【第30回】機械屋が作った幸せを包むマスク (株)山口精機製作所 取締役社長 山口 誠氏(京都)

山口誠社長

(株)山口精機製作所 取締役社長 山口 誠氏

マスク製造販売に至った経緯

機械屋が作った幸せを包むマスク

 (株)山口精機製作所(山口誠取締役社長、京都同友会会員)は、京都府亀岡市にて1968年に創業。精密機械部品の製造及び加工を行っている老舗の製造業です。コロナ禍にあって、地元亀岡においても使い捨てマスクを洗って繰り返し使わざるを得ないほどにマスクを入手しにくい状況が続いていた2020年4月、少しでも地域に貢献できることは無いかと新たな分野であるマスクの製造販売に着手。急ピッチで資金や機械を調達し、製造ラインを構築して、6月に「機械屋が作った幸せを包むマスク」の販売を開始しました。

 製造にあたり最も気を配ったことは、品質をいかに保証するかということでした。その点、日ごろ精密機械部品の製造を行っている品質管理のノウハウが役に立ちました。

地元自治体との連携

製造風景

 マスク製造に着手し始めた昨年4月ごろ、地元企業としてかねてより亀岡市と付き合いがあった同社は、マスクの備蓄がなくなりつつあった市から依頼を受けて2万枚のマスクを販売します。7月には次なる非常事態の発生に備えて同市と「緊急時における感染症防止対策に係るマスクの優先供給に関する協定」を締結し、地域との連携を深めました。

 さらには市のふるさと納税返礼品にも選ばれました。マスクをふるさと納税返礼品に設定している自治体は珍しく、大きな反響を呼びました。

今後の展望

カラーマスク

 これまでは前述の通り亀岡市との連携の中での売上が主でしたが、今後は地元小売店などでの店舗販売にも力を入れていきます。そのために目を引くキャッチーな色つきのマスクの製造販売を開始しました。

 また、医療用のマスク「N95マスク」の製造にも着手します。通常の不織布マスクより製造は難しいですが、この間培ってきたマスク製造の技術を応用すれば十分に製造可能です。「国内でN95マスクを製造している企業は希少なため、ニーズに応えることができるはずだ」と山口氏は目を輝かせています。

 さらなる展望として、これまでマスク文化がなかった海外においても安定してマスクが供給されるように、マスクの製造販売に留まらずマスクを製造する機械、そしてマスク製造のノウハウごとパッケージ化して海外に販売する壮大な計画が進行中です。すでに、自社製のマスク製造機を開発しており、この計画の実現は目前に迫っています。

 少しでも地域のためになればと行動し、地元亀岡を安心と幸せで包んできたマスク製造事業。同社のマスクを通じて世界中の人々を安心と幸せで包む日もそう遠くありません。

会社概要

創業:1968年
設立年:1976年
資本金:3,500万円
従業員数:30名
年 商:3億7,000万円
事業概要:精密部品加工及び設備組立調整を中心に設計電装まで生産
所在地:亀岡市大井町並河3-16-13
TEL:0771-23-0531
URL:https://yamaguchi-seiki.com/about.html