【第4回】健康の先にある幸せと喜びを共につくることをめざして (株)セルヴァン 代表取締役 東海林武氏(山形)

(株)セルヴァン 代表取締役 東海林武氏(山形)

 (株)セルヴァンは、山形市内で「フィットネスクラブ」「Jrスポーツスクール」「ゴルフ練習場」の3つの事業を柱に営んでいます。代表取締役の東海林武氏(山形同友会会員)は、2019年に経営指針をつくる会を受講し、経営指針の成文化を通して、自社事業を『健幸創出啓発業』と定義し事業を展開しています。

自社の存在価値を見いだす

 創業者である先代の急逝を受け、代表取締役に就任した東海林氏は、社員の定着率の低さや、市内に新しくできては消えていくスポーツジムの存在に危機感を感じていました。自社に何か軸になるものを作りたいという一念から経営指針をつくる会を受講するため、同友会に入会しました。経営指針をつくる会では、なぜお客様はスポーツ施設へ入会したいのか、なぜ自社に継続して通うのか、そして会社としてどうしていきたいかを考え抜き、自社の強みをあぶり出す中で、運動を通して健やかな幸せをつくり寄り添う存在になることこそが自社の使命であると、自社を『健康創出啓発業』と定義しました。

 2020年3月には新型コロナウイルスの広がりと共に、スポーツ施設は休業を余儀なくされ、同社でも退会希望者が後を絶ちませんでした。この時、希望の光となったのが、この事業定義でした。自宅にいる時間が長くなっている中で、運動不足の解消、そしてストレス解消に役立ててほしいと、同年4月に公式YouTubeチャンネルを開設し、様々なエクササイズを紹介しました。東海林氏は、「自社をスポーツ施設サービス業としていたら、コロナ禍での休業と共に自社の役目はなかった。『健康創出啓発業』と自社を位置づけているからこそ、いち早くYouTubeを活用し、自宅に居ながらにして運動を促すことができた」と語ります。

社員とともに安心して通える環境づくり

 同社では10年ビジョンにオリンピック選手やプロアスリートの育成を描き、「心身の健全な育成」「無限の可能性の発見」に寄与すべく、Jrスポーツスクールにも力を入れています。

 水泳をはじめ野球やゴルフなど8つのスポーツを指導しており、神経が最も発達するゴールデンエイジとされる、4歳から12歳の子どもを対象に、様々なトレーニングやエクササイズを通じ、身体の動かし方を学びながら運動神経の発達を促すプログラムを行っています。

 子育て世代の社員が中心となって指導することで、コーチと子どもたちの信頼関係づくりにつなげるほか、コロナ禍においては、社員の提案から振替延長措置を速やかに講じるなど、親と子が双方安心して通うことのできる環境づくりにも生かされています。

挑戦と行動力で未来をつくる

 また、同社は10年ビジョンに山形県の健康寿命をのばすことを掲げています。健康は「肉体的健康」と「精神的健康」からなるという考えのもと、「精神的な健康」と健康経営推進を掛け合わせることでビジョン達成に近づくという戦略を立て、健康経営を推進する企業を増やそうと法人会員を増やす取り組みを始めました。

 施設の利用を促すだけでなく、精神科医や管理栄養士と提携することで、腸活やストレスチェックからフィードバックを行うなど様々な角度から健康に向けた改善提案を行っています。「産業医と企業間連携!ICTでメンタルヘルス事業への新分野展開」をテーマにデジタルツールを活用しながら姿勢分析・体成分・ストレス・栄養素などを可視化して配信するサービス開発にも着手し、スポーツにDXを取りいれた健康寿命延伸プロジェクトにも力を入れています。

 能動的に運動するのが苦手な人のために、そして誘い合って複数名で施設の利用を促すために、「ゲームをしていたら結果的に運動できていた」というプログラムを導入するなど、楽しく運動できる環境構築や、取り組みやすいきっかけづくりにも精力的に取り組んでいます。

 「変化が大きい時代、挑戦と行動力が重要だ」と語る東海林氏。健やかな幸せをつくり出し、啓発していくため挑戦し続けます。

会社概要

設立年 1990年
資本金 5,000万円
従業員数 10名(パート20名)
事業内容 「フィットネスクラブ」「Jrスポーツスクール」「ゴルフ練習場」の管理、運営
住所 山形県山形市上山家町758-2
電話 023-634-1800
URL https://www.esport.jp/