【第13回】開発に意欲的、提案型の企業であり続ける 谷水加工板工業(株) 谷水ゆかり氏(代表取締役)、 谷水 諒氏 (兵庫)

谷水加工板工業(株) 谷水 ゆかり氏(代表取締役)、谷水 諒氏(兵庫)

 谷水加工板工業(株)は1961年、兵庫県東部の丹波市(人口約60,000人)で、建築物の壁・床・天井・屋根下地などに用いられる「木毛セメント板」の製造・販売として創業しました。自社開発により各種断熱材と表面材を複合して付加価値を高めた「断熱パネル」は、大型保冷施設から、高層公共住宅、仮設事務所、RC住宅では内・外断熱・屋上断熱に至るまで、さまざまな工法に採用されています。プレハブ住宅向け外壁材(サイディング)加工業としても実力をつけ、住宅産業の担い手として貢献してきました。

強みを活かした商品開発、ビジネスチャンスの創造

 2016年に谷水ゆかり氏が社長に就任した際に、下記の企業理念を制定しました。

1.見えないけれども感じる居心地の良い空間創りに貢献し、あなたらしい快適な環境を 創造する。
2.主体的に未来を築く人のために、開発に意欲的、提案型の企業であり続ける。

 この企業理念の下、これまで培ってきた防音技術を元に、被災地の避難者が6カ月ほど安心して暮らせる組み立て式のパーテーションやコロナ時代に役立つ製品として「自分の個室空間ができる持ち運べる集中デスク(SEREN desk)」など、社会的課題を解決するユニークな商品開発にも力を入れてきました。

 現在は「日本一性能のよい防音室」に取り組んでいます。Dr-50(500Hzで60dBカット)の高遮音防音室を構築する場合、防音壁を二重にしなければならず、厚みや重量に課題がありました。補助金を活用し専門家の方の協力も得ながら開発を進めているのは一重かつユニットタイプ(組み立て式)の防音室で、完成すれば日本初となります。

人材育成による組織力強化

 谷水氏は、「社員個々の力を活かす経営を行いたい。社員同士で効率のよいやり方を考えて、仕事に打ち込んでもらいたい」という思いから、人材育成に力を入れてきました。

 まずは企業理念・経営理念を成文化してISO9001との連動を図り、5S活動の徹底を進めました。全社員を対象にした「生産性向上研修」では、研修期間中は工場をストップさせることになりましたが、先行投資と考え迷うことなく人材育成に取り組んでいます。

 会社には、さまざまな経歴を持った社員が揃っている、設計部門と工場(現場)がうまく連携しているなどの特徴がありましたが、研修を通して社員にも変化が生まれ、新製品の開発に対して有意義な意見が出てきたり、前職で得た知識をプレゼンしたりと、機能的で活気のある意見交換ができるようになってきています。

働きがいの提供による雇用確保と組織の活性化

 経営理念で掲げた「丹波で働く、丹波で暮らす、そこに谷水加工板工業があったから、と誇れる企業にします」には、域外に出て行ってしまう若者も多い中、「ここで仕事がしたい」と思う企業に育て、丹波にこだわり、そこで働く人を幸せにしたいという谷水氏の強い思いがあります。

 同友会会員である谷水諒さん(28歳)からは、「同友会はいろんな業種の方と本音で意見交換できますし、“何のために経営しているのか”という貴重なお話も聞けるので、刺激的で勉強になることばかりです。経営指針づくり勉強会に参加して、自社事業の3本柱である、断熱・防音・正確なきざみ(資材のカット)について、顧客ニーズに対応しながら各々の領域を拡大していくとともに、社員の多能工的なよさは活かしつつ、付加価値の高い仕事を精査していく体制にしていきたい」と力強い言葉が返ってきました。

会社概要

設立 1961年3月1日
資本金 1,000万円
従業員数 20名
年商 24,000万円
事業内容 建築材料のジャストカット、ユニットハウス等壁パネル製造、各種断熱パネル加工及び施工、防音パネルの製造、防音室の施工
所在地 丹波市氷上町賀茂1457番地1
電話番号 0795-82-2117
URL http://www.tanimizu-kakou.co.jp/