【第30回】お店でもお家でも楽しくおいしく！　（株）グラディア　代表取締役　森本麻紀氏（高知）

（株）グラディア　代表取締役　森本麻紀氏（高知）

　高知市の商店街の中心に位置する中央公園のすぐそばにあるカフェ「5019 PREMIUM FACTORY」を経営する森本麻紀氏（（株）グラディア代表取締役、高知同友会会員）は、高知ではちょっと知られた存在の女性経営者です。高知だけでなく香港にも2店舗展開しており、香港政府主催の「香港フォーラム」にて「サクセスストーリーアワード」を受賞しています。近年では高知市商店街のアーケード内にバー「グラディア」もオープンしました。座右の銘は「死ぬこと以外カスリキズ」。バイタリティあふれる女性です。

コロナ禍での奮闘

　「5019 PREMIUM FACTORY」では、「龍馬バーガー」「強引具バーガー」など名物メニューも目白押し。ランチタイム、ディナータイムを展開するカフェです。
　ところが、2020年に始まったこのコロナ禍において、社員とその家族を守るためにいち早く休業を決断。自身も家族と共に自粛生活を送る日々でした。しかし、どんな時でもへこたれない森本氏はただ自粛生活を送っていたわけではありません。終わりの見えない状況の中でも、メニューの研究開発をするなど、営業再開への準備に余念がありませんでした。
　そのような日々を送る中、森本家の決まりである「食事の時間は楽しく」過ごすため、奮闘が始まります。夕食メニューの工夫や、庭でBBQなどさまざまな工夫を凝らしながら家族との食事を楽しんでいました。

新商品・サービスの展開

　突如ＳＮＳに森本氏扮する「まき婆」というキャラクターが現れました。「まき婆」が手にしているのは、森本氏が開発した「土佐のまき婆　万能だし」です。その後、「万能しょう油」「万能ケチャップ」「万能タレ」など次々と新商品を開発していきました。ついには、コロナ禍においても、自主隔離とPCR検査陰性確認のうえ、「万能タレ」を引っ提げてハワイに出発。現地での評判をリサーチし、ハワイ出店準備に向けて準備を進めています。
　そして帰国後、新規事業展開へと踏み切ります。「万能」シリーズの好評を受け、加工工場を新設。また、飲食店で働く人たちの働く場所の受け皿にと、派遣会社を設立しました。たくさんの雇用を生み、フル回転で稼働している状況です。もちろんカフェの方も、テイクアウトをはじめ、おうちで作る楽しみを味わう限定セット「ハンバーガーキット」の展開など、自身の家族の食卓のみならず、お客さんが家族と共に楽しんでもらうことも考え、新商品、メニュー開発に取り組んでいます。

決して井の中の蛙にならない

　どのような状況にあっても森本氏は「足元にヒントはある。特別なことせんでも、普段の生活の中にある」と語ります。一緒に働く息子さんは、以前同友会で「母は強い。ハッキリとものを言うけど、ものすごく気にしい（気を遣う）で、家に帰ってきて、あれでよかった（だ）ろうか、言い過ぎんたんじゃないろうか（言い過ぎたのでは）…と気にしゆう（ている）。そんな母を、僕は尊敬しています」と語っています。
　森本氏は、何事にも全力投球で、コロナ禍で度重なる休業や営業時間短縮が続く中もさらなる挑戦を続けています。危機の時こそ足元を見つめ、地盤を固める。そして時には攻める。高知が大好き、家族（社員も含む）が大好き、人が大好き。でも決して高知という井の中の蛙にならず、目線はいつでも大海にあります。
　森本氏が羽ばたけるのは家族と、高知の存在があってこそ。これからも、家族と高知と共に挑戦は続きます。