【第35回】同友会が教えてくれた経営者の追求の道 (株)照正組 代表取締役会長 照屋 義実氏(沖縄)

照屋義実会長

(株)照正組 代表取締役会長 照屋 義実氏(沖縄)

社屋外観

 (株)照正組(照屋義実代表取締役会長、沖縄同友会会員)は1950年に先代が創業して今年で70周年を迎えました。照屋義実氏は祖業である建設業を中心に、不動産、介護、保険業などにもかかわり、現在は関係5社の代表をしています。

経営者の魂

 43歳の時、40周年の節目の時期に先代から事業承継しますが、経営診断をしていた先生から「創業者の魂が宿っているか」の問いかけに、創業者の魂はどこにあるかを社長就任前に考えました。たどり着いた結果、会社が求める社員像に行きつきます。そして社長就任後には、創業の精神である「熱意をつくし・誠意をつくし・創意をつくす」について考えました。

 「熱意をつくし」の熱意は目標に向かって頑張る力。「誠意をつくし」の誠意は謙虚に自分の身をふりかえりながら、人様の役に立っているか。「創意をつくす」の創意は現場において創意工夫を発揮するかしないかが成果にかかわること。「熱意をつくし・誠意をつくし・創意をつくす」その三つの連続が創業して以後の照正組の歴史であり、先代が求めてきた社員像、幹部像だったのではないかと気づきます。
その後は、経営計画を作成するうえで、創業の精神だけでなく、「企業使命感」として、地域社会での使命を掲げます。永続的に発展する会社は人が育っていて、その業をしっかり受け継いでつないでいく、そういった社員が育っていかないとこの会社の未来はないことに気づきました。あれから29年が経ち、社長就任時に従業員に伝えた「3代75年続く経営基盤をつくる」ことの実現が検証の時期にきています。

新卒者の採用や社員教育に力を入れる

社内の様子

 「地域密着」、「地域が必要な業種」、「地域開発」を強みとし地域活動を積極的に行い、新卒採用、社員教育にも力を入れています。当時は中途採用をしていましたが、沖縄同友会の合同企業説明会をきっかけに新卒採用を始めました。毎年採用することで、社内の雰囲気やモチベーションの向上、平均年齢も若くなってきています。

 また、社員教育、社内でのイベント、福利厚生も充実し、社員が働きやすい環境整備に努めていますが、技術員の採用を怠ってしまったため、中堅の技術員不足が課題です。技術力を若い社員に引き継ぐことに今後は力を入れながら、技術系は理念教育が浸透しにくいため、浸透する仕組み作りを去年、事業承継した息子(3代目)と仕掛けています。

同友会での学びと実践

 沖縄同友会では、相談役として20年目、当時は共同求人、社員教育、同友会大学などにもかかわり、全国行事では中同協の定時総会や中小企業問題全国研究集会で4回報告する機会を生かしました。足元を見つめ、足跡を振り返り、整理したものを発表して、参加者から批評をいただくことと、ディスカッションも含め二回転半ひねりの学びと、それを実践することが大事だと気づきました。「経営の本質を学び、検証し、誠実に学びとる謙虚さが大切です。経営者として持つべき使命は何かを問題提起して自覚していく場とすること、ただ単に金儲け、技術を身につけるところではなく、経営を通して、何を世の中に問うていくか、経営者として追求する道というものを同友会が教えてくれました」と照屋氏は言います。

中同協設立50周年に寄せたメッセージ

 中同協設立50周年、同友会の三つの目的を持って、いかに自分の手足口を使って勉強スタイルをつくり、激動する歴史をくぐり抜けてきた先輩方が今の令和の時代を生きてきていることに大きな価値があります。多面的な問題意識を同友会は持っており、時間の使い方の工夫など、同友会を通してとても多くの学びを得ました。同友会運動は歴史の検証を経て、5万名をめざすほどに太くたくましくなってきており、これからますます中小企業にとって必要となる経営者集団となることに期待します。経済環境がバーチャルになっていく傾向の中で、同友会は足元をしっかり見つめ基本軸をしっかり守りながら、ますます発展していってほしいです。次にめざすところは中同協75周年という第3ステージ。大地に根を張り、さらに天高く伸びる事を願っています。

会社概要

設 立:1950年
資本金:4,000万円
事業内容:総合建設業。土地活用システム“NEXTAGE”による高収益事業を企画提案。商品:ネクスコート(アパート、マンション)・ネクステージハウス
従業員数:43名 
所在地:与那原町字与那原3108
URL:https://www.terumasagumi.co.jp