【第6回】さがゑもんとサガエサン~山形・寒河江市のええもん美味いもん発信 (株)comme-nt 代表取締役 後藤広晴氏(宮城)

(株)comme-nt 代表取締役 後藤広晴氏(宮城同友会会員)

 「さがゑもん」と「サガエサン」。どこかで聞いたことがあるような響きのネーミングのお店が、山形県寒河江市…、ではなく宮城県仙台市にあります。

 昼は蕎麦屋、夜は居酒屋を展開する「蕎と旬 さがゑもん」は2019年に、洋菓子店の「パティスリー サガエサン」は今年8月末にオープンしました。どちらも寒河江市公認のアンテナショップで、運営するのは(株)comme-nt(コメント)(後藤広晴代表取締役、宮城同友会会員)です。

「脱広告」の本当の意味

 comme-ntの本業は広告業ですが、創業時から「脱広告」を謳っていました。従来の広告業には収まらない、買いたい人と売りたい人とをつなげられる方法はもっとあるはず。そんなときに目にし、耳にしたのが後藤氏の出身地・寒河江が抱える地域の課題でした。「後継者不在のさくらんぼ農家が廃農しようとしている」「寒河江のブランド卵・美幸卵(びこうらん)の鶏は、蚊に刺されると卵を産まなくなる」。一方で誇れるような「寒河江の酒造りは循環型の文化(コメは酒に、稲わらは草履に)である」話など、以前にも耳に入っていたはずの情報が、後藤氏の中で意味を持ち始めました。「寒河江をよくしたい」。こういった地域の情報はもちろん、事業化して発信すれば、寒河江を日本中に、世界にも知ってもらうことができる。それが「さがゑもん」であり「サガエサン」という形と表現になりました。

 「埋もれた資源を掘り起こす。みんなでビジョンを語り合う。地域も社内も全く同じ」と、後藤氏は語ります。「comme-ntの社内はビジョンを語り合う時間が多い。会議名も“Visions(ヴィジョンズ)”ですから」。お客様の視点で考える自分たちの役割・強みなどを話し合いながら、社員たちは自分のなりたい姿も重ねながら意見してくれるのだと後藤氏は語ります。この会話の中から「サガエサン」も生まれました。広告業ではおそらく異例の「コミュニケーション型広告業」と言えます。

自社ミッションはいよいよ農業へ

 アンテナショップは「寒河江をよくしたい」という大義がなければ事業化することはありませんでした。この大義があるから「自社の役割を社会に問う」。自分たちの仕事はその答え合わせであり、その対価としてお金をいただく。これは全社共通の価値観として持っているものだそうです。

 地域に関わらなければ掴めなかった地域の課題。その地域課題を解決するために次に着手する4つ目の事業の柱は「農業」です。「自社のロゴ『※』はコメントと呼ばせています。『米』でもあるから農業や食にも関わりがあります。また『※』には注釈、の意味があります。小さく書かれているけれども大事なことが盛り込まれています。『小さくても、目に直接見えなくても、必要な存在になる』という社名にこめた想いをこれからも追求していくだけです」(後藤氏)。comme-ntが飛び込む農業には、どんな夢とアイデアとデザインが込められていくのでしょうか。

会社概要

創業 2014年
社員数 正社員8名、パート20名
事業内容
①企業・自治体のブランディング
②広告の企画・制作と音楽イベント
③山形県寒河江市アンテナショップ「蕎と旬 さがゑもん」「パティスリー サガエサン」の運営
所在地
本社:宮城県仙台市青葉区片平1-2-22ロイヤーパークビル5F
蕎と旬 さがゑもん:宮城県仙台市青葉区二日町11-17
パティスリー サガエサン:宮城県仙台市青葉区上杉2-2-25
TEL 022-224-5640
URL https://comme-nt.co.jp/