【第47回】理念経営で地域に貢献できる企業をめざす (有)たんぽぽ運送 代表取締役 稲葉 晃氏(青森)

(有)たんぽぽ運送 代表取締役 稲葉 晃氏(青森)

 「~あずましの里~黒石」木造アーケードが並ぶ「こみせ通り」や日本3大流し踊りの「黒石よされ」が有名な青森県黒石市で青果物をメインとする長距離輸送を行っている(有)たんぽぽ運送(稲葉晃代表取締役、青森同友会会員)は、1993年に創業しました。2018年に青森同友会の「第16期経営指針を創る会」を受講し、社員たちと共に経営指針を成文化し「想いをつなぐ物流サービスで業界や地域の発展に貢献し社員と家族が誇れる企業を目指す」という経営理念のもと経営しています。

激動の時代で勝ち残っていくためには

 2020年に起きたコロナショックは運送業への影響はすぐには現れませんでしたが、徐々に経済活動の制限やコンテナ船の不足で輸入品が大きく減少するなどの影響が生じました。青森県内から県外へ輸送する荷物はあっても帰りの積荷が極端に減ったといいます。また、原油価格の高騰による燃料費の増大が運送業界全体を苦しめています。稲葉氏は「短期的に見れば一時的な燃料費の値下がりはあるかもしれませんが、1年後、5年後と長期的にみれば今よりも上がっている可能性の方が高い」と言います。しかし「運送業は、形は変わっても100年後もなくてはならない仕事。時代に取り残されないように常に変化して、勝ち残っていかなければいけません」と前を向きます。たんぽぽ運送は現在、黒石市にある本社のほかに熊本県に営業所を展開しています。将来的には日本各地に営業所を置き、各拠点でドライバーチェンジしながら労働時間を短縮しつつ、迅速な長距離の配送をめざしています。

地域の困りごとを解決するために

 稲葉氏は、たんぽぽ運送のほかに今年2月、青森同友会で出会った仲間と共同経営で黒石市の隣の弘前市で寝具店をオープンしました。また、近々同じく同友会で出会った仲間とラーメン店のオープンも計画しています。稲葉氏は「さまざまな事業に着手していく目的は、本業の運送業とはまったく異なる業種の経営者と一緒に『何か』をすることで青森県全体の活性化に貢献することです。コロナ禍で地域の元気は確実に削られました。たくさんの事業を展開することで自分が儲けるということではなく、地域の困りごとを少しでも解決して地域に元気になってほしいですね」と思いを語ります。

社員がずっと元気に楽しく生活していくために

 たんぽぽ運送の本社では、社員の家族も交えた120時間のバーベキュー懇親会が行われました。120時間にも及ぶ長時間のバーベキューを開催した理由として稲葉氏は「熊本営業所の社員さんや、勤務時間が一律ではない長距離ドライバーのみんなが参加しやすいようにするため、ぶっとおしでやることにしました」と笑います。
 近々農業生産法人を立ち上げてりんごの生産にも乗り出す計画も立てています。その理由として「日本一のりんごの産地である青森県のりんご産業を発展させることと、たんぽぽ運送で働き高齢でトラック乗務が難しくなった社員さんが退職するのではなく、いつまでも安全に楽しくたんぽぽ運送で働ける環境をつくっていきたい」と語る稲葉氏の展望はとどまることがなさそうです。

経営理念

想いをつなぐ物流サービスで業界や地域の発展に貢献し社員と家族が誇れる企業をめざす

会社概要

創業:1993年(2000年法人化)
資本金:1000万
事業内容:青果物をメインとする長距離輸送
社員数:63名
所在地:〒036-0343 青森県黒石市浅瀬石字扇田418