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【第3回】伝統工芸品を新たなステージへ 窪田織物(株) 代表取締役社長 窪田 茂 氏(鹿児島)(2011.05.11)

窪田社長 窪田織物(株) 代表取締役社長 窪田 茂 氏(鹿児島)

 窪田織物(株)(窪田茂社長、鹿児島同友会会員)は、南国の自然と人を育んできた伝統工芸品大島紬(おおしまつむぎ)の織元で1977年に夫婦二人で創業しました。今では、現在は社員数30名で、本場大島紬製造卸を中心に子供服、写真スタジオを展開しています。

鹿児島が誇る伝統工芸品

 奄美大島で生まれ育った窪田氏は、幼い頃から大島紬に携わる人たちを見て、自分も大島紬に携わる仕事がしたいと考えていました。大島紬は鹿児島を代表する伝統工芸品です。特徴は絹100%先染め手織りで、渋みがあり、軽くて暖かく着崩れしない、着込めば着込むほど肌になじみます。作業工程は28工程あり、図案から織りあがるまで半年から一年を要します。

 大島紬の起源ははるか1800年以前にさかのぼり、国内における最古の歴史と伝統を持つ織物です。鹿児島では、養蚕による手紡糸の紬が1300年以前から生産されており、染色方法も古代からの植物染色技法を受け継いでいます。窪田氏が独立を決意した当時の大島紬業界は、日本経済の低迷と共に下火になり、同業者が毎日のように倒産する厳しい環境でした。大島紬は1976年をピークに大幅減少を続けています。ピーク時の生産高は286億円、今ではその1割を切っています。

他社との差別化を図る

社内  それでも窪田氏は、自分が生まれ育った奄美大島の紬を守りたいとの思いから独立を決意しました。

 なぜ周りの企業が倒産するのかを分析し、また、いち早くコンピューターを導入して在庫管理を徹底しました。歴史ある業界であっても、経営まで伝統を守る必要はないとの思いからでした。経営理念もすぐに成文化。「鹿児島の伝統文化の着物をもっと美しく」「お客さまの満足度に挑戦する」「社員の幸福に貢献する」の三つを掲げています。社員と共に歩み続けることが会社の躍進につながると信じ、社員の目標となる存在になるよう努力し続けている窪田氏。今では社員にも経営感覚が浸透しており、社員自らが会社の経営状況を認識し、販売価格も決めるようになっています。

 同社では、伝統的な泥染めのほか、屋久杉染め、紫芋染めなどこれまで他社と競合しない独自の製品開発を行ってきました。今の時代を生き残るためには他社より秀でた商品が必要です。

産学連携で新しいものづくりへの挑戦

高級大島紬  最近では、県工業技術センターとの協力で最高級の紬を完成させました。低迷する業界に技術革新のインパクトを与えたいと考えたからです。

 最高級の紬は「18マルキ・32算(よみ)」で作られました。マルキは柄の精巧さにつながる縦のかすり糸の総本数を表す単位で、1マルキ80本。算は地糸を含めた縦糸の密度を示す単位です。一般的な大島紬は7~9マルキ、13~15.5算が中心です。2008年には当時の業界最高となる15マルキ、24算を開発。同年9月から今回の紬づくりに着手していました。マルキ、算の数字が大きくなるほど糸は細くなり、切れやすくなります。高密度のため手間や熟練の技術が必要になります。熟練の職人さんでも1日4~5センチしか織ることができません。これまで出来高払いが慣例だった業界の伝統的なしきたりを打破し、月給制で職人さんを雇用しました。 

 試行錯誤を繰り返しながら約1年かけて1反分を完成させ、販売価格約5000万円で京都市の呉服店に購入されました。窪田氏は「今の技術で最高峰の製品。進化する大島紬の技術を見てほしい」といいます。

大島紬を世界へ

 「これまでのお客様を常に飽きさせない最高レベルの商品開発だけでなく、今後は新たな顧客を獲得できる商品開発も必要です。日本国内だけでなく、海外、特に中国などのアジアからの観光客に喜んでいただけるものや洋装や小物などの関連商品づくりにも力を入れています。そのためにも、デザイン部門や製造部門のさらなる強化につとめ、将来的には中国語を話せる社員の育成も視野にいれています。着物だけのものづくりでは需要は減る一方です。伝統産業を守るには新しいことにチャレンジしないといけない、そして社長は発明家でないといけないと考えています」と窪田氏。

 時代の多様化に対応しながら、「大島紬」というブランドを守り、発展させる窪田氏の挑戦はまだまだ続きます。

会社概要

設 立:1977年5月
資本金:3000万円
事業内容:本場大島紬の製造卸・子供服販売(4店舗)・子供写真館
従業員数:30名
所在地:鹿児島市東開町13-5
TEL:099-208-5855
FAX:099-208-5858
URL:http://www.kubota-ori.com/

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