シリーズインデックス:激動をよき友に

【第44回】平時から備えてこそ「ピンチはチャンス」 (株)ナカフードサービス 代表取締役社長 中 周作氏(愛媛)(2021.07.28)

中周作社長 (株)ナカフードサービス 代表取締役社長 中 周作氏(愛媛)

社屋外観  毎日9,000食の法人向けの給食・弁当・仕出しを供給している(株)ナカフードサービス(中周作代表取締役社長、愛媛同友会会員)。強みとしては、広い工場・設備により国体やマラソン大会などの官需にも応えられる大量生産ができる体制があること、理念に掲げる「健康」の実践として管理栄養士を配置しており病院の栄養制限食など「健康の食づくり」ができること、業界の全国組織に加入しており最新情報をもって設備投資ができていることなどが挙げられます。

 同社は2020年3月ごろより影響が出始め、会議・イベント向け弁当の年間売上3,000万円がゼロに。現在もほぼゼロのまま影響は続いています。

社内環境整備の「守りの戦略」 

工場内  当初は、社内環境整備の「守りの戦略」をとりました。まず顔認証検温器や空気清浄機などの設備を導入。先行き不透明でも費用をかけ、“未知のウイルス”から「社員の命と健康を守るためなら何でもする」という覚悟で安全・安心で働きやすい職場環境づくりに努めました。もともと同社は三工場に分けて感染リスクを分散させていますが、社内クラスター発生は脅威です。事業ストップの売上を保障する「コロナ特別保険」に会員の紹介で加入し、致命的な脅威に備えました。

顧客に対するポジショニングを転換した「攻めの戦略」

新しい10年ビジョン  次いで「攻めの戦略」として、「誰に・何を・どのように」商品を顧客へ展開していくか、社員と共に理念に立ち返ってポジショニングを見直し、事業戦略を練り直しました。新たな10年ビジョンには「愛媛の食卓を楽しくする!」「あってよかったと思われる会社になる!」を掲げました。もともと毎日品質を安定的に提供し続ける給食業界として、お客様の期待に応え続ける「ミッション型(やらねばならないこと)」の事業展開となる傾向にありましたが、自社の理念体系について商品・顧客に関するポジショニングを「ビジョン型(やりたいこと)」へ転換しました。「社員の働きがいを出発点に仕事を創る」という事業戦略へ重点を切り替え、社員のやりたいアイデアから新事業に着手することとなりました。

ビジョン型の事業戦略で新事業を展開

 新しい事業の一つに、地元老舗の三河屋牛丼とタイアップし、お店と同じ牛丼を食卓に届ける冷凍商品を開発・販売しました。同店の牛丼が好きだった弟の中篤史氏(同社常務取締役、愛媛同友会会員)のアイデアです。冷凍食品をつくる特殊な最新凍結機をもつ自社の強みを生かし、他社と強みを共有することで実現した商品で、大手チェーンが増える中「地元の味を守りたい」という思いから誕生しました。

 マスコミ各社にも広報して全国紙や地元紙、テレビで報道されると、「うちでも商品を作れないか?」と問い合わせが5件も。受注生産だけでないメーカーとしての次の事業展開の可能性も見えてきました。

 もう一つは、「らくいちらくだ」と社員がネーミングした働く女性・主婦層をターゲットにした同じくチルド商品による事業です。「調理の手間を楽に」「食卓の一品を手軽に増やす」というコンセプトから開発したママ社員のアイデア商品であり、ECサイトによる販売体制もつくりました。

 この新商品開発では松山市中小企業振興基本条例による「転居女性ワークシェアリング事業」とも連携。これは会員企業が持つ都市部からの転居女性・ママネットワークを通して、そのスキルや女性目線を生かした新規事業・商品等の創出を図る事業で、商品開発段階で試食や価格帯設定などでママからの意見をもらい、実際のお客様目線を生かして開発されました。市場ニーズ調査は大企業にとって当たり前ですが、中小企業は「プロダクト・アウト」の発想になりがちです。「条例の事業を生かして、課題であった『マーケット・イン』による新商品開発が初めてできた」と中氏は言います。

平時から備えてこそ「ピンチはチャンス」

 現在の会社全体の売上はコロナ前を超えるまで回復。会議用・イベント向けの売上は消失したままですが、会社全体の利益は上がっています。これは会議用・イベント向弁当の変動費の構成比が大きく黒字幅は少なかったからだとみられ、また土日イベントの対応がなくなり結果的に社員の休みも増えました。

 この間のコロナ禍の外部環境の激変は、確かに社内環境や方針の見直しの契機となっています。しかし、「ただの思いつきでは『ピンチはチャンス』とは言えない」と中氏は語ります。もともとコンビニ弁当などの進出で競争が激しくなる中、将来的に企業向けのニーズはなくなると分析していました。「場合により、イベント向けは事業として『捨てる』選択肢も将来的にありうると考えられます。経営分析や計画があってこその決断でなす。平時の時から自社や外部環境を分析して準備してこそ、「ピンチはチャンス」と言えるのではないか」と提起します。

 次の事業展開では、自社で受発注のマッチングができるように、一連の食品・弁当を製造できる設備とシステム構築を計画中です。「新たな挑戦で『ピンチをチャンス』にしたい」と中氏は力を込めて話しています。

経営理念

我社は自然との関わりを大事にし健康な社会づくりに貢献します

会社概要

創 業:1981年
年 商:8億1,100万円(グループ全体)
資本金:2,800万円(グループ全体)
事業内容:事業向け弁当・幼稚園給食、高齢者施設向けケータリング給食、各種仕出し
従業員数:121名(内パート・アルバイト90名)
URL:https://www.nakafood.com/

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