シリーズインデックス:わが社の経営理念

【第33回】経営理念の共有で誕生した“チーム小屋松” 司法書士法人 小屋松事務所 代表社員 小屋松 徹彦氏(熊本)(2013.12.11)

小屋松氏 司法書士法人 小屋松事務所 代表社員 小屋松 徹彦氏(熊本)

お客様の転ばぬ先の杖に

 小屋松事務所(小屋松徹彦所長、熊本同友会会員)は、1980年に小屋松氏が28歳で開設以来、33年の実務経験を生かし、相続手続き、生前対策、不動産登記、会社法人登記、農地転用・開発行為、土地家屋調査士業務などに携わってきました。お客様の身近な相談相手として役立つことを喜びに、「転ばぬ先の杖」として高いレベルでお客様の信頼を得ることを目指し、自己研さんに努めています。

 1983年に顧問先の誘いで、創立2年目の熊本同友会にチャーターメンバーに近い形で入会し、青年委員会に所属するなど積極的に活動しました。1989年には事業の拡充を図るために開発・測量会社を別に設立。5名体制になったのを機に、経営理念の必要性を強く感じた小屋松氏は、1990年に一人で経営指針を成文化し社内に発表しました。その後同友会の経営指針作成セミナーにも参加し、さらに内容を深めました。

経営指針を作ったものの…引き出しの奥へ

 1998年ごろに売上げが厳しくなったとき、小屋松氏は自分の給料は取らずに所員の給料を出していました。そんな折、ある所員が給料への不満を言ってきました。奥さんにも状況を説明しましたが「うちは給料を少しでも高くもらえればそれでいいです」との言葉が返ってきました。所長が給料をもらっていないのを知っているはずの所員は、何のフォローもしてくれませんでした。「これだけ苦労しているのに何もわかってもらえていない」と、経営指針を作って数年経つのに、何も浸透していないことに落胆しました。

 一体何のための、だれのための経営理念だったのか。「結局自分に都合よく作り、皆に押しつけただけだ」と自己嫌悪に陥り、経営指針への情熱が冷め、引き出しの奥にしまい込んでしまいました。当時は事務所を新築移転したばかりでしたが、社内のコミュニケーションは悪化し、所長も所員もただ仕事をする。そんな悶々とした日々が8年近く続きました。

役員研修会の参加を転機に再び経営指針に挑戦

 小屋松氏が再び経営指針に向き合おうと思ったのは、2005年11月の「第5回中同協役員研修会」に政策委員長として参加したことがきっかけでした。

 研修会では、当時の田山顧問、赤石会長、鋤柄幹事長の報告を聞き、経営者として中途半端な自分に気づかされました。その年の夏に、所員のNさんが土地家屋調査士を取得し、その後の進退が気になる状況でした。これまでは合格しても辞めて独立していくばかりでしたが、役員研修会の帰り道に小屋松氏は、「パートナーとして一緒にやっていこう」と気持ちを伝えようと決意。伝えたところ、Nさんは快諾してくれました。

 そして、経営指針をもう一度作り直すことに挑戦しました。今回は作成の折々に所員に見てもらって感想や意見を聞きながら、全員に納得してもらい完成することができました。「内容は前とさほど変わりませんでしたが、まっさらな気持ちで所員の考えを聞きながら作ったことが大きな違いでした」と小屋松氏。

 この二つの実践が見事に実を結び、2009年に土地家屋調査士法人を設立しました。

経営方針に書いた“Mさんをスカウト”

 同じ年に、以前研修に来ていた司法書士のMさんが同友会に入会したことを知り、その笑顔と人柄を見込んで、経営方針に「Mさんをスカウト」と記しました。所長の想いが通じ、めでたく二人目のパートナーが誕生。Mさんに求めたのは社内のまとめ役でした。今では所長の想いを所員に伝え、社内のコミュニケーションを図りながら「キャプテン」の役目を果たしています。そして、2010年に司法書士法人と(株)くまもと相続遺言相談センターを設立し、これで3つの柱がそろい、個人経営から専門家集団の組織的経営へと転換をはかる土台ができました。

所員から「会議を開いてほしい」との声が

リーフ1  組織体制が整い動き始めて1年が過ぎたころ、少しずつ業績が厳しくなり、原因もわからぬまま漠然とした不安が社内に広がりました。全所員に状況を伝え不安を解消しようとしたところ、所員から「会議を開いてほしい」との声が上がりました。所長は入らず、Mさんが進行役を務め「事務所を改善する」というテーマで真剣に議論しました。

リーフ2  その結果、小屋松事務所のさまざまな事業内容をもっと知ってもらおうと、初めて事務所案内リーフレットを作ることになりました。内容も所員だけで企画し、書類届けの折などに一緒に渡しました。また、お客様に有益な情報をハガキで提案することも行い、成果につながっていきました。「自分たちの会社だ」と所員の意識が少しずつ変わっていきました。

所員の自発性が発揮できる場づくりが経営者のやりがい

 小屋松事務所には、部門とは別に「広報委員会」「職場風土改善委員会」「ホームページ委員会」があります。所員の自発性・創意性を育てるために、所長は入らず全員どれかに所属し活動しています。ニュース発行も所長一人のときよりも立派なものができました。

 また、法人化の年から同友会の「社員共育大学」を毎年受講しており、最初に受講した所員からは「もっと早く参加したかった」とうれしい声をもらいました。この受講を通して所員の自主性が高まりました。

 経営理念の共有が進む中で誕生した「チーム小屋松」。「資格者と補助者ということではなく、所員全員がチーム一丸となり自立していける事務所にするのが私の仕事です」と語る小屋松氏は、経営者としての責任とやりがいを感じながら、一歩一歩着実に進んでいます。 所員の皆さん

経営理念

全従業員の物心両面の豊かさを追求するとともに転ばぬ先の杖として社会に貢献する

会社概要

創 業:1980年  
従業員数:12名(役員4名、社員8名) 有資格者…司法書士3名、土地家屋調査士4名、
行政書士2名
事業内容:相続手続き、生前対策、不動産登記、会社法人登記、農地転用・開発行為、
企業法務、離婚・財産分与、債務整理、土地家屋調査士業務
所在地:熊本県熊本市中央区水前寺1丁目4番31号
TEL:096-372-8500
URL:http://www.hikosan.jp/

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