【第36回】地域と共に歩み、未来を設計する トラス・アーキテクト(株) 代表取締役 木元 達也氏(鹿児島)

トラス・アーキテクト(株) 代表取締役 木元 達也氏(鹿児島)

 トラス・アーキテクト(株)(木元達也代表取締役、鹿児島同友会会員)は、木元氏が創業した建築デザインの設計事務所です。新築、改修計画の作成、土地探し時の参考建築プラン、移住及びワ―ケーション検討の相談も承っています。

創業したきっかけ

 木元氏は学生時代に阪神淡路大震災の報道を見て、その後の復興支援に日本の著名な建築家が行動を起こしていることに感銘を受け、建築家を志します。大学卒業後、メディア関係や設計事務所勤務を経て、設計事務所を設立しました。
 独立当初は、前職時代の仕事をそのまま受注できていましたが、下請けということもあり徐々に仕事が減少し、取引0件の状態が半年近くありました。その後、待っていても仕事は来ないと思い、積極的にさまざまな場所に顔を出すようになりました。

同友会への入会

 創業した翌年には、知り合いの紹介で同友会に入会し、「とりあえず全部参加してみよう」という思いから大小さまざまな会合、例会に参加しました。異業種ということもあり、いろいろな考えの経営者と会えるチャンスと前向きに捉えて活動をしてきました。次第にご縁もあり、同友会の仲間からも仕事を頂くこともあるなど順調に推移していきました。

コロナ禍

 業績も順調に伸びていましたが、2020年に新型コロナウイルス感染症が発生し、大きな影響を受けます。コロナの発生とともに人々の生活スタイルが変化し、デザイン関係などはお客様側の優先順位が下がり、計画していた新規受注などがすべてストップしてしまいました。想定以上にコロナの影響は長引いており、新たに借入を行いましたが、建築木材の価格高騰や人件費値上げなど厳しい状況は続いています。
 しかし、その期間を生かして、経営指針の見直しや社内のテレワーク勤務体制などを整備しました。現在雇用している6名の社員・パートの平均年齢は30歳ですが、5年で独立できる社内プログラムを組みました。「『独立するんだ』という意気込みがあることで吸収力が上がり、社員自身の仕事に対しての面白みや、お客様に喜んで頂くことも違ってくるのでは」と木元氏は話します。

会社方針の転換

 コロナ禍を経験したことにより会社の経営指針も新たに作り直しました。1つ目は、「環境への取り組みとして必ず貢献する仕事をする」こと。コロナを経験して、無駄な消費やco2が削減でき、オンライン上での仕事が増えたことでエネルギーをかけずにできることに気づきました。環境への取り組みを続け、それを設計に生かします。
 2つ目は、少額・小さい仕事でもその人との関係性を築いて、良いものをデザインして広げていくこと。今までは行っていなかった「協力施工業者への分離発注」を取り入れることで、お客様だけでなく、お客様の知り合いの協力施工業者の利益にもなり、地域内循環にもつながると感じています。

地域と共に歩む

 ぎすぎすした時代だからこそ人とのつながりがものを言い、そのつながりによって地方で生き残れると最近つくづく感じている木元氏。コミュニティや地域連携を大事にしていくことは、同友会が謳っている「国民や地域と共に歩む中小企業」像で、今まさに仕事を通じて実感しています。
 鹿児島同友会会員の紹介やご縁などがあり、全国で表彰されたビルの建築デザインや鹿児島県が初めて取り組む県庁のコワーキングスペースの建築デザインに携わることができました。これからも地域と共に歩み続ける木元氏に注目です。

会社概要

設立年:2015年
資本金:100万円
従業員数:正社員2名・パート4名
年商:4,000万円
事業内容:住宅・店舗・施設等の設計企画管理業務、店舗デザイン監修、
     レンタルスペース、ゲストハウス、物販
住所:鹿児島市柳町1-5-101A
電話番号:099-295-0014
URL:https://truss-a.jp/