
(株)グラシアス沖縄 代表取締役 田上 カルロス氏(沖縄)
(株)グラシアス沖縄代表取締役の田上カルロス氏(沖縄同友会会員)は、父は福岡二世、母は沖縄二世という移民三世としてペルーで生まれ育ちました。1989年にインフレで大混乱の故郷を離れ、当時好景気の日本へ働く場を求め、日本語も話せない状態で来日しました。
感謝の思いから創業
当初は首都圏の工場で勤務していましたが、母方の故郷である沖縄へ移住。その後、アルバイトをしながら独学で猛勉強し、定時制高校や職業訓練校に入り、基本情報処理技術者などの国家資格を取得します。縁あって県内の会員企業でもあるIT開発会社へ営業職として入社。1年目から優秀社員となる活躍をみせ、最終的には取締役にまでなり、21年間勤務しました。
46歳の時に、沖縄に恩返ししたいという思いのもと、お客様に開業を勧められた上にメーカーまで応援してくれて、2014年に(株)グラシアス沖縄を起業。社名のグラシアスはスペイン語で『ありがとう』の意味です。沖縄という土地、人々、そしてすべての出会いへの深い感謝の気持ちを込めて名付けました。
同友会で学びを深める

創業1年目から新規開拓に奮闘し、順調に見えましたが、最初に採用した社員が辞めてしまう事態になります。その時、思い出したのが同友会。前職では経営幹部として社長・社員共育塾や支部活動などに参加していた経験があり、同友会のよさを体感していたため、2017年に再入会。そこから自社の経営課題に取り組みはじめます。
同友会に積極的に参加しながら多くの学びを自社に取り入れ、『企業変革プログラム』を定期的に更新し、自社の状況を正確に判断。データ分析をしながら自社の改題改善へ活用しています。段々と売り上げも伸び、社員も今では10名にまで増えました。田上氏は、同友会運動で経営指針、企業変革支援プログラム、景況調査、研修、例会、仲間づくりをしたことで気づきを得ることができたと語ります。
社会課題解決型企業へ

順調ながらも将来の不安を感じていた時に、自社の経営課題と学童保育を取り巻く社会問題を解決すべく、新たなビジネスモデルを構築し、新規事業としてスタートします。それは自分の地域にどんな学童クラブがあるかわからず、入所を検討するにも情報取得や資料収集が煩雑だった現状を解決するサービスでした。
日々の出欠、行事の案内などクラブと保護者間の連絡事項は多岐に渡ります。『Genkinako』と名付けられたポータルサイトは、両者の連絡をスムーズにすることで、学童保育の質の向上を図り、保護者が安心して働ける環境をつくり、学童、行政、保護者の悩みを一気に解決します。
きっかけは、「役所に提出する書類作成に追われて、子どもたちと関わる時間が減っている」というクラブ代表者からの相談からでした。そこで沖縄県のICTビジネス高度化支援事業を活用し、県内の自治体・学童クラブ・保護者を対象に実態調査を実施します。
その結果、自治体ごとに提出する書類の様式や数にばらつきがあり、学童クラブにとってはアナログな書類作成が業務を圧迫していること、保護者にとっては地域のクラブ探しや自治体を介しての情報収集に膨大な労力がかかっているという課題が浮かび上がりました。得られた情報を基に自己資金で、県内学童クラブのポータルサイト「おきなわ学童クラブ情報」を開設し、今では県内約600クラブの最新情報を発信しています。
そして、その翌年には、再び同補助事業を活用し、「Genkinakoアプリ」が開発されました。この「アプリ」には、子どもの入退室リアルタイム通知、お知らせの一斉通知、行事申し込み管理、個別チャットのほか、クラブ側と児童引き渡し確認を行う安心機能を搭載しています。本格導入した学童クラブでは、使いやすさ、機能面、デザイン面、アプリの使用感を保護者に評価してもらい、アンケートから指摘を受けた点を踏まえ、改良を重ねています。
田上氏は「保護者に個別に対応する時間が減り、情報集約も効率化できる。支援員に余裕ができることで新たな企画づくりができる。沖縄モデルとして県外にも展開し、全国で待機児童の解消、子育てしやすい街づくりに貢献したい」と力を込めました。
| (株)グラシアス沖縄 | |
|---|---|
| 設立 | 2014年7月 |
| 資本金 | 300万円 |
| 従業員 | 10人 |
| 事業内容 | システム設計・開発・運用・管理・保守、ネットワークシステムの設計・構築・運用管理・保守、業務用クラウドサービスの導入支援・販売 自社開発クラウドサービスの提供 業務に必要なIT機器・ソフトウェアの選定・提供 ITコンサルティング |
| URL | https://gracias.okinawa/ |










