【第43回】気仙地域のみんなの幸せの拠り所を実現したい  おかずや和笑輪((有)橋勝商店)代表取締役 橋詰真司氏、専務取締役 橋詰 智早子氏(岩手)

おかずや和笑輪((有)橋勝商店)代表取締役 橋詰真司氏、専務取締役 橋詰智早子氏(岩手)

 昨年暮れ、陸前高田にオープンした「おかずや和笑輪(橋勝商店)」(橋詰真司代表取締役、橋詰智早子専務取締役、岩手同友会会員)。東日本大震災から11年、そしてコロナ禍を経て、想いを紡いできた店舗がようやく完成を迎えました。
 白を基調にした明るい店内には、日替わりの色とりどりの手作りの「おかず」が並び、持ち帰り用のタッパーを持ったお客様がひっきりなしに訪れています。

家庭では真似できない味

 「おかずや和笑輪(橋勝商店)」の店のコンセプトの第一は、「主婦以上プロ未満」。毎日食べても決して飽きない。でも家庭ではなかなか作ることができない手間のかかったおいしさを提供することです。
 和笑輪のメニューは毎日変わります。「今日は何がお勧め?」「イカがいいよ。生から煮てるから味がまったく違うよ」と、素材選びから仕込みまで手のかけ方が違います。素材は地元の精肉店や味噌醤油醸造元にも協力してもらい味付けを工夫するなど、真似のできないおいしさです。

この容器一杯に詰めて!

 和笑輪では、食品残渣、容器のゴミも一切出さないことをめざしています。持ち帰りの容器については、「食べられる容器で提供したい」と本気で構想を練っているほどです。
 これまで惣菜やお弁当を提供する中でずっと気になっていたのが、一緒にプラスチック容器や使い捨ての容器などのゴミも提供してしまっていることでした。新店舗をオープンするにあたり、家庭で日常使っている容器をお持ちいただくのを原則にしようと決めました。
 「どこもやっていないなら、私たちからやってみよう」と、保健所にも相談し問題がないことも確認した上で、勇気をふるってスタートしました。今ではリピートいただくお客様の多くが、それぞれ家庭で使用しているタッパーを持って来店するようになりました。「この容器に一杯詰めて」など、お客様も慣れた様子です。

世界を見たことでブレがなくなった

 2020年、専務の智早子氏は、思い切って岩手同友会の第6回エネルギーシフト欧州視察に参加します。まだ具体的な構想が見えない中でしたが、新たな店舗づくりへの夢を実現するために、さまざまな方法を模索していた時のことでした。
 訪れる場所一つひとつが、智早子氏の想いをより一層強くしていきました。帰国後、感動のままに話す智早子氏の話を聴いた真司氏は「正直最初は言っている意味がわからなかった」と笑って話します。それくらい、世界の実像から、自分たちが描く幸せの見える未来を体感した刺激は、その後の構想実現への一歩を急加速させました。「世界を見たことで確信が持て、考えにブレがなくなった」二人は声をそろえて話します。

幸せが見える職場だから幸せな味を提供できる

 和笑輪の店舗は、同友会の企業同士の連携、想いでつながっています。地元気仙杉を切り出し提供した村上製材所、建築を担った長谷川建設、給湯設備はミウラ燃機、断熱壁は小原商店、外構庭は仙北造園、そしてこれから駐車ヤードの屋根に取り付け電力の自家消費をめざす取り組みにはパートナーズが担っています。また食材には八木澤商店の醤油味噌やほかにも地元の食材が数多く生かされています。
 そして今回、新しく店を始める上ですべての根幹に置いたのは、「社員にとって幸せな職場を実現すること」でした。「ある方は小さなお子さんを育てながら、またある方は介護をしながら、ここで働いていただいています。その社員一人ひとりが将来に幸せを感じられなければ、お客様に幸せを感じていただけるおいしさを提供することはできない」。
 お客様がひっきりなしに集い、共鳴した仲間が集い、そして働く社員が幸せを感じ合える。震災、コロナを経てここが、気仙地域のみんなの幸せの拠り所になります。

会社概要

創立年:1965年
設 立:1988年
資本金:300万円
従業員数:12名
事業内容:手づくり惣菜のテイクアウト&ごはん家「和笑輪」
住 所:岩手県陸前高田市高田町館の沖303-6
電話番号:0192-47-5255
URL:https://hashikatsu.jp/