【第71回】会社の生きる力! 滋賀建機(株)会長 蔭山孝夫氏(滋賀)

 蔭山会長

滋賀建機(株)会長 蔭山孝夫氏(滋賀)

多角化経営の展開

 滋賀建機

 蔭山孝夫氏(滋賀建機(株)会長、滋賀同友会会員)は証券会社、薬品会社などの勤務を経て1971年に滋賀建機(株)を設立しました。現在、同社を中心とした7法人と15の事業からなる滋賀建機グループを展開しています。

 蔭山氏のさまざまな社外活動と交流が、事業の依頼や、コラボレーションなどにつながり事業を多角化してきました。その過程では、相手方と理念が共有できないため信頼関係がつくれず、失敗したこともあります。「しっかりと理念を共有し、何のためにこの事業をやるのかということを把握することが大切。目先の欲だけでは失敗する」と蔭山氏は強調します。

エスケイ興産 

 同時に蔭山氏は、事前の情報収集、事業が失敗したときのリスク管理、撤退する際のスピードとともにグループ全体の状況を把握することを怠りません。事業の一つに7年前から取り組んでいる太陽光事業があります。当初は赤字続きでしたが最近では注目が集まって稼ぎ頭となりました。「多角化をやっていると、こっちが駄目でもこっちが良いこともあり、これが多角化の良い面」と話します。

経営指針浸透には10年かかる

 蔭山氏は1997年に滋賀同友会に入会しました。「経営指針を創る会」に参加し、「これは絶対に必要だ」と感じ経営指針書を作成しました。
 ところが社員数が100人を超えていることもあり、すぐには浸透しませんでした。毎年の見直しを行い、なるべく簡素化するなど工夫を重ねました。それが全社員での作成、各部門・各営業所の数字が入り、社員の顔写真の掲載など、現在の形態につながっています。
 昨年からは約300項目のアンケートを無記名で実施・公表、今年からは幹部社員と一緒になって全社員との面接を行っています。

 同時に、12年間続けてきたことがあります。日常的に百数十名の社員全員に会うことは難しいため、毎日、蔭山氏の考え方、世の中の動き、会社の動きなどに触れた内容のメールを全社員に送っています。
 また8年前から月に1度、社員の自主的参加のもとに研修も始めました。朝の7時から25名くらいが参加しています。社員が持ち回りで自分の好きなテーマで40~50分の話をするという内容です。話術や知識、人前で話す練習になっています。こうした積み重ねを振り返り「経営指針の浸透には10年かかる」と語る蔭山氏の言葉には説得力があります。

「先義後利栄」

 経営指針の取り組みの前提として、「経営者が変わることが大切」と蔭山氏は考えています。日々の行動として、毎日社員より早く出社して社員を迎えるようにしました。3年が6年になり、10年続けて初めて「社員から“これはほんまもんだな”と思われるようになる」と言います。
 近江商人の「先義後利栄」(義を先にし、利を後にすれば栄える)の言葉を胸に、「何をしなくてはいけないのか」と常に自らに問いかけながら経営に臨む日々です。

会社概要

設 立:1971年
社員数:85名
資本金:7,500万円
業 種:土木工事およびび建築工事用機械器具の賃貸・販売、建設およびび建築資材の販売、各種建設機械・機器の修理サービス、太陽光発電およびオール電化の販売・施工、ヨモギ土壌菌商品開発事業
所在地:滋賀県愛知郡愛荘町北八木92
TEL:0749-37-3281
URL:http://www.sk-grp.co.jp/

滋賀建機グループ(7法人、15事業)
滋賀建機(株)、滋賀基礎工業(株)、エスケイビルド(株)、エスケイ運輸(株)、エスケイ興産(株)、(株)飯魚、(株)彦根通信