【第48回】新しい価値創造で未来を創る (株)ハンズコーポレーション 代表取締役 青野 徹氏(愛知)

(株)ハンズコーポレーション 代表取締役 青野 徹氏(愛知)

有言実行、まず行動してみる

 青野徹氏((株)ハンズコーポレーション代表取締役、愛知同友会会員)は激しい運動により身体を壊してきました。治療のためマッサージを受けたところ、驚くほど痛みが取れたのがこの業界に興味を持ったきっかけといいます。友人の結婚式でカイロプラクティックの資格を取得すると宣言。すぐに単身愛知に来ます。そして現在の会社に最初はアルバイトとして入社しました。それから数年で30店舗も拠点を拡大し、会社の組織改革に邁進。事業規模の拡大に伴いマネージメントが大変になり、青野氏が経営者を任されることになりました。経営者の知識も経験もなかったため、同友会に入会し猛烈に勉強を始めます。事業が順調にいっているのは、同友会で学び先輩方に鍛えられたおかげだといいます。

理念の「つなぐ」が困難に

 新型コロナの感染拡大は、顧客と接触する整体業界を直撃しました。ショッピングセンターに入居しているテナント店は、ショッピングセンター全体が休館になり、路面店も営業を自粛せざるを得ませんでした。何カ月もまったく店を開けることができませんでしたが、売上がなくても家賃や人件費など固定費はかかります。店舗は72カ所あるためキャッシュフローは急激に悪化していきました。そこでミラサポplusなどで行政施策を調べてすぐに利用できる補助金や助成金を申請します。同友会会員にもアドバイスをもらい社内体制の整備などを行いました。また採算の悪い店舗の統廃合や、社員の入れ替わりなど次々に対応を迫られました。

情報を分析し戦略を

 行政施策は、雇用調整助成金をはじめ、ものづくり・IT・事業再構築など可能性のあるものはすべて取り組んだといいます。これらの補助金も活用してDXの取り組みを進めており、「顧客情報管理」「スタッフ評価」「売上分析」の共通システムを開発し、ECサイト、web予約/電子カルテ、訪問施術サービス、スタッフEラーニングの4つの柱で具体化を図っています。ある意味、コロナ禍を飛躍の機会にしているといえます。

 ECサイトで販売するのは、ハンズコーポレーションが開発に携わった健康食品です。体の内部からも健康をサポートする試みで、有名アスリートへのトレーナー派遣事業も行っているため、効果を宣伝してもらう戦略を立てています。電子カルテにはAI診断ツールを導入し、姿勢の歪みなどを分析し、顧客に数値で説明できます。スタッフEラーニングは、理念の浸透をはじめ、社員の能力・行動・成果・課題の見える化ができる仕組みを構築しています。管理職は数値の管理に重点が移行し、情報がタイムリーにダイレクトに集約できるため、迅速な対応が可能となります。

「地域と共に」を実践

 同友会で、中小企業の役割は豊かな国民生活の実現に貢献することという、同友会理念「国民や地域と共に歩む中小企業」を学んだ青野氏。「つなぐ」が企業価値と考え、地域の活性のため企業連携の取り組みを進めています。そのひとつとして、メイン事業以外で通信制の高校やフリースクールの運営を始め、不登校の子どもたちを社会に返したいと意気込みます。人間の潜在能力を引き出し、自立した社会的存在になって欲しいからです。また同友会の会員企業にも授業に参画してもらい、子どもたちとふれあいながら会員企業とも連携を取り、アルバイトから就職、そして雇用を生んでいき、最終的には納税ができる大人に育て、地域の活性化につなげる狙いもあります。「地元の暮らしやそこでの困難に寄り添う企業活動を通じてより良い社会を築いていく」青野氏の挑戦は続きます。

会社概要

設立年:2000年2月
資本金:2,300万円
従業員数:85名(臨時65名)
年 商:5億円
事業内容:整体・鍼灸接骨院経営、FC展開、イベント事業
     フリースクール・通信制高校運営、健康推進事業(訪問事業)
住 所:名古屋市中村区名駅南一丁目3-17
電 話:052-583-1001
URL:https://www.hands-corp.co.jp/