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【第46回】地域で必要とされる商いを求めて (有)たかえん 専務取締役  高橋基氏 (秋田)(2011.03.16)

高橋専務 (有)たかえん 専務取締役  高橋基氏 (秋田)

秋田―東京のケータリング

 ある時はケータリングで、店から80km離れている秋田市の催しに懇親会の料理を届ける。また、別の日には、東京からの依頼を受けて、早朝から半製品の料理を車に積み込んで遠征。セットを終えると懇親会が開宴し、乾杯と同時に料理が、あっと言う間に出席者のお腹の中に消えてしまうので「また、お料理(惣菜)や材料の説明ができなかった」と悔やむ。そんな惣菜店が秋田県の横手市にあります。

 「デリカテッセン紅玉(こうぎょく)」は、(有)たかえん(高橋基専務、秋田同友会会員)が3年前に開店した惣菜店です。同社の専務である高橋氏は秋田同友会の理事で県南地区会の地区幹事長を務める、42歳の若い経営者です。

素材生産者の地元農家の方と共に

店内  「紅玉」には、毎日、さまざまなお客様が来店します。惣菜を買いに来られる方やお店で食事をされる方はもちろんですが、食材の生産者や酒蔵の方、食品加工を営む方や、その他の地域活動の担い手の方々も大勢来店します。

 農家の方は「りんごが出来た」「面白い野菜を作った」と、素材を持ち込んできます。雪の下から収穫してきた芋の子やにんじん、エゴマ、紅葉苔、「天使の帽子」というキャベツなどの貴重な素材にも巡り合えます。「紅玉」では、惣菜の材料に地元産の農産品を活用することをめざしてきました。買い取ろうとする努力が実を結び、高橋氏いわく「惣菜用の面白い材料が多く仕入れられる」ようになってきています。

 「規格外」の野菜や果物などは、食材として加工するので、ほとんど問題なく仕入れることができます。また、少量の素材は相応の料理の素材として活用できます。量が多すぎる場合には、同友会の会員が経営する地元飲食店の方と分け合って購入するなど、工夫して買い取るように努力してきました。

地域活性化の担い手同士のネットワーク、その繋ぎ手として

 来店される方には、さまざまな「食」や地元の「工芸品」関連の事業に携わる方、そして、地域経済の活性化をめざす活動に取り組んでいる方なども多く、「紅玉」は、そのお客様とお客様を、繋ぐ役割も担うようになってきています。その様子は、365日、1日も休まず更新されている「デリカテッセン紅玉ブログ」にも掲載されています。

創業からのDNAを経営理念に

 「紅玉」は、専務の奥様、紅(くれない)さんが構想したものです。昭和の始めから家業として衣料品販売やリ・ユースストアなど、小売業を営んできた「たかえん」の歴史の中で、初めて挑戦する事業でした。「地域に、これほど豊かな素材があるのだから、それを活かして豊かな食文化や暮らしを提供しなくては」と熱く語る紅さんの言葉も「最初は全く受けとめられなかった」と高橋氏は言います。

 4年前、高橋氏は宮城同友会の「経営指針を創る会」を受講しました。自社の経営指針を成文化するために、社長(父親)、母親、そして妻の紅さんと膝を詰めて話し合った時、「たかえん」のDNAとして、「地域の人々と共に生きる」ことがあると確信をえたのです。そのDNAの故に、地元の農業と共に生きること、そして、「食」を通して地域の人と人を結びつけ豊かな生活や文化を育ててゆくことが自社の使命のように感じられました。

林檎の紅玉のように

イベントの様子  「紅玉」は、地元横手市周辺地域の農産物を生かし、また、素材を、自店の厨房で加工して惣菜をつくることに徹してきました。自店企画として、地元食材を活用する「お料理教室」や、お昼の「バイキング」や「お料理付きコンサート」などを開催。最近では、地域のお客様から「紅玉」での結婚式や「コンサート」などの催しを依頼されるようになっています。農家や酒蔵をはじめ、地域経済の担い手を数多く紹介する「紅玉新聞」も、手づくりの印刷で発行。インターネットやツイッターも活用して発信しています。

 「林檎の紅玉の樹が『ふじ』などの林檎畑に必要とされるように、私達の『紅玉』も、地域社会から必要不可欠な店になりたい」と語る高橋氏は、紅さんと、社員のみなさんと力をあわせて挑戦を続けています。

経営理念

一、私達は、あそびのあるくらしを守り、未来につながる安心と感動を手渡します。

一、私達は、人と地域の縁を大切にして、次代のいのちを育む企業です。

一、私達は、素直な気持ちで出会いに感謝し、よろこびを分かち合う仲間です。

事業定義

地域の新しいコミュニティ創生業

会社概要

創 業:1926年
設 立:1992年
資本金:900万円
従業員数: 21名(内、「紅玉」は9名) 
年 商:約1億4000万円 (内、「紅玉」は約5000万円)
業 種:惣菜製造販売店「デリカテッセン紅玉」、衣料品小売店「チャミー」「たかえん」、リサイクル店「遊(ゆう)ず堂」、IT事業部などを経営
住所:秋田県横手市十文字町梨木字沖野66-1 (デリカテッセン紅玉)
TEL:0182-42-5770
デリカテッセン紅玉 ブログhttp://blog.goo.ne.jp/kougyoku_deli/

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