【第38回】顧客ニーズをつかみ、挑戦し続ける 三有研器(株) 代表取締役 有岡康介氏(香川)

三有研器(株) 代表取締役 有岡康介氏(香川)

 三有研器(株)(有岡康介代表取締役、香川同友会会員)は、1954年に工業用刃物の商社として創業し、2代目が砥石・超硬素材販売を開始して3代目が刃物の研磨加工を始めるなど、時代の変化と共に顧客ニーズに合わせて事業領域を広げてきました。

経営姿勢の確立

 有岡氏は、大学卒業後証券会社に勤務していましたが、25歳のときに先代に呼び戻されて三有研器(株)に入社します。入社当時は、興味のない家業の仕事をしながら、社長の息子ということで社員から会社の愚痴を聞かされ、嫌な思いをしながら悶々と日々を過ごしていました。

 そんな有岡氏の意識が大きく変化したきっかけは37歳のときに受講した経営指針を創る会でした。同友会へは先代からの名義変更ということで34歳のときに入会し、先輩会員に会社の悩みや社員への愚痴を聞いてもらえるのが楽しく、積極的に参加していました。事業承継が2年後に迫る中、以前から先輩や同世代の仲間に勧められていた経営指針を創る会を意を決して受講します。

 経営指針を創る会では、自身の経営姿勢の未熟さ、自社事業の優位性に気づかされ、経営理念、10年ビジョン、事業ドメインを確立しました。有岡氏は、経営指針を創る会受講翌年に4代目として事業を承継し、少しずつ着実に社内の変革に挑戦していきます。社員の待遇改善、工場の新設移転、社員を巻き込んだ経営指針の更新など、毎年実践を重ね続けていきました。

強みを発揮して事業領域を拡げる

 創る会で自社事業の優位性に気づいた有岡氏は、事業ドメインに基づいて、ものづくり補助金等を活用しながら市場調査分析を行います。今まで斜陽産業だと思っていた取引先業界は、商圏を広げると実はまだまだ伸び代がある業界だと気づき、取引先業種を絞って営業エリアを広げる戦略に舵を切りました。

 本格的に営業エリアを拡大していこうとしたタイミングで新型コロナウイルス感染症が猛威を振るいだしましたが、「工業用刃物に関しての困りごとはなくなることはない」と工業用刃物の悩み事を解決するWEBサイト「工業用刃物なび」をリリースします。

結果として、対面営業からオンライン営業に、営業エリアを「四国」から「日本全国」に拡大させ、コロナの影響を受けずに業績を伸ばすことに成功しました。

 「わが社は、工業用刃物“商社”から派生した加工業で、自社の強みは刃物を実際に使っている製造業の方と直接普段から話ができること。今も昔も自社の付加価値は『情報』にある。顧客の課題に対して有益な『情報』を創造し、提供してきたからこそ存続できている」と有岡氏は言います。

「ものづくり支援業」として、既存の工業用刃物の販売や研磨修理だけでなく、製造業が抱える課題を解決する事業展開で、日本の製造業を元気にしていきたいと有岡氏の挑戦は続きます。

三有研器(株)
設 立 1954年7月
資本金 1,000万円
従業員 15名
年 商 3.8億円
事業内容 工業用刃物・砥石・ダイヤモンド製品・超硬部品販売 工業用刃物・ブレード・超硬ナイフ研磨修理
会社所在地 香川県高松市三谷町5112-1
TEL 087- 888-4466
URL https://sanyukenki.com/