋賀建機グループの売上が65億円となりましたが、次代の経営者がこれを宝と思うか、荷物と思うか。2代目3代目の経営の真価が問われます。いずれにしても同友会の人を大切にする経営を踏襲してほしいものです。これからの経営は労使見解でも言われているようにやりがいや働き方など、多様な価値観を認める環境づくりが必要です。不安定化する国際情勢などかじ取りは難しくなります。何時の時代も同友会理念の人間尊重の経営を社内外にひろげ、経営者が育つ場として、永久に続く企業と同友会づくりを進めていきたい」と意気込みを語りました。

会社概要

設 立:1971年
従業員数:170名
資本金:7,500万円
事業内容:土木工事および建築工事用機械器具の賃貸・販売、建設および建築資材の販売、各種建設機械・機器の修理サービス、太陽光発電およびオール電化の販売・施工
所在地:滋賀県愛知郡愛荘町中宿160-1
TEL:0749-42-8668
URL:https://sk-grp.co.jp