【第5回】未来へ向けた自給圏づくり (株)マンボウ・サービス 代表取締役 吉岡 望 氏(鹿児島)

(株)マンボウ・サービス 代表取締役 吉岡 望 氏(鹿児島)

 (株)マンボウ・サービス(吉岡望代表取締役、鹿児島同友会会員)は、主に太陽光発電システムの設置をしている電気工事会社です。同友会でのエネルギーシフトの学びをもとに、環境に配慮した経営に取り組んでいます。

順調な矢先に

 吉岡氏は大学卒業後、兄が経営する電気屋で仕事をしていましたが、まだ使える電化製品を破棄し、新製品を勧める大量生産・大量廃棄のスタイルに疑問を感じます。このままでは、環境にもよくないという思いから1993年に会社を創業し、2002年から太陽光発電の事業を本格的に開始しました。2012年に国のFIT制度も追い風となり順調に業績を伸ばしていた中、2014年に大手電力会社が再生可能エネルギーを買い取らないことになり、本業で大きな打撃を受けます。

エネルギーシフトとの出会い

 2014年の本業の打撃の件もあり、同友会への参加をしばらくは控え社業に専念しようと心に決めていた吉岡氏。そんな中、2015年に鹿児島で開催された九州・沖縄ブロック支部長・支部役員研修交流会に参加します。ドイツ在住の環境ジャーナリスト村上敦氏による「エネルギーシフトで地域が変わる、日本が変わる」という報告を聞き、吉岡氏は大きな感銘を受けました。そこから再度同友会で学び、経営も頑張ろうと決意します。その後、岩手同友会が実施している欧州視察にも参加し、さまざまな学びを得て、翌年に鹿児島同友会内にエネルギーシフト研究部会を発足させ、エネルギーシフトの学びを広げていきました。

地域内循環

 「有限でいずれは枯渇する化石エネルギーから、無限で豊富な再生可能エネルギーはわれわれ中小企業も参加ができる小規模分散型で、これはエネルギーを地域内で循環することによりお金も地域内で循環し、地域が活性化するのでは」と感じました。また、「エネルギーだけではなく、食料自給率も自給自足をすることで地域内循環の社会になるのでは」と気づきました。

自社で実践したこと

 古民家と畑を借りて、サツマイモ、にんにく、菊芋を育てて収穫しました。収穫したサツマイモは、廃棄で回収した電気温水器の水タンクを改造し、「石焼き芋器」を発明し、燃料は太陽光パネル運搬時に発生する木製バレットを細かく砕いて再利用しました。また、コイを水槽で飼育し、その水槽の下でコイの排泄物を栄養として野菜を育てる循環型農業(アクアポニックス)を自社で製作しました。

 2020年には自社の高断熱化リフォームを実施。夏は暑く冬は寒い社屋でしたが、断熱回収計画を立て、天井・壁・床の断熱、窓を二重にするなどした結果、全体のエネルギー消費量を大幅に下げることができました。

 そのほかにも廃棄処分が難しい中古の太陽光ソーラーパネルを集めて倉庫の屋根に設置し、蓄電池を併用することで電気の自給自足もしています。中古の太陽光ソーラーパネルの新しい市場改革として売電収入が減った方へ蓄電池を提案し、電気代節約と大型災害への備えを提案しています。

今後の展望

 「東日本大震災を機にリスク分散型のエネルギーシステムの普及が求められていますが、地域おこしを絡めて持続可能な地域社会の構築とFEC自給圏を地域で展開し、お金と雇用を域内で循環させ、自社の仕事に誇りをもって今後もさらに取り組みたい」と吉岡氏は話します。

※FEC(Food:食料、Energy:エネルギー、Care:医療福祉)

経営理念

 私たちマンボウ・サービスは、自然エネルギーの健全な普及を通して、この青い海と青い空を守り続けます。

 私たちは常に、ONE FOR ALL, ALL FOR ONE の精神で行動します。私たちは物心ともに豊かになります。

会社概要

設立 1993年(法人化1997年)
資本金 300万円
年商 2億円
事業内容 オール電化システムの販売・工事・メンテナンス/太陽光発電システムの販売・工事・メンテナンス/太陽光発電パネル洗浄/空調設備の販売・工事・メンテナンス/アンテナ工事・メンテナンス/電化製品の修理・販売/その他電気工事全般/リフォーム (家の改築・塗装)
従業員数 15名
所在地 鹿児島市吉野町11334-2
TEL 099-246-3678
FAX 099-246-3687
URL https://manbows.com/