シリーズインデックス:激動をよき友に

【第43回】あるべき姿をめざして〜変化に対応した経営指針の再構築 エバー(株) 代表取締役 吉田 幸隆氏(愛知)

吉田幸隆社長 エバー(株) 代表取締役 吉田 幸隆氏(愛知)

危機感の共有が課題

 愛知県常滑市で自動車部品のプレス製造業を営むのは(株)エバーの吉田幸隆氏(愛知同友会会員)。モノづくりを通し創造できる喜び感動を追求し安心を提供できる会社をめざしています。リーマンショックの打撃を受けた2009年、会社が危機を迎えたときに顕在化したのが社内の「不協和音」でした。経費節減と売上増が企業存続の緊急課題であるという危機感が社員と共有できなかったのです。

ビジョン発表  その後、東日本大震災、円高、尖閣問題、タイの洪水と、経営環境の激変が続く中、会社の実現したい未来を展望し、事業領域を見直し付加価値の高い金型の内製化をめざしました。付加価値・生産性の向上と人材育成を柱に2015年経営革新計画の認証を受け、同時に2020ビジョンを発表。そして、2018年からは2030年ビジョンを描くために準備をしてきました。

「人間尊重の経営」に立ち返る

 その矢先に、新型コロナウイルスの感染が拡大し経済活動がストップ。2020年夏の前年対比の売上高は大幅に減少し休業も余儀なくされました。「つま先立ってどちらに倒れるかわからない」、そのような状態であっても、「信頼できる社員のおかげで信用性ある経営計画が担保できているので、不安が和らいだ」と吉田氏は言います。

 社員が新型コロナウイルスに感染したときは、社内に不安と混乱が巻き起こりました。動揺する気持ちを抑え、トップは何をすべきか考えます。そこで「人間尊重の経営」とは何かを問い直しました。経営理念にある安心を提供する責任が経営者にはあると気づきBCPの改良に着手。その結果、社員や顧客と真摯に向き合い信頼関係を築き、経営理念である「追求・創造・安心」のもと、嘘偽りなく正確に説明する姿勢を貫いたことで危機を脱することができました。

社員とともにあるビジョン

 そして2021年5月に、「社員が誇る成長企業」をテーマに「エバービジョン2030」を発表しました。それまでに、同友会のグループ会でビジョン作成の悩みを告白し、真摯に己を磨き続ける自助努力のエネルギーを拡散する同友会の仲間に励まされたといいます。ビジョンは、社員全員が共通で認識できる企業のめざす行き先だと位置づけ、全社員のヒアリングを通じて思いが込められた「ありたい会社像」を示すものになりました。
  ビジョン2030ヒアリング

 「ヒアリングで『自負心の持てる』『地域とつながる』というキーワードが新たに社員から出てきた」とうれしそうに語る吉田氏。地域課題は中小企業の経営課題であり、地域を守る連携の強化が求められます。自動車産業もポストコロナの社会も激変が予想される非連続な時代にあって、外部環境の変化に対応した経営指針の再構築が急務といえます。エバーのさらなる挑戦はこれからも続きます。 社員からのコメント

会社概要

設 立:1967年
資本金:2000万円
事業内容:金型プレス加工業
従業員数:正社員72名、パート・実習生27名
所在地:常滑市大谷字猿喰106
TEL:0569-37-0500
URL:http://www.ever-tokoname.com/

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