【第26回】社員とともに世界で一番切れる切削工具の製造会社へ (株)松岡カッター製作所 代表取締役 松岡 慶子氏(静岡)

(株)松岡カッター製作所 代表取締役 松岡 慶子氏(静岡)

 (株)松岡カッター製作所(松岡慶子代表取締役、静岡同友会会員)は、静岡県中部に位置する静岡市葵区に本社工場を構えています。木材・食品・アルミ等・樹脂など、さまざまな素材に対し、「切る・削る・彫る」といったあらゆる加工に対応する超硬・ダイヤ刃物を独自の技術で設計から製造まで一貫して手がけています。製品のほとんどがカスタマイズ品で、ラインナップは4,000品を超えています。松岡氏は大学卒業後に家業に入り3年前に代表取締役に就任しました。

社員の挑戦意欲と社員同士のつながりを育てる組織体制

 同社では、先々代の父の代から約50年にわたり、社員の挑戦意欲を高めるため、社内コンクールを毎年実施しています。製品の改良や製品開発、業務効率化、環境改善などをテーマに社員から改善提案を募り、1提案ごとに審査を行い、創立記念日に表彰しています。最優秀賞にあたる社長賞は賞金も授与されています。複数案を提出する社員やチームで制作する社員も少なくありません。過去には、外部発注していた治具の仕入れができなくなった際、社員の発案により自社製造を実現したこともあります。社員の挑戦意欲向上とともに、企業発展の仕組みとして定着しています。

 また、社内では委員会活動を実施しています。始まりは、約14年前に取得したエコアクション21でした。取得に向けて動き始めた当初、社内での話し合いが不可欠だと感じ、各部署から代表者を選出し環境委員会を立ち上げました。この委員会設置をきっかけに、社員同士のコミュニケーションが活発になりました。その後、目的に応じて社内委員会を増やし、現在は環境・改善・ISO・防火・安全衛生・親睦の6委員会を設置。社内ネットワークを構築し、各委員会の報告書をまとめることでエコアクション21やISOに必要な資料が整う仕組みにもなっています。親睦委員会では「表には見えづらい、会社を支えてくれる社員の姿を表彰したい」という社員の声から、2年前より人格的功労者へのMVP表彰を開始しました。委員会活動が社員同士のつながりを深める場になっています。

父の思いを継ぎ、働きやすい環境整備を推進

 松岡氏は「経営者として必ず社員の毎月の生活を保障する」という父の社員に対する姿勢を受け継ぎ、常に働きやすい環境づくりを考えています。社員が介護しながら働く状況に直面したことをきっかけに有給休暇を取りやすいよう半休・時間単位での取得を可能にしました。定年延長で働く社員の有給休暇についても再契約によるデメリットを除いた制度の実現を検討しています。育児休業制度では取得しやすい雰囲気づくりに加え、業務をカバーした社員へのフォロー制度の導入も検討しています。給与面では常に業界の同規模他社の平均額を把握し、それ以上の額を支給することに努めています。「毎年全社員と面談の時間を確保している。働く環境の整備は社員の困りごとに真摯に寄り添うことを大切にしている」と松岡氏は話します。

長年培った技術を生かし、新たな分野へ進出

 社長就任時「自分の役目はいかに販路をつくるかにある」と考えた松岡氏。2025年1月から営業部門に新規開拓担当を新設しました。きっかけは木材加工業界の競争激化と、社員の個性を生かす必要性を感じたことでした。新規開拓担当の設置により、1カ月あたり平均7社の新たなつながりが生まれ、新分野への展開の道が見えてきました。特に注力しているのは樹脂加工に適応した刃物、超美切削の「UBTシリーズ」です。素材の進化が早く、刃物の素材選びも異なる樹脂。お客さまとの打ちあわせ、テストカットを通じて同社の刃物が樹脂加工にも適応できることに着目しました。今後は作業環境の整備やDX化を進めながら、ビジョンに掲げた世界で一番切れる工具づくりを社員とともにめざしています。

会社:㈱松岡カッター製作所
創業 1935年4月
設立 1957年11月
資本金 1,000万円
従業員 64名
年商 6億1,000万円
事業内容 切削工具の製造販売
住所 静岡市葵区古庄2丁目18-46
電話番号 054-261-1877
URL https://matsuoka-cutter.jp/