【第4回】人へ地域へ幸せの環をひろげます-(株)タカイチ社長 渡辺 高博氏(山形)

(株)タカイチ社長
渡辺高博氏(山形)

 
 「いっらしゃい」「いっらしゃい」と元気な声が飛びかう店内は、市場そのもの。いつも店内は明るい笑顔と笑い声があふれています。

仕事も家庭も両方大切

 (株)タカイチ(渡辺高博社長、山形同友会会員)は、山形市内に5店舗を構え、「市場」の原点に還って“にぎわい”“ふれあい”“新鮮さ”がモットーのスーパーマーケットです。社長の渡辺高博氏(55歳)が、昭和57年にワタナベ青果を創業し、その後㈱タカイチになり、今年で23年になります。

 山形市内は、次々と県外資本の大型店が乱立している激戦区。その中で、タカイチは、地域に暮らす人々の生活を支えている企業です。24時間営業のスーパーもありますが、同社は日曜、祝日、盆・正月は休み。人間らしい暮らしを大切にし、日中働いて夜眠ることがあたりまえという渡辺社長は、「肉体的にも精神的にも休養が必要で、最低週1日は休んで家族と共に過ごしてほしい」と語ります。

お客様との心のふれあいを大切に

 「末広市場」、「銅町市場」と呼ばれ、市民に慕われている同社の特徴は、市場のにぎわいと社員のまごころあふれる対応、そして、当日仕入れ当日販売による、商品の新鮮さです。生命線である野菜売り場は、小家族用の個売りから徳用袋などアイテム数を多くし、お客様のニーズに応えています。エプロンをかけて毎日来店されるお客様が多く、その会話は実に楽しいといいます。

 こんなことがありました。お店の近くに住んでいる80歳代のおばあちゃんが、ある社員がほかへ異動すると聞いて涙を流されたというのです。その社員さんは、いつも買いものをしてくれるおばあちゃんに、量が多いときは家までお届けしていたそうです。「今までの人生の中で、自分のために涙を流してくれる人がいることを知り、とても感動しました」とその社員さんは語っています。

生きる喜びと幸せを共有できる企業に

 同友会には、17年前に入会。同友会で「経営指針」の作成に取り組む中で、「家業」と「経営」の違いを学びました。また、例会をはじめとするさまざまな活動に参加し、入会当時は人前で話すのが苦手だったと語る渡辺社長は、現在、山形同友会の代表理事を務めます。

 同社の目標は、共に働くすべての人が活かされて生きる喜びと幸せを共有できる企業です。

 毎年開催される「新年度総会」では、経営計画、各店舗、部門方針を発表し、月一回の一般社員研修、幹部社員研修で企業理念と実践を確認しています。社内報「ハッピーマルシエ」で、一人一人にスポットをあて、自分の夢、家族に対する思い、お客様に感謝されてうれしかったことなど思い思いに発信しています。

会社概要

 設立:1982年
 資本金:1000万円
 年商:23億円
 従業員数:93名(パート65名含)
 事業:食品小売業
 所在地:山形県山形市大字菅沢118
 TEL:023-647-7284