シリーズインデックス:「第二創業」をめざして

【第7回】危機を乗り越え、社員と共に生きる展望づくり-(株)阿部モーター商会 社長 阿部 剛氏 (秋田)(2007.04.25)

地域に必要とされる企業をめざして経営指針を実践

  (株)阿部モーター商会 社長
阿部 剛氏 (秋田)

 秋田県南部、山間部の羽後町(うごまち)は、世帯数約1000世帯、農業を基幹産業とする町です。この町で約30%の顧客シェアを持つ自動車販売・整備業の会社が(株)阿部モーター商会(阿部剛社長、秋田同友会会員)です。

地域のお客様に助けられて

   阿部氏が自動車短大に入学する直前に、父親が倒れて入院。それでも「学校だけは出してやりたい」との親の気持ちから、何とか卒業しました。在学中、危篤状態になった父親に一目会おうと汽車に乗るも、大雪のために汽車がストップ。何もできないうちに父親は逝ってしまいました。「人間には、何もできない時や、力が及ばないことがあると学びました」。

 卒業後、遺志を継いで家業に入ったものの、借金だらけの状況でした。町の中では、すでに「借金で大変らしい」という評判がたっていました。

 何もわからず、教えを乞うべき人も少ない中、ガムシャラに営業に回り、なんとか経営状態は改善に向かいました。「父の商いを支えて下さった地域の多くのお客様に助けていただいた」と阿部氏は言います。4年後、主力取引先の金融機関と自動車の仕入元が、無条件で債権を放棄するという幸運に恵まれました。そして、社員も一人ずつ増え、業績も伸び、92年には無借金経営になったのです。

 その間、トラクターで東京に乗り込み、農家の花嫁募集をPRする運動や、青年団体のリーダーに就任するなど、地域と企業の明日を豊かなものにしようとさまざまな活動に取り組みました。しかし、不安感は消えません。「うちの会社には何かが足りない」という気持ちが強くなっていた時、秋田同友会に出合いました。そして、宮城同友会の「経営指針を創(つく)る会」に誘われます。「これだ!」と思い、飛びついたことは言うまでもありません。2005年、秋田同友会が設立された年のことでした。

社員一丸となって新たなスタート

   「創る会」では、家業からの脱皮と、社員と共に学びあい、社員と共に本音で「私たちの会社」と呼べる企業像を学びました。「今までやってきたことは、社員、家族、子どもの存在と、お客様をはじめ、周りの人々に支えられて得られたものであり、その方々のおかけで、今の自分があることに気づいた」と言います。それまでの、「会社は阿部家の所有物」「社員は阿部家の使用人」という考えを改めることにもなり、家業から企業へと転身。みんなの心が一つになり、信頼しあえる会社をつくりたいと、2006年には会社を法人化しました。

 今年3月には、秋田同友会の例会で経営実践を報告。「経営理念、経営指針について、社内で真剣に議論できる土壌ができた。経営や、お客様からの信頼について上辺だけでなく本音で議論できるようになり、同友会で社員と共に学びあうことのすごい力を痛感」していると語ります。

 経営理念に「私たちは、車の可能性を追求し、夢をかなえる快適さを提案・提供します」「私たちは、地域の活力を創り、笑顔が見えるまちづくりに貢献します」「私たちは、素直な心と想(おも)いやりを大切に、夢を共有する組織となります」の3つを掲げ、「何か仕事のあり方に迷った時は、社長の指示や社員の都合で決めるのではなく、理念に照らし合わせてどうするべきかを判断できるように努力している」ところです。今、社員と一丸になった、新しい(株)阿部モーター商会づくりが始まっています。

●会社概要

創業:1934年(昭和9年)
設立:2005年
社員数:6名(うちパート2名)
資本金:500万円
年商:9100万円
業種:自動車販売・整備・24時間ロードサービス・レンタカー・損害保険代理店
所在地:秋田県雄勝郡羽後町田代字明通268-1
TEL:0183-67-2124
URLhttp://www.yutopia.or.jp/~tsuyoshi/

このページの先頭にもどる

携帯用QRコード
携帯対応について

更新情報RSS