【第3回】社員一人ひとりが最高の人生劇場を-(有)信幸冷熱サービス社長 村松 幸雄氏(岩手)

(有)信幸冷熱サービス社長
村松幸雄氏(岩手)
(後列左)

 
 「何でもできる、設備の総合病院になりたい」。(有)信幸冷熱サービス(村松幸雄社長、岩手同友会会員)は創業31年、社員数21名の総合設備業です。創業時は大型の冷暖房、空調の設置、保守点検業としての仕事が主でしたが、現在は家庭用設備をはじめ、設備に関するどんな困った相談にもこたえます。まさに「総合病院」として地域からも業界からも頼られる存在です。

 その背景には社員一人ひとりの技術的な裏付けがあります。朝7時の社内には、すでに講師役の先輩社員が待っています。週3回を超える早朝の自主的な勉強会の準備のためです。電気回路のいろいろ、ポンプ修理、溶接、ハセップ・・・それぞれの技術、技能を持った社員が、自主的に自分の技術講座を開講し、社員のだれもが参加できる仕組みをつくっています。

“自主トレ”が成長の源泉に

 早朝勉強会の開催は、現場の社員から出された提案でした。「設備が止まってしまった。何とかして」という緊急を要する作業現場では、さまざまな知識、技術をフル活用して対応しなければ解決できません。社員のもっと知りたい、技術を身につけたいという欲求はそこから出てきたものです。こうした年間100回を超える勉強会の継続が、地域からの揺るがない信頼を生み出しています。

 最近では現場の社員が自分で新しい仕事を契約してくるようになりました。一つの個所を修理していると、周りの不具合も見えてきてしまう。新たな修理を提案されたお客様は喜んで応じてくれる。日常の“自主トレ学習”の成果、自分の成長が実感できる瞬間です。こうした喜びが更に学ぶ意欲につながっています。

信頼のアンコールが鳴りやまない会社づくり

 社員が急激に成長、定着してきたのは、この10年ほどのことです。なかでも、同友会で学んでつくってきた経営指針の役割は大きなものでした。経営理念「人々の暮らしの役に立ち社会にとってなくてはならない存在になる。」これが社内に浸透しはじめたとき、急激に社内は変化しました。

 専門家集団だけに、とかく技術本位に陥りがちです。しかし、同社の社員はだれもが、現場でも、会社を訪問してもいつも笑顔。自分自身の存在が、誇りと自信で満ちているのがわかります。そして男性技術者一人ひとりの個性まで把握し、時には厳しい指摘までしてくれる女性社員の頑張りが、その源泉になっているのは言うまでもありません。

 信幸冷熱サービスの目指すものは、地域からの拍手が鳴りやまない芸術的な仕事、信頼のアンコールが鳴り止まない会社、そして社員一人ひとりの最高の人生劇場を応援できる会社づくりです。

会社概要

 設立:1974年
 社員数:21名
 資本金:500万
 業種:業務用設備機器保守整備・販売業務、
    一般住宅設備機器保守整備・販売業務
 所在地:岩手県紫波郡矢巾町大字広宮沢8-5-1
 TEL:019-697-7200
 URL:http://www.srs.co.jp/