【第35回】「山を貸そう」新サービス!森林レンタル (株)山共 代表取締役 田口 房国氏(岐阜)

(株)山共 代表取締役 田口 房国氏(岐阜)

 90%が森林の岐阜県東白川村で、林業と製材を営む(株)山共(田口房国代表取締役、岐阜同友会会員)は、2020年11月に森林を区切り利用者に貸し出す森林レンタルサービス「forenta」を始めました。
 「forenta」を始めるきっかけは、3代目社長である田口氏がコロナ禍で自粛を余儀なくされ、空いた時間に芸人がソロキャンプをしている動画をたまたま見たことでした。世間ではコロナ禍の影響もありキャンプブームで、キャンプ愛好家の中では自分専用に山を買う人がいることを知ります。
 以前から、山を多くの人に知ってもらいたい、山に触れてもらいたいと思っていた田口氏。山に興味を持つ人がいることを知り、うれしい反面、趣味で所有している人が山に飽き、ほったらかしにされて地元が迷惑をするのではないかとの不安も感じます。そこで、双方にメリットはないかと考え、インターネットなどで調べましたが、該当するサービスがなく、それなら自分で始めようと思いついたのが森林レンタルサービスです。1区画300坪を年契約6万6千円でレンタルし、水道や電源はなく仮設トイレがあるだけの森林に、利用者はドラム缶風呂を据え付けたり、ロープと丸太でブランコを作ったりと自由に使うことができます。
 このアイデアを思いついたのは2020年6月。そこからわずか5カ月で募集を開始しました。当初、受け入れられるかどうか半信半疑でしたが、自社の林で17区画を募集すると440件もの応募があり、思わぬ反響に驚いたと言います。現在は57区画に増やし運営しています。またフランチャイズ化で他県他社にも取り組みが広がっています。

田舎と都会は補完関係

 都会で窮屈さを感じる利用者にとって、あるがままの自然に触れ、自由度の高い場所で自分を解放できることが「forenta」の魅力です。これまで製造業として商品に手をかけオーバースペックにして付加価値を高めてきた田口氏にとって、手をかけずミニマムスペックで利用者に受け入れられることは大きな気づきであり、目からウロコだったと言います。
 また、このサービスは山主にもメリットがあります。木は出荷するまでに50年以上の時間がかかり、山主はその間、手を掛けてもまったく収入にはつながりません。ですが、このサービスにより新たな収入源を得ることができます。また、自然の状態で山を貸すので木を出荷することの妨げにはなりません。
 この取り組みを通じて、東白川村に育ち、大自然に囲まれた生活が当たり前の田口氏にとって、都会に住み、休日に山を訪れるサービス利用者の姿をみて、田舎の良さと都会の良さは補完し合う関係にあると実感しています。無理に都会に近づけるのではなく、森林資源をはじめ、ここにある資源を活用し豊かな田舎づくりをすることで可能性がさらに広がると期待しています。

会社概要

設立:1955年12月
資本金:8,000,000円
社員数:13名(2018年8月現在)
事業内容: 杉・桧を中心とした国産材全般の製材・乾燥・プレナー仕上げ加工
所在地:岐阜県加茂郡東白川村越原976-10
TEL:0574-78-2516
FAX:0574-78-2236
URL:https://yamakyo.com/