【第47回】社員の能力を120%発揮できる環境づくり~労使見解の精神に基づく「人を生かす経営」の実践~ (株)小野建設 代表取締役 小野 人平氏(秋田)

(株)小野建設 代表取締役 小野 人平氏(秋田)

 「社長の仕事は、社員の能力を120%発揮できる環境をつくることです」今回の取材で最も印象に残った言葉です。

 (株)小野建設(小野人平代表取締役、秋田同友会会員)は「ふるさとの幸せ創造業」を掲げ、「子どもたちに誇れるふるさとをつくる」という理念のもと、地域に根差した事業を展開しています。同社がつくろうとしているのは道路や建物だけではなく、人が育つ環境そのものでした。

社員の可能性を信じる

 小野氏は、かつて「仕事を取ってくることが社長の仕事」だと考えていたといいます。しかし、2009年の同友会入会、そして翌年に先代であるお父様と共に参加した「指針を創る会」をきっかけに、その考え方は大きく変化しました。

 会社を守ること、社員の幸せを守ることという本質は変わらない。しかし、そのために経営者が果たすべき役割は変わりました。今では「社員の能力を120%発揮できる環境をつくること」が社長の仕事だと考えています。

 その考え方は、人材育成にも色濃く表れています。小野建設では、新しい社員に対して社員が教える仕組みを大切にしています。また、若手社員には必要以上に手を出さず、間違いや遠回りに見える場面があっても、すぐに答えを与えるのではなく、まずは挑戦させる。体感し、自ら考え、学ぶ機会を大切にしているといいます。

 これは単なる教育手法ではなく、社員の可能性を信じているからこそできる関わり方であり、「人を生かす経営」の実践そのものです。

まずはやってみる

 同社では、若い社員の声にも積極的に耳を傾けています。「こんな技術があります」「協力会社でこんな取り組みをしていました」といった現場からの提案が自然に社長へ届く環境があります。実際に、社員からの提案をきっかけにスタートしたアスベスト除去工事事業は、現在では大きな収益事業へと成長しています。

 また、秋田県優良工事表彰を3年連続で受賞。この表彰は工事品質だけでなく、周辺環境への配慮や創意工夫、資料作成なども評価対象となります。受賞を目指して取り組む過程そのものが、社員一人ひとりの成長につながりました。

 また、外国人技能実習生の受け入れや休日数の増加、感謝祭の開催、インターンシップの実施など、新しい挑戦を積極的に続けています。その背景には、「良いものは良い」「まずはやってみる」という考え方があります。

 小野氏は「60点でもまずやってみる」と語ります。完璧を待つのではなく、挑戦しながら改善を重ねていく。その姿勢は社員にも伝わり、組織全体の成長につながっています。

人を信じ、経営者自ら変わり続ける

 変えるものがある一方で、変えないものもあります。「期待に応えること」「仕事を選ばないこと」「つながりを大切にすること」などです。せっかく自社を選んでくれたお客様の期待に応えたい。その思いは創業以来変わらない信念として受け継がれています。

 取材の中で、小野氏は「会社は社員でつくる一つの輪」だと語りました。経営者だから上、社員だから下ではない。一人一人が役割を担い、それぞれの力を発揮することで、会社という輪は大きくなっていく。また、日頃から社員とのコミュニケーションを大切にし、「大変だったべ」「何かあればすぐに俺行くからな」と声を掛けています。されてうれしいことをしたい。大変なことは一緒に抱えたい。その積み重ねが信頼関係を生み、社員がのびのびと働ける環境につながっています。

 「人を生かす経営」とは人を管理することではなく、人を信じること。社員を信じ、任せ、挑戦を見守る。そして経営者自身も変わり続ける。その積み重ねが、社員と共に育つ企業をつくる。小野氏の姿からは、労使が互いに力を合わせ、それぞれの成長を通じて企業の発展を目指す「労使見解の精神」が確かに息づいているように感じられました。

(株)小野建設
創業 1959年10月
設立 1979年3月
資本金 2,000万円
従業員数 68名(うち役員6名)
年商 14億9,800万円
事業内容 土木一式工事、建築一式工事、鋼構造物工事業、とび土工工事 、舗装工事業、解体工事業
所在地 秋田県雄勝郡羽後町新町字最上山7-1
電話番号 0183-62-0127
URL https://a-onoken.com/