【第1回】「選ばれる」仕組みづくり 初桜酒造(株)専務取締役 笠勝 敦夫氏(和歌山)

笠勝敦夫専務

初桜酒造(株)専務取締役 笠勝 敦夫氏(和歌山)

初桜酒造外観

 和歌山県伊都郡かつらぎ町にある初桜酒造(株)(笠勝敦夫専務取締役、和歌山同友会会員)は慶応2年(1865年)創業の老舗酒蔵です。

 この地の日本酒は、世界遺産高野山の麓、紀ノ川の北岸に位置し、高野山では般若湯(はんにゃとう)、和歌山では紀州かつらぎ川上酒として親しまれてきました。最盛期は酒蔵が16件ありましたが、現在では初桜酒造のみとなりました。4代目として地元の酒文化を盛り上げるために日々奮闘しています。

新型コロナの影響 ~待ちの商売からお客様に選ばれる仕組みづくり~

店内の様子

 1998年に幻となった紀州川上酒の顔であった日本酒「酔人日(スイトピー)」を、2019年11月に復刻しリリースしました。新聞などにも取り上げられさらなる発信をしようとしていた2020年2月新型コロナウイルスに見舞われ、イベントの中止などを余儀なくされたことでリアルでのPRの場を失いました。また、お酒を土産品として購入していた高野山への観光客が激減したことの影響もあり、売上は大きく落ち込みました。

 そんな中、笠勝氏を中心に今後どうするべきか社内で議論を重ね、出た答えがこれまでのような待ちの商売ではなく、お客様に選んでもらう仕組みづくりが必要ということでした。営業活動が制限される中で、まずは会社の顔となるべくホームページを見直し、会社のこだわりや思いを発信しました。さらにホームページだけでは広がりが少ないと考えた笠勝氏は元々活用していたFacebookに加えてインスタグラムを立ち上げました。立ち上げに当たっては和歌山同友会のメンバーからも「せっかくよい商品なのに発信しないともったいない」と背中を押されました。

 現在はSNSを通じて購入する人も増えました。「みんなに知ってもらい、お酒を飲んで楽しい雰囲気になってほしい」と笠勝氏は言います。

経営指針成文化セミナーに参加 最終目的を明確に

 笠勝氏が同友会に入会した理由の1つが経営指針書をつくることでした。社是はありましたが、創業者がつくったもので、時代に即したものが必要だと思ったことと、最終目的をきちんと決めてそこから逆算して今なにをすべきか、そしてどのように進めていくべきかを理解しないと将来が不安になるという思いからでした。自身が経営者になった時に社員に伝えるべく現在作成中で、ほかの参加メンバーからも刺激を受けています。

これからの思い

酒蔵

 「川上酒の文化を高野山、九度山の次に知ってもらうこと」が自身の最終テーマだと語る笠勝氏。26歳の時に東京から初桜酒造に戻った際に自分が住む和歌山について、自分が生まれたかつらぎ町について徹底的に調べました。調べれば調べるほど面白く可能性がある地域だと分かりました。そんな中多くの人に自社の背景にある川上酒の文化に魅力を感じそれを知りたい。知ってもらいたいと強く思うようになりました。

 笠勝氏はコロナ終息を見据え今からの種まきが必要だと考えており、川上酒のブランド力をつけるため海外への輸出、歴史のある蔵を使ったイベントの開催、高野山への出店など夢は膨らみます。
最後に「現在、多くの酒蔵が廃業しその地域にあった日本酒と文化が失われています。私たちはこの失われつつある文化の1つを守り受け継いでいきます」と笠勝氏は熱く語りました。

会社概要

QRコード

創 業:1865年
設 立:1967年
資本金:1,400万円
業務内容:清酒、みりん、リキュールの製造販売、その他酒類卸業
従業員数:正社員4名、パートアルバイト6名
所在地:和歌山県伊都郡かつらぎ町中飯降85
URL:https://www.hatsusakura.co.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/hatsusakurashuzo
インスタグラム:https://instagram.com/hatsusakurashuzo?utm_medium=copy_link