【第11回】異業種が考えるからイノベーションが起きる (株)オールワン 代表取締役 石山 大作 氏(福井)

(株)オールワン 代表取締役 石山 大作 氏(福井)

仕事と経営は違うことに戸惑いが

 障がい者と保護犬・保護猫が一緒に暮らせるグループホーム『おーるわん』。この事業を2020年12月よりスタートさせたのは『(株)オールワン』で、代表取締役の石山大作氏(福井同友会会員)は事業展開としては3つ目となります。

 石山氏は高校を卒業後、大手警備会社に就職。「最初は“仕事中に寝られる”なんて不純な動機でした。もちろん入社してそんなことはない、というのがわかりましたが(笑)」。その後、別会社が警備部門を立ち上げるとのことで会社を辞めて参画しましたが、その会社が傾き始め事業を閉鎖。一緒に働いていた仲間が路頭に迷うのを見たくないと思ったのと、別れるのが寂しいと思い、警備会社を立ち上げました。

 とはいえ、仕事のやり方はわかっても、会社を経営するのは初めて。ざっくりとしたことしかわからず、税理士などに逐一聞きながら進めていくと見えてくるものがありました。売り上げのリズム、会社に残るお金のリズムです。「まさに体験から学び続けてきました。同時に戦略が必要だとも感じました」。

経営指針成文化講座が教えてくれた

 そのときに同友会の経営指針成文化講座を受講し、自分を知ることになります。「自分の過去と現在の考えを整理できましたし、客観的に自分のビジネスを見ることができるようになりました。自分のビジネスの強みはあったけれど、それを人に伝えていなかったな、と。数字にしてみると表われるのは発想になかったですね」と石山氏は言います。自身の強みとは“人の警備”、そしてクライアントが事業に集中できるようにと、警備用の“モノのレンタル”も含めた事業展開を進め、現在ではレンタル事業を分社化するなど成長していきます。

 障がい者グループホームの情報は今から3年前に知ることになります。「軽度の障がい者の方をお世話するくらいならできる、所属している警備員も手伝えることで、需要減期の売上を見込める、そして何よりも社会貢献度の高い仕事ができる、と感じました」。初めて聞いたときに「やりたい」と思い、税理士や銀行に相談して『おーるわん』は完成します。

警備会社が考えるグループホーム

 『おーるわん』が同業他社と違うのが、新築して1カ所で展開をしていること。通常のグループホームは、地域の空き家をリノベーションすることで空き家問題の解消と、地域に溶け込むことで地域の多様性発展が意味合いとしてもあります。「警備会社を経営してきて感じるのは、利用者の安心と安全を考えたときに1カ所のほうがベストだという答えに至ったのです」と語ります。

 事実、利用者の中には帰ってくることができない人もいて、GPSを持たせることで迎えに行けるほか、これまで問題行動が多かった人がみんなで暮らすことで落ち着きを見せたなど、1カ所にまとめたことでの効果も見て取れています。

 「同友会は経営者のあるべき姿を教えてくれました。それに経営にダイレクトに関わるノウハウが詰まっていると感じます」と石山氏。3つの事業を経営するために必要なことを、同友会は教えてくれています。

会社概要

設立年 2020年
資本金 500万円
従業員数 22人(内、パート13人)
年商 6,300万円
事業内容 障がい者グループホームの運営
住所 福井県福井市江端町32-60-2
TEL 0776-38-7002
FAX 0776-38-7003
URL https://allone-fukui.com/