【第12回】飲食店の新しいカタチ バーチャル店舗開業 (株)吉兵衛(よしべえ) 代表取締役 上林 守氏(兵庫)

上林守社長

(株)吉兵衛(よしべえ) 代表取締役 上林 守氏(兵庫)

はじめに

三宮店の今昔

 かつ丼店である(株)吉兵衛(上林守代表取締役、兵庫同友会会員)は、1979年にかつ丼吉兵衛を始めた創業者の父から思いと味を承継し、2010年4月に会社を設立しました。当時から、神戸の中心、三宮の地下専門店街でも行列ができる店として親しまれており、先代が作る絶品かつ丼は多くのファンを魅了し、全国丼グランプリ金賞を受賞するほどでした。直営店舗は関西エリアを中心に8店舗、フランチャイズ店舗が1店舗あり、過去には、台湾店舗出店も経験しました。

飲食業界を大打撃、新型コロナウイルスの影響

 行政の自粛要請を受けて、4月8日より、全店舗で臨時休業となりました。その間の運転資金などの借り入れは万全ですが、今後、何もしなければ借入金も水の泡になってしまいます。コロナ自粛期間後の、店舗売上が昨対30%減までに落ち込んだ半面、デリバリーに関しては昨対400%増まで上昇。コロナ前から始動していたデリバリーサービスに活路を見出します。

バーチャル店舗で活力を

かつ丼

 かつ丼はデリバリー向きである強みを生かして、飲食業界で吉兵衛をシェアする試みに力を入れています。吉兵衛は、「かつ丼で活力を」「1人ひとりに活力を届ける」に共感したパートナーとアライアンス(協業)を組み、パートナーが現在営業している店舗の屋号を変えず運営したまま、既存設備や人材を活用し、オンライン・デリバリー・サービスのアプリ内にオンラインデリバリー限定店舗として、バーチャル店舗「かつ丼吉兵衛」を出店しています。具体的には、各地域の飲食店と共同でバーチャル店舗の取り組みをスタートし、各店舗で吉兵衛の商品を作ってもらいUberEats(ウーバーイーツ)で配送する取り組みです。

 バーチャル店舗事業は、お客様においては、(1)簡単に注文ができるデリバリーの利便性。(2)メニューレパートリー創出。パートナーにおいては、コロナ禍の新たな収益源の獲得。吉兵衛においては、(1)1人でも多くの方に活力を届けることが可能。(2)Win-Win-Winの関係構築ができるといった狙いがあります。

 コロナによる外部環境の変化を常に把握し、新たなマーケットを創出していくことが企業の命題。コロナの激動に立ち向かう「かつ丼吉兵衛」のこたえは、『コロナ前の状態に回復させていくだけではなく、今までやってきたことを見つめ直し、新たな柱を創るべく果敢に挑戦していくこと」だと力強い言葉を聞くことができました。

同友会への想い

 上林氏は、同友会へ入会するより以前は、社員の結婚式の祝辞のスピーチでも頭が真っ白になってしまうほど人前で話すのが苦手でした。しかし、2012年に同友会へ入会後、経営指針を成文化し、同友会での仲間づくり、例会報告を通して経営者としての自信が徐々についてくるのを実感できました。

 また、よい意味でのライバル視できる仲間に刺激を受け、切磋琢磨できる環境が同友会の魅力です。
 肩ロースかつ丼が目玉商品の吉兵衛を通して、「かつ丼で活力を」を合言葉に、1人でも多くの方に活力を届ける志(目標)を、バーチャル店舗事業を通して実現する未来を描いています。

会社概要

創 業:1979年
設 立:2010年
従業員数:13名(臨時 80名)
事業概要:かつ丼店
所在地:兵庫県神戸市中央区三宮町2-11-1センタープラザ西館ビル地下1階A-22
TEL:078-515-6460
URL:https://www.yoshibei.co.jp/ (企業HP)
URL:https://bit.ly/2DATNIG (バーチャル店舗の取り組み)