【第2回】おもしろい!を直に伝える~採用活動における取り組み テクト(株) 代表取締役社長 宮下 崇氏(山梨)

テクト(株) 代表取締役社長 宮下 崇氏(山梨)

 人を採用するという言葉の重みは、日を追うごとに増しています。労働力人口が減少する中就活生が何を求めているのか、時代に寄り添った選択が必要になります。テクト(株)(宮下崇代表取締役社長、山梨同友会会員)は今年度から新卒採用に踏み切りました。東京進出を第二創業期として、社員と思いを共有して新卒採用に挑戦しています。

採用=マーケティング

 学生は企業に対して何を求めているのでしょうか?「労使見解」では「仕事に対してのやりがい」を、北海道同友会の最新の新入社員意識調査を見ると「職場の雰囲気の良さ」を求める声が増しています。そこでテクトでは、採用をマーケティングとして捉え、取り組みを開始しました。具体的には、会社についての説明を簡略化し、「人」に焦点を当てた説明を展開していきます。業務の話をするだけではほかの会社と勝負できないとの思いがありました。この取り組みは、「この人の職場をもっと知りたい」との思いを学生に抱かせ、説明会翌日には求人サイトの閲覧数県内1位を記録するなど、成果として数字に表れ始め、学生の印象に残るものとなっています。

 ネットで調べられることよりもその場でしか伝えられないことを重視し、まずおもしろそう!と思ってもらえるかが勝負です。

学生だけじゃない!社員に向ける熱視線

 学生が求めていることを伝えるにはどうしたらよいのかという点で、年齢の近い社員が話をするというスタイルをとっています。自分の人生の経緯からいま仕事で実現したいことまで話すことで、やりがいや雰囲気がダイレクトに伝わり、学生の反応も変化してきました。社員教育の場にもなっていますが、そこに至るまでには社員との目的の共有がカギになります。会社として何をめざすのか、何をPRするか、どんな人材が欲しいのかを共有していないと採用基準がぶれてしまいます。

 そこで重視することは経営指針の共有です。まずは社員に熱い視線を向け方向性を合わせた上で発信しているからこそ、学生の目を引き、なおかつ伝えたいことが伝わる内容になっています。

いい人は逃がさない

 合同企業説明会において、この人材が欲しいというターゲットを絞って取り組んでいます。同時に20人の中から2人よりも200人の中から2人の方が理想的な人材に巡り合える確率は上がるため、分母を増やすことも重要です。その中で特に魅力のある学生は説明会や面接に慣れ、内定を持っている状態で接触してきます。そこに対して、柔軟に採用プロセスの変更もしながら出会いを逃がさないよう対応しています。

 また、フランクに接し、学生の考えていることをしっかり引き出すことも心がけています。これからのテクトを背負っていく人材、先輩の刺激になる人材を目先ではなく定期採用という長いスパンで求めていきます。

新時代への挑戦

 新しいことに取り組むうえで、段取り8割といった言葉があります。テクトでは社員との意思統一や採用ホームページの改革、プレゼン内容等の準備を綿密に行ってきました。しかし合同企業説明会に参加して気づくことも多かったそうです。そんな時、社員が自主的に課題点をまとめ次に生かすことを欠かしません。前回よりも今回、今回よりも次回と質を上げてまだまだ物足りないと挑戦心を持って取り組み、ブースの見せ方を工夫し、ホームページやパンフレットなどもトータルにデザインした結果、合同企業説明会において大企業を押しのけ集客2位を記録するまでになりました。

 山梨同友会の今年度のテーマは「労使見解の精神で三位一体(経営指針・採用・共育)経営を実践し、地域にあてにされる企業づくりを」です。採用というフィールドで三位一体の考えを軸に挑戦している宮下氏。会社では第二創業期として、同友会では山梨で一番新しい支部の支部長として、仲間とともに新時代に挑戦する宮下氏の歩みは加速していきます。

会社概要

設立年 1982年
資本金 2,000万円
従業員数 21名
年商 4億5,000万円
事業内容 卸売業・工事業(映像・音響機器・情報機器・画像処理関連機器)
住所 山梨県富士吉田市上吉田2-1-11 宮下ビル
電話番号 0555-23-1206
URL https://www.tecto.co.jp/