【第3回】視点を変えて創造する新しい感動体験 (有)レンタックス 代表取締役 藤井 一之氏(山口)

藤井一之社長

(有)レンタックス 代表取締役 藤井 一之氏(山口)

かつてない危機

 会社外観

 (有)レンタックス(藤井一之代表取締役、山口同友会会員)は山口県周南市を中心に、個人向けに家庭用品のレンタル、企業・団体向けにイベント用品のレンタル、イベント企画・運営などを行う会社です。従来は春から秋にかけて繁盛期であり、花見、GWから夏祭り、地域の催事、住宅展示場や企業のイベントなど、息つく間もなく予約が入ります。

 しかし、「密」が避けられるコロナ禍、2月末の政府によるイベント自粛声明から、売上の8~9割を占める企業・団体のイベントは軒並み中止。家庭用品のレンタルと選挙の備品手配がわずかに残ったばかりでした。

BtoBからBtoCへ

おうちでミニ縁日

 突然の売上激減にまったく先の見えない3月半ば、藤井氏は企業・団体のイベントに依存している現状を見つめ直し、従来の主力顧客である企業・団体(BtoB)ではなく、地域の一般家庭(BtoC)への販路開拓に着想しました。それが、自宅で宿題を頑張った子どもたちに向けた「自粛から自宿へ・おうちでミニ縁日」です。通常200~300人分で提供するポップコーンやスーパーボール、ビニールヨーヨーなどを2~3人分の小分けパックに組み直し、家庭向けに販売しました。チラシの折り込みから始めたところ、祖父母世代の方から「帰省できない県外の孫に送りたい」との声があったため、お盆に合わせてプレゼント用にも展開しました。「既存の商品の発信先を変えただけ。子どもたちは多感で大切な時期にありながら、家にいなければならない。我慢して頑張った子どもたちに楽しんでもらいたい。そこにわれわれの持つノウハウや経験を提供していけたら」と藤井氏は語ります。

 そして、大人向けには「自祝」のプランを進めています。記念日や誕生日、パーティーなど、自宅で特別なお祝いができるよう、ランプや屋外用キッチングッズをセットで提供するというものです。また、動画共有サイトやSNSなどWEBでの情報発信にも本格的に取り組み始めました。レンタックスの経営理念は「感動イベントを創造して、地域社会に貢献する」。変化に対応した新たな一手で、地域の人々の心に残る体験を提供し続けます。

これから

業務を行う藤井氏

 「従来のお祭りのように、大々的に人を集めるイベントはもう当分無いのかなという気がします。ただ、リモートや非対面で提供しながらも、人と接することの感動や思いやりを保った新しいイベントの形を提案していきたい。弊社はレンタル屋さんではありますが、ほぼイベントの企画から入って、実施して、最後の『お疲れさま』まで現場にいるので。そういう関わりはこれからも大切にしていきたい。そしていずれ落ち着いたら、県外や海外の方にも来てもらい、体験してもらい、お金を落としてもらい、この周南市をもっと知ってもらいたいですね」と思いを語る藤井氏。同友会歴はまだ1年と数カ月。今年度は支部幹事に県の委員会、経営指針の成文化にも積極的に取り組んでいます。

会社概要

設立年:1989年
資本金:300万円
従業員数:2名(役員含む)
事業内容:物品レンタル業(個人向け家庭用品、企業・団体向け事務所用品・展示会用品・イベント用品)、イベントサービス業(企画立案・実施・運行)、ランプ演出
所在地:山口県周南市今住町6-9
TEL:0834-22-5188
URL:http://www.rentax.jp