（株）グローバル・クリーン 代表取締役 税田 和久氏（宮崎）
コロナに負けない！―外部環境に左右されない企業づくり―
（株）グローバル・クリーン（税田和久代表取締役、宮崎同友会会員）は、宮崎県日向市（人口約5.9万人）で、創業から22年（個人8年、法人化14期目）、ビルメンテナンス・不動産を中心に事業を行い、ビルメンテナンスでは2016年に商標登録した「クリーンコンサル」に力を入れています。「クリーンコンサル」とは、清掃や衛生管理、感染対策の除菌清掃などのノウハウを指導・教育していくコンサルテーション業務のことです。
15年前に宮崎同友会の「経営指針をつくる会」で経営指針を成文化後、14年前から経営指針発表会を継続しています。これまでの同友会での学びで一番頭に残っているのは、経営者の責任において「いかに環境がきびしくとも、時代の変化に対応して、経営を維持し発展させる責任がある」という『労使見解』（「中小企業における労使関係の見解」、中同協発行パンフレット『人を生かす経営』所収）の一節と税田社長は言います。
コロナ禍の影響によりホテル、飲食業界からの売上がゼロになり、病院や介護施設などの立ち入り制限により売上が減少しました。しかし、衛生管理という視点から、スーパーや食品関連といった業種との取引や衛生管理商品の販売が大きく伸び、影響を最小限に抑えることができ、2021年6月決算での売上は前年比93％の2億4,500万円で、営業利益も確保することができました。外部環境に左右されない企業づくりをしなければ未来は描けない。コロナ禍にあって税田社長は決意を新たにしています。
お掃除屋さんからの脱却
「クリーンコンサル」のきっかけは2008年の「リーマン・ショック」でした。
リーマン・ショックの影響で経費削減を余儀なくされたお客様から「掃除ぐらい自分たちでやります」との電話が鳴りやまず、途方にくれました。仕方がないと諦めることもできましたが、掃除のやり方も知らないお客様がクリーンな環境を保てるはずがないと考え、「このままではお客様にとってもよくない」との思いから「掃除のやり方を教えさせてほしい」と提案しました。このことが、「クリーンコンサル」に可能性を見出したきっかけとなり、環境変化に対応した事業として2012年には宮崎県経営革新企業に認定されました。
清掃・不動産業は、地域密着型の業種です。かつては、宮崎県内を商圏と捉えてきましたが、小さな市場規模の中にも多くの同業者との競争があります。「クリーンコンサル」は場所を選ばず、日本全国のお客様にサービスを提供することができ、商圏が全国に広がりました。また、利益率も高く、財務構造の改善にも大きく寄与しています。昨年度はHACCP認証取得をめざす地元スーパーとの連携も行い、お客様からのニーズは清掃という枠を越えて広がっています。
同社の昨年度のスローガンは「変化をチャンスに！」でした。この部門を育ててきたことがコロナ禍を乗り切る柱となっているとともに、新たな展望も拓いています。
クリーンの力で社会の課題に挑戦する
同社では、創業以来、障がい者雇用（現在6名、法定雇用率11％）を続けています。「クリーンコンサル」事業のひとつとして障がい者施設（B型事業所）にプロフェッショナル清掃を指導する研修会を宮崎同友会と連携、開催して9年目になります。9年前、2事業所清掃売上400万円からスタートし、8年目には、7事業所約3,800万円まで伸ばすことができました。
めざすは10事業所1億円です。自社だけでなく、地域社会においても障がい者が安心して働ける街をめざし活動しています。現在では、宮崎だけでなく、大分、石川、埼玉、京都、茨城、熊本など全国から「宮崎モデル」として声をかけていただきもらい、全国各地の同友会会員とも連携を図っています。これからもさまざまな社会課題やSDGsの取り組みに挑戦する予定で、お客様、地域社会から選ばれ、必要とされる「よい会社」めざす同友会のモデル企業として注目されています。
経営理念
クリーンの力で社会の課題に挑戦し続ける
会社概要
創 業：2000年
資本金：900万円
年 商：2億4,500万円（2021年6月）
事業内容：ビルメンテナンス、不動産、クリーンコンサル、衛生管理商材販売
従業員数：正社員11名、パート・アルバイト69名（障がい者6名）
授賞歴ほか：新・ダイバーシティ経営企業100選（経済産業省2017）
はばたく中小企業300（中小企業庁2017）
中小企業の働き方改革成功読本 働きやすい職場10社に選定（厚生労働省2020）
所在地：宮崎県日向市亀崎1-28
TEL：0982－55－0360
URL：http://globalclean.co.jp
