【第1回】おいしさに安心・安全を添えてお届け (株)藤桃庵 代表取締役 籔本 周也氏(和歌山)

(株)藤桃庵 代表取締役 籔本 周也氏(和歌山)

 和歌山県紀の川市はブランドの「あらかわの桃」で名高い桃の産地です。産地だけあって、桃生産農家が数多く存在しています。

 (株)藤桃庵(籔本周也代表取締役、和歌山同友会会員)は桃の農家の三代目として活躍しています。

ジェラート店のオープン

 元々籔本氏は大学卒業後8年半の間サラリーマンをしながら週末だけ家業の桃農家の手伝いをしていました。そんな時、新たな販路開拓のためパソコンに詳しい奥様が自力でウェブサイトを立ち上げ、2005年当時周囲がどこも行っていなかった画期的な桃のインターネット販売をスタートしました。続いて2007年に無肥料、減農薬での栽培を始めました。すると、傷んで出荷できない桃が増えましたが「見た目だけで捨てるのはもったいない」という奥様の一言により外部委託でジェラートを作ることとなりました。しかし、しばらくすると委託先の人が高齢で廃業することになります。その方から「自分たちで作ってみては」と後押しされ、最初は二の足を踏んでいましたがやってみようと決意して2014年にジェラート店をオープンしました。翌年法人化し、その間籔本氏は勤めていた会社を退職して事業に専念。「創業後最初の3年間は本当にしんどかった。何も分からずジェラートをカップに盛ることすらできませんでしたが、アルバイトの人たちと試行錯誤しながら何とか頑張ってきました。ちなみにその時のアルバイトの人たちは今でも全員頑張ってくれています。人のご縁に気づかせてもらい感謝です」と振り返ります。

和歌山の良さを知ってもらいたい

 オープン3年目にはパフェの製造販売も始め無肥料減農薬の桃で作るスイーツの人気は日に日に高まり、週末や夏休みになると行列ができる日も少なくありませんでしたが、繁忙期は限定的なものでした。和歌山県は一年を通じてさまざまな果物が収穫されるフルーツ王国ということもあり、「もっと和歌山の良さを知ってもらいたい。そして、従業員の働く機会を提供したい」との思いから現在は桃だけでなくイチゴや和栗など季節ごとに厳選した地元の食材を使った商品を1年中提供しています。

同友会に入会して

 同友会に入会したのは創業して3年後。「考えが変わりました。会社としてきちんとやっていかないとダメだと思いました。活動に参加している中で従業員を大切にし、事業活動を通じて地域の活性化に貢献している人が多いことが分かりました」と籔本氏。経営指針書セミナーへの参加や積極的に会員企業の会社を訪問し、先輩会員から経営の心得を学び、経営者としての覚悟を決めました。

新店舗「桃のしあわせ館」開設

 近年テレビなどでも取り上げられ注目されたことでお客様が増えましたが、せっかく来て頂いたのに駐車場に止められずに泣く泣く帰られたり、作業所が手狭になってきたことなど、お客様一人ひとりに十分に行き渡ったサービスが提供できなくなってしまったこともあり、多くの人に立ち寄ってもらえる観光フルーツパーラーの2023年3月オープンをめざして準備中です。「設立に当たっては、事業再構築補助金の申請や金融機関との交渉など、初めて経験することも多くありましたが、同友会の仲間からもアドバイスをもらい経営者としてもステップアップできた気がします。チャレンジです」と籔本氏。また、「自分たちがさまざまな可能性を示すことで地域の桃農家にも自信を持ってもらい、長年の課題と言われている桃農家の後継者不足の解消や人材育成にかかわっていきたい」と自社だけでなく地域全体の活性化を願い熱く語りました。

 「ここでしか食べられない。美味しくて安全な桃とジェラート」を今日も作り続けます。

会社概要

設立 2015年(創業 2014年)
資本金 200万円
業務内容 自家農園で収穫した瑞々しい果物を中心に、素材にこだわった自家製ジェラートの販売
従業員数 正社員2名 パートアルバイト10名
所在地 和歌山県紀の川市元901
TEL 0736-66-8475
URL https://www.toutouan.biz/

Facebook:https://www.facebook.com/yabumotohatasita
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