【第27回】地域企業連携で、コロナ禍に立ち向かう~高知同友会:安芸「里帰りの食卓」

 2020年3月、コロナ禍は高知県、そしてこの高知同友会安芸支部にも頭をもたげてきました。特に輸出を始め、「地産外商」(地域でつくったものを当該地域外に販売する)に取り組む割合の大きな企業ほど、その影響は顕著でした。

 ホテル、飲食店への販売や冠婚葬祭、広告・イベント業に観光関連。前年の半分以下まで急落する売上になす術はなく、5月の持続化、家賃支援などの給付金や各金融機関の融資に支えられたものの、未だに根本的な経営改善には至っていません。

 まさに世界中が、そんな敵の確かな正体もつかめずにいたころ、一筋の希望も生まれようとしていました。同友会の支部を越えた、「安芸」という地域にこだわる会員同士の連携です。

 発想はこうです。「自分たちが大好きなふるさと。当然県外在住の地域出身者には、望郷の念も強いはず。ましてやGWを目前に、緊急事態宣言発令中の今、帰りたくても帰れない人々が望むこととは何だろう。そうか、それは単に物だけではなく、家族や友人たちとの心のつながりを含めた、ふるさとの山や海の存在なのかもしれない」そんなことを考えました。

里帰りの食卓

父の日ギフト

 そこでまずは、地域の顧客から県外に住む家族や友人に向け、ふるさとに住むゆかりの人々やその自然を、懐かしく愛おしく感じてもらうため、そのキッカケとなる仕組みや商品を作ろうということになりました。

 それが、「里帰りの食卓」です。

 この手弁当の企画は、受注から出荷までのオペレーションを確認するための、いわばプロトタイプながら、「父の日ギフト」として出荷数は70を越えました。

 出展者は、市内では少々名の知れた企業、5社5名の同友会会員と、会員候補1名。それを取り仕切るのが、創業173年を迎える老舗地域商社です。そしてこの流れのまま、半年後には県の補助金を活用し、Webショップを導入した歳暮企画を立ち上げることとなりました。初回同様、企業同士のコラボ商品も組み入れ、FacebookをPR用のホームとして活用。タイムリーに例会報告も開催してもらえ、まずまずの成績となりました。

 2021年度の展開としては、単独中元カタログへの、商品拡充をメインとしたブラッシュアップを考えています。

里帰りの食卓

会員同士が「つながる」

 たまたまコロナ禍から生まれた、会員企業連携。今回そもそも、経営理念について共に学んだ、常々気心の知れた会員同士だったからこそ、急な事業展開も可能であったし、不平不満も出ず各業務を協力分担できました。まだまだ事業大成功とまでは言えませんが、絆は当然深まっています。高知同友会全支部会員の、商品一括Web販売登録も夢ではありません。

 「つながる」ということは、コロナ終息後も重要なワードとなるに違いありません。

(文:高知同友会安芸支部幹事 小松哲也氏)

参加企業
有限会社有光酒造場
代表取締役 有光 尚
創業:明治36年(1903年、今の会社組織は昭和31年)
事業内容:酒類の製造・販売
従業員数:8名
URL:http://ww8.tiki.ne.jp/~akano/

有限会社安芸グループふぁーむ 
創業:平成7年(1995年)
代表取締役 小松 哲也
事業内容:アイスクリーム、菓子の企画・製造・おろし販売小売業
従業員数:3名
URL:http://yakinasu-ice.com/

有限会社ギフトのさとう
代表取締役 佐藤正
創業:嘉永元年(1848年)
事業内容:贈り物、結納のし、仏事用・ご挨拶状作製、酒、タバコ、切手、ホーマック・ソーサリー取扱店
従業員数:7名
URL:https://shaddy.jp/gs_front/app/shop/shop_introduction/search/kochi/aki/85220-000/

岡宗農園
代表取締役  岡宗 信明
設立:平成14年(2002年4月)
事業内容:花苗・庭木・観葉植物・雑貨・資材などの販売、花壇・庭園の設計、施工、造園、手入れ、刈り込み
従業員数:7名(生産部除く)
URL:http://www.merrygarden.jp

ハッピーファーム有限会社
代表取締役:萩野裕章
設立:平成17年(2005年)
事業内容:ミニトマトの栽培、加工、卸、販売
従業員数:9名
URL:https://www.happy-tomato.co.jp/

田渕水産(会員外企業)
代表:田渕順一
設立: 大正9年(1920年)
事業内容:水産物、卸、加工、販売
従業員数: 5名
URL: なし