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【第2回】社員の力を信じて伸ばす (株)ハチマル 代表取締役 鈴木 雅夫氏(静岡)(2012.04.25)

鈴木社長 (株)ハチマル 代表取締役 鈴木 雅夫氏(静岡)

 鈴木雅夫氏((株)ハチマル社長、静岡同友会会員)は大学卒業後、父親が出資をしていた建設会社の後継者として入社しました。入社時から会社の業績は悪く、5年後に会社を清算。その後、一次的に身を寄せるつもりで家業である(株)ハチマルに入社しました。

 1980年代は外食産業の発展に伴い、醤油の需要がどんどん増えていました。そのため、醤油の製造を拡大。また、電子部品部門も製造しており、順調に拡大していきました。そして、1991年に分社。(株)ハチマルが醤油製造、(株)ハチマル電子が電子部品製造となり、鈴木氏は(株)ハチマル電子の代表取締役兼(株)ハチマルの専務取締役になりました。ところが、時はすでにバブル崩壊後。10年間売上はひたすら下降線をたどり、両社とも存亡の危機を迎えました。

 そのとき、鈴木氏はそれまでの自分を振り返りました。若いころから、少しでも合理的に、無駄のないようにと考えていたこと。自分が正しいと思ったことを強引に進めることがリーダーシップだと思い経営していたこと。そのことでやる気や自主性を失わせ、結果的に大勢の有望な人材を失ってきたこと。「社員のことを思えばこそ、と強引に最高の結果を目指しても、最高の幸せにつながるとは限らない。人と人が相互に尊重しあいながらかかわり、心から同調して同じ目的を持って行動したとき、最高の成果と幸せが期待できる」ということに気が付き、過去の言動を反省しました。そして、経営指針の必要性を強く感じ、同友会の仲間の力を借りて成文化しました。

指針成文化で安心のフィールドづくり

会社案内  経営指針を成文化したことによって、社員が安心して動けるフィールドを示すことができました。社長が何を考えているかを明確にし、後は任せる。呼ばれない限り会議にも出席しない。その結果、社員が会社をつくってくれるようになりました。社長一人では気がつかないようなところにみんなが気を配り、品質も良くなりました。そして事業を再構築し、分社した2社を3年前に合併して、新しく(株)ハチマルとしてスタートしました。 

 ISO9001と14001を2009年の7月に取得し、管理体制を整え、仕事が増え始めました。納期に間に合わせるためにパートさんが仕事を終え、一度家に帰り夕食の支度をし、戻ってきて10時まで仕事をしてくれた時期もありました。そうしてそれぞれが期待以上の能力を発揮し、繁忙期を乗り越えたことで取引先との信頼関係をつくることができました。

 「任せることで生まれる信頼や自信が、もともとの才能を大きく伸ばすことになります。常に社員には『役職は地位ではなく、職位です。役割の職務を果たすのが役職です。誰かの上に立つとき、上司は常に部下の責任は100%取りましょう。最後にはかならず私がすべての責任を負います』と言っています」と鈴木氏。会社の雰囲気も社長一人で必死になってひっぱっていたころよりも、ずっと良くなってきました。

 毎年期末である9月に、経営計画の発表会を金融機関や関係者を招き盛大に行います。日頃がんばって働いてくれている社員のために、普段は行かないようなイタリアンレストランで行うなど、女性が喜ぶように心がけています。「女性は仕事に関しても細かいところをしっかり見てくれるので、こちらも細かいところまで気にします」と鈴木氏。海外出張に行ったときにはお土産を買って帰る、寒い日にはタイ焼きを差し入れする、時には鈴木氏自ら角煮などを手作りして振る舞う、とにかく「女性が和やかに仕事をできる雰囲気」を大切にしています。

考える力を育むことが社長の仕事

社内の様子  「社員と接するときに心がけていることは、いいところをできるだけ見つけ、たくさんほめること。そうすることによって、やる気のスイッチを入れることができます。また、正論を言うときほど慎重に伝えることです。正論は時に人を傷つけます。例えば、社員が提示してきた方法よりも優れた方法がある場合、やる前から「それは違う、こうだ!」と否定されるよりも、やってみて本人が「これは違った」と気がつくことが大事です。そのほうが今後もっと大きなことに気がつく近道になるのです。自分が行っている事は経営指針に沿っているだろうかと、社員さんが考える力を育むのが社長の仕事だと思います。今後、電子部品の製造は技術だけではなく、管理面でもさらに多くのことを求められていきます。そのためにもしっかりした役割分担をし、一人ひとりのパフォーマンスを高めていかなければこれからの時代を乗り越えて行けません。まだまだ会社のレベルを上げていきたいですが、あせらず遠回りしてでも着実に目標を達成していこうと思います」鈴木氏はそう展望を語ります。

会社概要

設 立:1847年
資本金:1,000万円 
従業員数:35人(うちパート2名)
事業内容:醤油、つゆ・たれの製造販売。電子部品の製造部門(主に自動車、船舶、医療用)。
所在地:静岡県牧之原市須々木852
TEL:0548-52-0081

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