【第22回】人を育てる社風で10年で従業員5倍に! (株)セーフティ&ベル 代表取締役 宇佐見 聡氏(東京)

(株)セーフティ&ベル 代表取締役 宇佐見 聡氏(東京)

 (株)セーフティ&ベルの宇佐見聡氏(代表取締役、東京同友会会員)は人を育てる社風を実にきめ細かい仕組みづくりで具体化しています。今回は新時代を切りひらくために同社が重ねてきた努力を紹介します。

地域の安心コンシェルジュ

 人事制度を2021年6月に改訂し、資格ごとに求められる技術・知識を明確にして、その達成に応じて評価を行うことで、社員の力による「お客様の想像を超えるサービス提供」を経営計画の主軸としています。企業理念においても、一工事の完成が終了ではなく、地域の安心コンシェルジュとして社会貢献することを掲げています。また中期経営計画遂行と社員のやりがいを連携する評価制度とし、社員相互に協働の実感を大切にして、それが事業を通じた社会貢献につながっていることを明文化しています。

きめ細かい仕組みで社員育成

 管理職には、ラインを束ねる職種と後輩や関連会社社員へ知識を伝承することを重要な業務とする専門分野伝承指導職があり、社員の育成を大切な経営理念として取り組んでいます。これは技術力およびその総力化が今後のビジネスにおいて非常に重要との判断から設置したものです。また、OJTに力を入れることと併せて、半年間は知識・スキルの座学、現場実習および振り返りを大切にした研修を継続的に実施し、社員力を高めています。指導者役として社内のベテラン社員を講師とするなど、企業全体で取り組んでいます。

 さらに、資格ごとに業務遂行上求められる素養(コンピテンシーと名称)を明確にし、その各項目の達成に応じて評価をしていくことで、各自の資格、その努力の結果および成果の実績において、評価を確定させる賃金体系としています。なお上記評価と組み合わせて、各資格に求められる素養(コンピテンシー)については、社員一人ひとりの修得レベルが違うため、その修得努力を評価する加点評価制度も導入し、意欲向上を図っています。

 育児や介護など、従来の働き方では時間的な制約から同じような労働ができない社員も増えてきているため、自らが働き方に応じた職群を希望できる制度も実施しています。

 OJTは知識・スキルの座学、現場実習および振り返りを大切にした研修を継続的に実施して社員力を高めており、知識の学び舎として、会社施設内に、『弱電アカデミー』と称した研修環境を設置しています。業務柄、必須とされる国家資格は社内研修やOJTを通じて合格できるように社員が総出で研修を行っており、資格取得については1年間何回でも受験費用を全額補助しています。

 また宇佐見氏は、50年を超える歴史がある建設会社から抱かれるイメージの払拭が今後の人材育成には大切だと考えています。ハラスメント撲滅をめざして毎年継続して研修を実施しており、それに併せて社内外での相談体制を整備して、若手社員が業務外の要素で意欲を無くしてしまうことを0に取り組んでいます。

新たな組織づくりに着手

 家庭を訪問して行う家庭設備工事が主要なため、女性が活躍できるための組織も必要と考え、女性インストラクターの担当者の養成、および育児休業から復帰した際に工事現場で活躍できる業務の整理統合を行い、新たな組織を2022年6月に設置しました。お客様宅を訪問する機会が多いため、建設会社としてはあまり行われていないCS(顧客満足度)を、高いレベルで全社員が対応できるように、会社独自の『CSハンドブック』を若手社員が主体で作成(2022年2月作成)。さらに、その内容を高いレベルで維持継続して遂行できるように推進する組織も構築して取り組みをしています。

 なお同社はこれらの取り組みで2022年度東京都中小企業技能人材育成大賞知事賞奨励賞を受賞しました。

会社概要

設立年 1971年
資本金 2,000万円
従業員数 106名
事業内容 防犯・防災システム/映像・通信ネットワークシステム/管理コミュニケーションシステム/省エネ・介護システム等の企画・販売・施工
住所 東京都品川区西五反田7丁目23-1 第3TOCビル9階
電話 03-6431-9261
URL http://www.safety-bell.com/