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【第2回】業績V字回復!経営理念で会社が変わった ダイキョー精機(株) 代表取締役 渡部 幸悦氏(秋田)(2017.04.12)

渡部幸悦社長 ダイキョー精機(株) 代表取締役 渡部 幸悦氏(秋田)

仕事が無くなるのが怖かったから赤字でも受注

 渡部幸悦社長(ダイキョー精機(株)、秋田同友会会員)は、祖父と父とで創業した会社に22歳で入社して、1999年に三代目社長に就任。「機械も古い」「建物も古い」「借金だらけ」「こんな会社継ぎたくなかった」が、以前の渡部氏の本音でした。赤字の価格での発注に対しても「この仕事を断ったら、次の仕事がもらえなくなるのではないか」という不安から、断ることができずに受注してしまうことが続いていました。リーマンショックの後、受注は70%減など、きびしい状況に陥ります。業況は悪化し、経常赤字も累積し続けていました。

経営指針づくりの中でつかんだこと

 社内01  渡部氏は「このままではいけない」と2013年に、秋田同友会の第6期経営指針を創る会を受講。自分の弱い部分を正視することや、経営上の判断の正否についてもきびしく問うべきことを学ばせられます。そして、経営者の魂と呼ぶべき「経営理念」を成文化しました。「なんのために経営しているのか」が明確になり「自分の業(なりわい)に対する誇りと自信を取り戻すことができた」と語ります。

「その仕事は、赤字になるのでお断りします」の、その後

 ある時、大口の受注先から明白に赤字になる価格での発注打診がありました。渡部氏は「申し訳ない、その単価では赤字になるので受注できません」と断りました。すると先方からは「そうですか、ではもっと安くやってくれるところに回しますね」と事務的に対応されました。しかし、2週間後に再び電話があり「安いところに出したが、品質の基準を満たさなかった。なんとかダイキョーさんにやってもらいたい」とのこと。そして、受注可能な価格で、さらに短納期になったため「特急料金」を上乗せしての受注ができました。

 渡部氏は「無理な仕事でも、断ってしまったら次の仕事が無くなる、という恐怖感は、私が自分自身で作り出した実体のないモンスターだったのだと実感した」と語っています。

強みは品質と納期、そして、それを実現し信頼を支える社員

社内02  経営指針を創る会を受講し、「自社の強みは短納期にもこたえられ、品質も良いというところ。それがわが社の商品の価格だ』という誇りと自信を持ち直すことができました。

 工場の設備は、どこにでもある物なので、どこの会社でも同じ製品はつくれます。渡部氏は考えました。「うちが売っているものは製品なのか?」。よく考えると「設備を使うのは人」「納期を守るのも人」「品質を守るのも人」。やはり「人」が重要で、会社の強み・売り物は「信頼」だと確信します。

 だからこそ「納期を守る」「品質を守る」ということが非常に重要なことだと社員に語るようになりました。「わが社で設備よりも大切な財産はあなたたちだ」「会社はだれのものだ?あなたたちみんなのものだ」とも。

 社長が心底から考えた経営理念を、熱意をもって社員に語り、社員に任せることで、みんなが会社の問題に立ち向かうようになり会社が変わり始めました。

自主的に動き始めた社員と情報共有 

 短納期を安定的に実現するために、まず大切なことは無駄をなくし効率を上げるための情報共有でした。ある日、工程管理を担当する女性社員が「社長!私に朝礼をやらせてください!」と進言。それから朝礼で社内の生産状況と予定を確認しあうようになり、その女性社員が次の工程担当に根回しをするようになりました。そして社内全体の情報共有に加えて、外注先との情報共有も実現したのです。無駄が大幅に削減されました。

 また、社員が自主的に問題を考え、解決に取り組むようになりました。渡部氏は、「この情報共有が生み出した利益は大きい。利益がでるようになったのは取引先が増えたことより、社員が、主体になって問題解決に取り組むようになったから。社員の成長のたまものです」と語ります。

目的と情報・課題は伝えるが、作業指示はしない

社員の皆さんと  渡部氏は経営理念を社員全員に自覚してもらうように努力してきました。決算書は社員全員に見せて説明しています。そして、いくつかの経営課題については、説明し理解してもらうようにしていますが、できるだけ具体的な指示をしないようにしています。目的について理解し、課題や仕事が理解されていれば「社員は、主体的・自覚的に動き・働いてくれる」と確信を持って語りました。

 受注実績は、2013年の受注1億2千万円に比べて2014年以降は、ほぼ1億7千万円と飛躍的に向上し、粗利益と経常利益も、大幅に伸びました。「うまく説明できないのだけれど、この実績は、事実なので」と渡部氏。リーマンショック以来の安値・赤字受注によって生じていた数千万円の債務超過も、現在、あと8百万円になりました。今期末には解消することが確実です。

経営理念

一、私たちは、安心と信頼で未来を共創し 新しい時代の夢を叶えます。
一、私たちは、ものづくりで『わ』を広げ 活力あふれる共栄社会を築きます。
一、私たちは、思いやりを大切にし、共に成長し、幸せを実現します。

会社概要

創 業:1953年
設 立:1992年
資本金:1,405万円
業務内容:各種精密部品加工、専用機・自動機・省力機の製作、各種金型・治工具等の製作、直動システム機構部品の加工・製作、試作品加工、メッキ・化成処理、塗装
従業員数:13名
所在地:秋田県にかほ市金浦葡萄森41-1
TEL:0184-38-2202
FAX:0184-32-4020
URL:http://www.daikyo-seiki.co.jp/

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