シリーズインデックス:新時代を切り拓く中小企業

【第20回】一人よがりの会社から、社員とともに育つ会社へ (株)ウィステリアコンパス 代表取締役 斎藤秀樹氏(栃木)(2022.12.28)

 \; (株)ウィステリアコンパス 代表取締役 斎藤秀樹氏(栃木)

 (株)ウィステリアコンパスは、公認会計士でもある斎藤秀樹氏(代表取締役、栃木同友会会員)が設立した財務コンサルティング会社です。現在は税理士事務所、補助金・DXの支援コンサルティング会社Next Compass蝓不動産賃貸管理襯Εステリアエステートの4社、従業員数6名のグループ企業を構成しています。  \;

この上場に何の意味があるのか・・

 斎藤氏が都内の大手監査法人に入所し会計士補としてのキャリアをスタートしたのは1999年。当時はバブル後に起きた金融ビッグバンの真っ只中で、日本の企業は疲弊し、倒産が増えていました。公認会計士になった後の2004年以降2年ほど出向者として栃木に戻り、中小・小規模事業者の再生支援の業務にあたりました。
 2007年、知人からの誘いと投資家のバックアップを受けて、全国の観光関連会社を買収・グループ化し、上場をめざすプロジェクトがつくられました。斎藤氏はそのプロジェクトの財務責任者になります。そんな中、リーマンショックが起こり、観光産業に関わる会社が上場をめざせる環境ではなくなっていきました。しかし、上場をめざすためには利益を出し続けなければならない。売上が出にくい環境であれば目先の費用を減らすため、設備の更新を遅らせたり、賞与を抑える・・・。「この上場は現場の従業員に、どんな意味があるのか?」現場で働く人たちから問いかけられます。しかし彼らに納得のいく答えを返すことができません。
 そして、さらに斎藤氏に重くのしかかったのは、東日本大震災でした。被災地から他の地域への避難や爆発事故直後の東京電力福島第一原子力発電所への移動、足りない燃料の融通しあい・・・。現場で業務を続ける従業員の仕事に対する真摯さを目の当たりにします。そんな従業員が働いているグループ会社の社長に、資金繰りのために人員整理を求める自分。これが本当に経営なのか?これは働いている人にとって何の意味があるのか?誰のための上場なのか?自分は上場企業をつくったメンバーとして称賛されたいだけなのではないか?自分の中から湧き上がる矛盾。リーマンショックの後から体がおかしくなり、ぜんそくが止まらない状態が数年続いていました。
 斎藤氏にはその状態は耐えられませんでした。自分自身がどこで何をすべきか見つめなおし、本来やりたかった中小企業の経営者と深く関わりたいという気持ちを思い出します。それを実現するため栃木県に帰り2011年11月に新たなスタートを切ります。

働き手の幸せ

 \;  中小企業の事業再生支援を目的に、資金に困っている中小企業と金融機関の取引関係の改善するために数字情報の作成をする。今までの経験を活かして、経営サポートを行うようになります。
 経営者の中にはいろんな方がいます。「それまでの経験だけでは経営者に響かない。数字の専門家としてだけでは対応できない。地域で自分の仕事に人生を懸けて働いている人たちと向き合って一緒に歩めないだろうか?」と斎藤氏は思うようになりました。
 そんなとき、とあるメールマガジンで栃木同友会を知りました。自分の思っていることが分かるようになるかもしれないと思い、直ぐに入会しました。
 なんとか時間を作りながら例会に参加し、「経営指針」や「労使見解」と出合いました。「これらを具体的にお客様にどう提案すればいいのか?」と自分に問いかけます。そうしていくうちに自分でも例会の企画・運営を始め、全国大会にも参加して、学びを深めていきました。
 自社内では社員との関係に悩みました。斎藤氏は会社員の経験がなく、社会人として最初から会計士補として働いていたため、夜討ち朝駆けが当たり前でした。それもあって、社員には同じことを求めていました。「いまの幹部は社会人としての私の欠点を指摘し、補ってくれました。経営者としての姿勢、働く環境・人事制度の不備。一つ一つの指摘に挫けそうになりました。それでも受け止め消化する。それを続けることで、私自身も変わり、今の社風を築きあげることができました」と斎藤氏は振り返ります。
 (株)ウィステリアコンパスの経営理念は「『働き手の幸せ』と『地域の輝き』を求める経営者の、いつも傍らに居る羅針盤」。この理念は東日本大震災までの自分と真逆の自分を求め、同友会の学びの中で気づき、社員との対話の中で生まれ、熟成されていきました。

コロナ禍での成長

 \;  この理念が出来上がったことで、借金を返すことや事業承継が目標になってしまっているお客様に、あらためて経営としてどう向き合うかを対話できるようになっていきました。借金を返すための経営から、時代が必要とする働きがいがある経営へ。経営者自身の経営から、社員も誇りがもてる経営へ。上場準備をしていたときとは異なり、今は自信を持って提案しています。
 会社を変えるにはピンチも生かします。最近では新型コロナウイルスへの対応も変革につながりました。事務所に出勤する形態を変え、ハイブリッド・テレワークや在宅勤務など3種類の勤務形態を選べるようにし、社員が働きやすい環境を整えました。そんな活動から、社員から補助金支援とDX支援を行うという事業アイデアも生まれています。
 周囲からの率直な意見を真正面から受け止め、「はたらく」(傍らを楽にする)ことが自分たちを認めることに繋がる仕事にしていこう。「かつて支援先の現場の社員が教えてくれた苦い経験、幹部社員の本音の言葉が、私を変えるきっかけとなりました。今、社員の皆さんは、私の成長にとっての羅針盤・共に育つ仲間でいてくれます。これからもそういった関係であり続けたいと思います」と語る斎藤氏の挑戦は続きます。

会社概要

設立年:2006年
資本金:1,000万円
従業員数:4人(グループ 6名)
年 商:5,000万円(グループ 1億円)
事業内容:財務コンサルティング業(事業再生支援・事業承継支援・事業変革支援)、公認会計士・税理士事務所
住 所:栃木県宇都宮市東宿郷3−1−9 あかねビル4階C室
電話番号:028−612−1362
E-mail:saito@wisteria-net.co.jp
URL:https://wisteria-net.co.jp/

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