【第36回】企業は人なり  協栄工業(株) 代表取締役 佐藤 総一氏(大分)

佐藤総一社長

協栄工業(株) 代表取締役 佐藤 総一氏(大分)

高い技術力が強み

 協栄工業(株)は佐藤総一氏(協栄工業(株)代表取締役 大分同友会会員)の義理の父が1970年に設立し、今年6月で50周年を迎えます。管工事、土木工事、水道施設工事などの設計施工と保守管理を行っている会社です。現場を担当する技術者、技能者の成長が重要ですが、一人前になるには最低5年はかかります。中枢の工事部門には11人が1級の資格を持っており、技術力が高いことが強みとなっています。

社員とその家族の豊かさを追求

社屋外観

 佐藤氏は35歳の時に協栄工業(株)に入社し、1985年に大分同友会に入会しました。同友会で学ぶ中で、「経営理念」が大切であるということがわかってきました。ある会員から「何のために経営しているのか、何でこの会社をつくったのかを考えることが経営理念だよ」と教えられました。

 それから必死に経営理念を考え、「働いてくれる社員とその家族が幸せになること、豊かな生活を送ることができるために会社を経営している。社員満足が大切だ」と気づきました。そしてノートの1ぺージに経営理念を書き込むことから始め、1996年には経営指針書が完成しました。今では経営指針書を全社員に配布し、毎月1回の全体会議で佐藤氏自らが経営理念、経営方針について説明をしています。

2019年度ユースエール企業に

年齢構成表

 当時は中途採用がほとんどでしたが、「新卒の社員が全社員数の半分を超えると会社は変わる」ということを聞き、1989年から新卒採用を始めました。同友会の共同求人活動に参加する他、大学へ訪問し学内企業説明会を行ってきました。その結果、社員54名のうち20~30代の社員が63%を占めています。これまで新卒を定期的に採用してきたおかげで、非常にバランスの取れた年齢構成となっています。高齢化が進む業界の中で、若い社員が在籍していることは他社との差別化につながっています。

社内の様子

 共同求人活動を通して学ぶ中で、「本当に社員の物心両面の豊かさを追求するには経営指針に基づいて、労働条件も見直す必要があるのでは」と気づきました。そこで、社員の意見も取り入れながら、約1年かけて就業規則の見直しを行いました。また、有給休暇取得を推進するため、1カ月ごとに「有給休暇取得表」を作成し、その通りに有給を消化しているかを検証しています。なかなか有休取得が進まない社員がいれば「なぜ取得できないのか、取得できるような環境をつくるように」と佐藤氏が上司に対して伝えています。そのほか、ジョブローテーションを行うなど、社員が働きやすい環境づくりに取り組んでいます。こういった取り組みが認められ、2019年度ユースエール企業に認定されました。

事業承継は経営の集大成

 事業承継が長年の課題でしたが、2020年3月に後継者候補の娘婿が入社し、同友会にも入会しました。「同友会で人を生かす経営を学んできましたが、会社を維持、発展させるためにも事業承継は非常に重要だと考えています。1998年~2003年まで代表理事を務め、経営指針、人材採用、社員共育など同友会で多くのことを学んできましたが、次世代に経営を託す事業承継は私の経営の集大成です」と佐藤氏は晴れやかに語りました。

中同協設立50周年に寄せたメッセージ

 人を生かす経営の冊子の中に経営のすべてが網羅されています。「労使見解」に基づいた経営指針、社員共育が大変重要です。私も経営に悩んだ時など、教科書として何度も読み返しました。ぜひ一人でも多くの方に、人を生かす経営に触れていただきたいと思っています。

経営理念

●素直さと思いやりに満ちた人々が集う会社(協調・協和・共済の精神があふれる会社)
●誰もが認める、他を以って替え難い会社(オンリーワンを追求する会社)
家族にも信頼され愛される会社(幸福を追求しつづける会社)

会社概要

設 立:1970年
事業内容:総合設備業(管工事、土木工事、水道施設工事、機械機器設置工事業、消防施設工事業)の設計施工と保守管理
従業員数:54名
所在地:大分市大字下郡字千鳥3225番地の23
URL:http://www.kyoei-os.co.jp/index.html