シリーズインデックス:わが社の強みは??

【第45回】 強みはお客様の声を聞く力 (有)日野 代表取締役 日野 亨氏(秋田県)(2012.03.21)

日野社長 (有)日野 代表取締役 日野 亨氏(秋田県)

需要の拡大が困難な中から

ポスター  秋田県の南部にある横手市、湯沢市、大仙市に焼肉店や居酒屋6店を営業していた(有)日野(日野 亨社長、秋田同友会会員)が、初めて秋田市に出店し、「秋田牛玄亭」(あきたぎゅうげんてい)と居酒屋「どでん舌」(どでんした)を、開店したのは、2010年の夏のことです。場所は、秋田駅から真っすぐ伸びる道に面したビルの2階、距離にして300mほどの位置でした。

 秋田県においても、地方都市は高齢化が進み、人口が大きく減少し、さまざまな需要が縮小していく傾向にありますが、特に県南地域では少子高齢化が急激に進んでおり、外食産業の市場の縮小は避けられないため、売上げの伸びが期待しづらい経済状況になっていました。

 日野氏は「当時の総売上高は3億8,000万円ほどでしたが、それまで依拠してきた地域では、全体的な需要の拡大が難しい局面になってきたと感じていました。秋田市は県の中心であり、人口も30万人と大きな需要が期待できました。その中であれば、当社の強みを生かせると考えたのです」と語ります。

秋田を代表する焼肉店をつくるという志

 当初の売上目標は、秋田を代表する焼肉店。立地も駅前に近く、秋田市のお客様の期待に応えられる店でした。そのため、設備投資も大きくなりました。「損益分岐点は目標売上高1億2,000万円の90%を越えて、かなり高くなってしまったので、本音を言えば心配もしていました」と日野氏。しかし、今日では2店の売上高は、当初の目標を大きく上回り2億円に近づいています。これには同社の提供する品質とともに同社の持つ「本物の強み」が大きく影響しています。

成果を生み出した「強み」の真実

 日野氏が、当初、考えていた同社の強みは、肉屋として培った「加工技術」や「目利き」の力があることでした。想定していた客単価は4,000~5,000円ですが、提供する肉は客単価10,000円に匹敵する品質。「一流店にも負けない、肉の品質一本で勝負できる」と考えていたのです。

 しかし、それは間違いでした。「お客様に求められている食の喜びをトータルに提供できるかどうか、その力の有無が問われていたのだと今では感じています」と日野氏。「秋田を代表する焼肉店」をめざす中、お客様に教えていただくことによって、さらに一流の店をめざす意識や向上心が強められ、店が質的に高まり、より豊かな形でメニューやサービスを提供できるようになったのです。たとえば、これまでのお店で飲んでいただけるお酒は、圧倒的にビールと日本酒が多かったのですが、秋田牛玄亭ではお客様からの要望によって、ワインにも力をいれるようになりました。現在ではワインバーに匹敵するほどワインが注文されるようになり、大きな特色・魅力となっています。店のPRも、お客様の「口コミ」が最も強力なものとなって売上が伸びています。現在は、客単価約6,000円になりました。

社員の力、そして、農業や地域と共に生きる姿勢こそ

 社員の力が育っていたことについては、創業時から育んできた経営理念や、悪戦苦闘しながら取り組んできた社員教育の成果がありました。「同友会で経営理念や『社員共育』の本質を学んだことで、社員にとって人生を豊かに生きられる・力を発揮できるステージとしての会社や店にしていくことが、方針として全社の確信になっていきました。それが大きな要因となっています」と日野社長は力強く語ります。

 日野氏は、秋田同友会の社員共育委員長として、2011年に千葉で開催された中同協の役員研修会に出席し、「確信を深めることができた」と言います。

生産者と共に  秋田牛玄亭は、秋田県羽後町(うごまち)の「羽後牛」などA5ランクの肉が食べられる店を看板としてスタートしました。店の入り口の横にはうご農協の肉牛生産農家のみなさん、一人ひとりの顔写真が、壁一面に掲示されています。また、同社はお客様に求められる食の喜びを提供するだけではなく、地元農家の方々や地域の人々と共に生きるという姿勢にもあると強く印象づけています。そして、それゆえに、羽後町に限らず秋田県の人間なら誰もが応援したくなる店になっているのです。

会社概要

創 業:1955年
設 立:1994年
資本金:1,000万円
事業内容:飲食業、焼肉店・居酒屋など7店を経営
年 商:約5億円
従業員:110名(正社員32名、パート・アルバイト78名)
所在地:(秋田牛玄亭)秋田県秋田市中通2丁目6‐44 金座ビル2階
TEL:018-893-3929
(本社)秋田県横手市増田町増田字上町62
TEL:0182-45-4129
URL:(牛玄亭)http://www.akitagyugentei.com/

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