【第27回】同友会が原点、人を生かす経営実践 (株)飛鳥 代表取締役 永野 正将氏(高知)

永野正将社長

(株)飛鳥 代表取締役 永野 正将氏(高知)

本社外観

 高知県で、印刷事業、企画出版・自費出版、AR、ホームページ制作・運用・PDF・Officeデータ等制作代行、各種企画デザインを手掛ける(株)飛鳥は、1971年に写真植字業を創業し、1979年に、有限会社四国写植を設立。1994年には、現在の有限会社 飛鳥に社名を変更しました。

 コンテンツの多さゆえ、お客様の要望に対し、最適な提案で、柔軟な対応力とチーム力を誇ります。

 永野氏は、父である前社長の四男として誕生しました。若いころは英語力向上のため、オーストラリアでのワーキングホリデーを体験し、帰国後、「ちょっと忙しいから手伝って」の一言で入社しました。1998年9月のことです。「営業職に配属され、『後継者』と周囲からも見られ、孤軍奮闘していたものの、兄の入社により、後継者という存在意義に葛藤を覚えた事もありました」と永野氏は言います。

同友会とのかかわり

本社の様子

 「人を生かす経営」を実践し続ける永野氏は、「同友会が原点」と言います。

 高知同友会には、もともと、兄が当時の代表理事の紹介で在籍していましたが、2003年からは兄に代わり、永野氏が同友会の活動に参加するようになりました。

 参加当初は、ほとんど出席していなかったが2007年に青年部への参加をきっかけに少しずつ出席の回数が増えていき、同友会にかかわる中で「人を生かす経営」に衝撃を受けました。同友会での学びでは、「人間尊重経営」が提唱されています。2005年に、専務取締役に就任した当時は、「雇用を軽視していた」と振り返ります。まず、それを受け入れるところが「人間尊重経営」への第一歩でした。

 2009年には青年部会長に就任し、同年、経営指針を確立する会に参加し、経営指針を成文化しました。当時、すでに経営を任され経営の見直しと同時に経営理念の成文化をしたこの年が、会社のターニングポイントでした。

 成文化した理念は、「飛鳥に関わる全ての人の心からの笑顔と満足を創出します」。

 現在も理念は変わっていません。この言葉には、同友会の学びで、雇用する側の責任や経営者の覚悟を問われた永野氏の自己変革から生まれた、社員をもっとも信頼できるパートナーと考え、信頼関係を築く姿勢が表されています。これは、現在も変わることなく永野氏の中に根付いており、年を重ねるごとに会社内に浸透し、現在の家庭的な会社の雰囲気が確立しています。

 また、この家庭的な雰囲気を、「以前は『悪』だと感じていましたが、現在は『最大の長所』だ」と永野氏は語ります。

 2010年に、父親である前社長が、逝去したことにより、突然の事業継承となりました。
生前は、経営に関する意見が衝突することもありましたが、「今となっては感謝の気持ちしかない」と話します。

 経営指針策定後から現在まで、経営理念に基づいた方針は、毎年更新し、社員との共有もできています。会社が向かうべき方向を示すことで、全員のベクトルが合い、「柔軟な対応力とチーム力」がより強固なものとなっています。また、専門性の強い職場ゆえに、個々に仕事をすることも多いですが、社内のコミュニケーションも重視しており、リーダー会や交流会などさまざまなことにも取り組んでいます。

同友会へのメッセージ

 現在、高知同友会は会員数が減り、青年部の活動が停滞しています。

 青年部会長を務めたこともある永野氏は、「青年部の活動も含め、会内の活性化を期待している。特に青年部は若い世代がつながり、悩みを相談したり、学ぶ場として、その役目を発揮してほしい。自分を含め、同友会の学びを実践し続ける経営者が、高知にも増えてほしいと思います」と語ります。

 頼まれると、いやと言わない永野氏は、ご自身の人柄もあり、同友会にとどまらず、さまざまな所から声がかかります。どんなに忙しくても人とのつながり、地域とのつながりを大切にしています。同友会が原点=人を生かす経営(人間尊重)を実践し続ける永野氏の姿がここにあります。

会社概要

創 業:1971年
設 立:1979年*1994年に(有)飛鳥に社名変更
    1998年に(株)飛鳥に改組
資本金:3,000万円
業務内容:一般印刷事業(DM・チラシ・ポスター・新聞・会社案内など)、出版事業(自費出版・自分史・同人誌・書籍複製など)、デジタル事業(AR、電子書籍、webサイト制作・管理など)
従業員数:14名
所在地:高知県高知市本宮町65-6
TEL:088-850-0588
FAX:088-850-0599
URL:http://www.asuka-net.jp/