【第32回】「企業の社会的責任」の追求が会社を変えた~イートス(株) 社長 増子良一氏(宮城)

 増子社長

イートス(株) 社長 増子良一氏(宮城)

 イートス(株)(増子良一社長、宮城同友会会員)は1992年に地方自治体向けシステムの受注開発を主な事業として設立しました。その後、自社製品の開発・販売事業に切り替え、現在は事業を通じて地域貢献につながるような様々なパッケージソフトの開発、販売、ポータルサイト(インターネットの玄関にあたるウェブサイト)の運営などを展開しています。

社員の成長を願い取り組んだインターンシップ支援事業

社内風景

 十数年前から始めた、学生の体験就業を受け入れる「インターンシップ支援事業」は2007年には日本財団が主催する「市民が選ぶ『CANPAN CSRプラス大賞』」にノミネートされました。増子社長がこの取り組みにこだわった理由は、社員の成長でした。(※CSRとは、企業の社会的責任のことで社会に与える影響を配慮した企業活動をいいます)

 「目標を持って自主的に研修に参加してくる学生(インターンシップ研修生)の思いに最大限にこたえたい、また日常の自分の仕事、自社を語れなければ恥ずかしいという気持ちが、必ず社員の成長につながると考え取り組んできました」と増子氏は言います。

 同社のインターンシップは長期間であることが特徴です。年間約20名の学生を受け入れますが、一番多いのは2カ月~半年間という学生です。中には2年間のインターンシップの後、そのまま入社し、翌日には広島へ出張した学生もいました。「わが社の社風に触れ、仕事も理解した上で入社したからこそできるのだと思う」と増子氏は説明します。

よい会社づくりと企業の社会性を一体に~選び続けられる会社を目指して

集合写真

 同社は、その他にもCSRの取り組みとして、地域のクチコミ情報を交流して人が集まる街づくりを目指すポータルサイト「エニータウン」や、携帯電話で地域の声を集約して企業に提供するアンケートサイト「エニリサ」、電気や化石燃料などのエネルギー使用状況と、CO2などやメタンなどの温室効果ガス排出状況を管理することができるWebサービス「エコ魂」などを展開しています。これらは全て社員自らがアイデアを出してつくった事業です。

 「わが社には企画部門はなく社員全員が企画部門です。社員一人ひとりが若い発想で仕事をしますが、お客様や社内の対話を一番大切にしています。しっかりとお客様の声を聞き、自分の意見を伝える力が重要です」「CSRを突き詰めて考えると、“選び続けられる会社”ではないか」と語る増子社長。CSRの取り組みのきっかけは、個人向けポータルサイト事業立ち上げの際にどうしたら自社を知ってもらえるか、わが社はどうしたらよい会社になれるのか、と考えたことでした。
 
 社員の成長を考えて始まった「インターンシップ支援事業」の取り組みは、地域の教育の一部を担う事業に発展してきました。よい会社づくりを目指して取り組んだことが企業の社会性、役割、社会的責任に気づく取り組みに発展しました。自社の事業を通じて地域貢献、社会貢献ができるソフトウェア・サービスを提供していこうと、若い力を中心に全社一丸となって同社の挑戦は続きます。

会社概要

設 立:1992年
資本金:3720万円
社員数:77名
業 種:ソフトウェア開発、インターネット事業、医療事業など
所在地:宮城県仙台市青葉区本町1丁目12-12
TEL: 022-212-3063
URLhttp://www.etos.jp/

どうゆうみやぎ 2009年3月号より